14 夏 〜野川かさね エッセイ〜
高原の夏を歩く。
緑があふれ、
植物が咲き誇り、
動物や昆虫たちが休むことなく動いている。
その清々しすぎる、生命感あふれる姿に
私はすこし照れくさい気持ちになり、目を閉じる。
どうして、こんな風に自分は生きていけないのだろうか。
その時の季節をただ存分に味わえばいいだけなのに。
過去を憂い、先を案じる。
そんなことに時間を費やしすぎてはいけない。
今の時間をただ存分に味わえばよい。
だたそれだけなのに。
写真家。
山と自然をテーマに作品を発表。著書に「山と写真」、共著に「山と山小屋」「山小屋の灯」「山・音・色」など。ホシガラス山岳会としても出版、イベントに携わる。