01 はじめての雪山 〜野川かさね エッセイ〜

山を登り、写真を撮りはじめたのは残雪の季節だった。
それから、春、夏、秋とそのあいだの季節も
手探りで山を歩き、写真を撮りつづけていた。
何がそれまでに山に魅力があるのか、と
他人に問われると答えに困ってはいたが、
あきらかに私は山の虜になっていた。

はじめての雪山は
以前も何度か訪れたことのある山。
慣れない冬山の装備に四苦八苦しながら
展望のよい場所まで辿りつく。

眼に映るのは眩しく、真っ白な雪の山。
写真に収めようとカメラを構えると、
眼で捉えているものと、頭の中のイメージが交錯する。
集中しようと目の前の風景をじっくりと見つめるほど、
その2つの像がダブって見えた。
私の頭はどうにかなってしまったのかもしれない。
そんな風にも思えた。

その戸惑いに負けずになんとか写真を撮り、
カメラをおろしてじっと山を見つめる。

頭の中に浮かんだそのイメージは
同じ山の違う季節の山の姿だった。
その風景の持つ別の季節や時間が
眼の前の風景の中にくっきりと浮かびあがっていた。

この感覚を知ってから、
私はさらに山へと足が向かうようになった。
何度も同じ場所に行き、シャッターを切る。
出来上がった写真には一体何が映るのか、
時には自分でもわからないままに。

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