17 尾瀬 〜野川かさね エッセイ〜
はじめての尾瀬を訪れたのは
黄葉の季節だった。
夕日に照らされ黄金色に輝く湿原。
まっすぐと続く木道を歩きながら
何枚もシャッターを切った。
次はまだ雪が残る春の季節。
木道は雪に隠され、一面の銀世界。
おぼつかない足取りで歩きまわる。
地糖のあたりから雪が溶けはじめている。
エメラルドグリーンの輝き。
できるだけ近づき、シャッターを切った。
夏は見晴らしのキャンプ場でのテント泊。
満点の星を寝転びながら眺め、
写真は撮らなかった。
なにかを求めて、山に入ることが
自分勝手なのかと考えさせられたのもこの場所だった。
そんな場所と出会えたことが
写真家としての自分にとって
幸せなことだ。
写真家。
山と自然をテーマに作品を発表。著書に「山と写真」、共著に「山と山小屋」「山小屋の灯」「山・音・色」など。ホシガラス山岳会としても出版、イベントに携わる。