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一店舗で完結。後悔なき買い物が叶う「おおさかキャンパル」

実物展示と知識豊富なスタッフによる親切な接客で、関西のキャンパーから愛されているアウトドア専門店「おおさかキャンパル」。ビギナーから玄人までが満足できる店づくりの裏には、大切にしている一貫したコンセプトがありました。

株式会社おおさかキャンパル社長の御子息であり店長の青井弘明さんにお話を伺います。

アウトドアどん底時代。それでも始めたシンプルな理由

「おおさかキャンパル」という名前でピンときた方もいるかもしれません。店が創業したのは現在の八尾ではなく東大阪。そう、あの旧「小川テント株式会社」・現「キャンパルジャパン株式会社」の大阪営業所兼店舗「おおさかキャンパル」があった場所でした。

「社長の青井は小川テントさんの一顧客だったんです。店をボチボチ辞めますとどこかで聞いたみたいで」。そう創業の経緯を教えてくれた青井店長は、当時はまだ小学生でした。

父・青井住都男さんは中学生の頃からキャンプフリークで、保険会社勤めの後、好きが高じてキャンピングカー販売職へ転職。勤め人では飽き足らず「脱サラして自分で何かをしたい」と考えていた頃に耳にしたのが、ひいきにしているキャンプ用品店撤退の話でした。

「じゃあうち、やりますわ」と名前を引き継ぐ形で、1998年に事業をスタートします。

SNSアイコンや旗には社長・住都男さんの似顔絵が。そのエネルギッシュな人柄を伺い知れる。

「1998年はアウトドア業界どん底の時代。どこもかしこも撤退が続く中での開業でした。厳しい状況下でも始めた理由は、単純に好きだからの一言に尽きます」。当時の社長の想いをそう振り返る青井店長にも、精神は受け継がれています。

住都男社長に連れられ生後半年からキャンプに親しんでいた青井店長にとって、キャンプは常に身近な存在。「もともとキャンプを仕事として意識しておらず、一度は医療系の道に進みました。理学療法士の資格を取って10年間くらいは病院で勤めていましたね」。

理学療法士として働きながらも、私生活でキャンプは継続して楽しんでいた青井店長。当たり前にそばにあった存在が自分の生業になったのは、とある患者さんの言葉がキッカケでした。「仲良くなった経営をされている患者さんから“独立して自分で何かをする仕事をしてみたらどうや”と言われたんです。親の影響うんぬんよりも、その言葉が大きかったですね」。

自分で事業を起こすことへ興味を持った青井店長は、導かれるようにおおさかキャンパルへの転職を決断します。

実際に入ってみた感想を尋ねると、すぐに「結構おもしろいですよね」と屈託のない笑顔が返ってきました。「自分の“これやってみたらどうや”っていうのを、トライしては失敗し……っていうのをずっと繰り返して。やりたいことをできるんで楽しいです」。こうしておおさかキャンパルはキャンプ愛と独立心にあふれる家族によって、さらなる進化を遂げていきます。

現在の店舗は2021年3月にリニューアルオープンしたばかり。コロナ禍でも快進撃を続けている。

一貫したコンセプトで長く使える商品を厳選

青井店長が入社した頃、店に訪れるのは既にキャンプ経験豊富なヘビーユーザーばかり。店の運営に商品知識は欠かせず、入社して一年はとにかく専門知識のインプットに費やしました。

メーカーの研修や展示会へ数多く参加するほか、調べてもわからないことは直接メーカーに質問を重ねるなど積極的に自ら情報を収集。その甲斐あって、今ではおおさかキャンパルの仕入れのほとんどを青井店長が担っています。

おおさかキャンパルの代名詞であるテントのみならず、キッチンやリビング周りのギアも充実。
豊富なバリエーションに目移りしてしまっても大丈夫。スタッフが親身にアドバイスしてくれる。

「おおさかキャンパルで古くから扱っている商品は、スペック・品質・アフターケアどれをとっても間違いなく良い。それらを軸に若い力で情報を仕入れ、店のコンセプトに合う商品を厳選しています」。

アウトドア苦境の時代から店を営んできたおおさかキャンパルが変わらず大切にしているのは、「長く使えるのか」という視点です。機能を疎かにした製品やアフターケアが不十分なブランドは、いくら流行で人気があろうと取り扱うことはありません。

新規で取り扱うブランドの仕入れは社長が最終ジャッジを行うそうで、そのハードルはかなり高く設定されているのだと青井店長は続けます。「納得できるブランドじゃないとなかなかGoサインは出ないですね。社長は頑固なので(笑)」。

こうして「一店舗で完結する後悔なき買い物」という一貫したコンセプトのもと店づくりが行われているおおさかキャンパル。店内には、一つひとつに唯一無二の価値があり、審美眼を通った質実剛健な品の数々が並んでいます。

開放感あふれる店内。バラエティに富んだアイテムが所狭しと並び、想定外の出会いも楽しめる。

ギアに息づく想いも届ける。納得を生む商品知識

大量のインプットとトライアンドエラーを積み上げることで、店づくりの多くを任されるまでになった青井店長。今は培った知識をスタッフへ伝える立場です。

知識の範囲は専門用語やスペック情報はもちろんのこと、商品の形・構造に込められた意味やメーカーの歴史、考え方に至るまでをもカバーします。豊富な知識の引き出しから、お客様のニーズに合致した情報を提供。広く深い観点での商品選びが、後悔なき買い物を可能にするのです。

「とりあえず何でも聞いてもらう方がいいですね」。店を包む気さくでカラリと明るい雰囲気そのままに、青井店長は笑います。「後悔のない買い物をしたいという気持ちがおありでしたら、おおさかキャンパルに来てもらえればスタッフがしっかり説明します。敷居が高い店ではないですし、“一店舗で完結”がコンセプトなので一から十までそろえたいという方には特にピッタリですよ」。

機能・品質ともに実績のあるギアをセレクト。デザインやブランドの背景を聞くのもおもしろい。
定番品のみならず若い感度でピックアップしたアイテムも。キャンプシーンを盛り上げてくれそう。

まずはとにかくテント。見て納得のテントショールーム

「後悔なき買い物」の真骨頂を体験できるのが、テントショールームです。テントを大切にする理由を、青井店長は家に例えて話します。

「まずは家を決めてから、次は寝具、じゃあリビングをどうしようか……と決めていきますよね。“キャンプをしてみたいんだけど何から始めたらいいの”と聞かれたら、まずは寝床を完成させましょうとお話しています。せっかくなら快適なお家が良いよねと快適なテントをそろえているうちに、今のラインナップになりました」。

小型テント用ショールーム裏手に佇むファミリーテントのショールーム。各店に駐車場を完備。

おおさかキャンパルはメイン店舗から徒歩すぐの場所に、小型テントとファミリーテントの2種類のショールームを併設。ogawa、Snow Peak、Colemanといった定番ブランドのほか、Nordisk、ROBENS、Tentipiなどの海外メーカーのテントが立ち上がった状態でズラリとそろった姿は圧巻です。

個人店では珍しい今のスタイルに至ったのは、やはり「後悔なき買い物」というキーワードが絡んでいました。

テントに入りキャンプシーンをイメージ。サイズ感を確かめておけばミスマッチを避けられる。
平日は施錠されているので、メイン店舗のスタッフへ声かけを。ショールームへ案内してくれる。

「小川テントを引き継いだ東大阪時代の店は、3階建てのビルでした。1階は事務所と小売店、3階に実物展示をしていたんです。そのやり方が今でも活きています。やっぱり実際に見ると納得感が違うので。東大阪のビルを手放すタイミングでアクセスの良い今の八尾の店舗へ引っ越してきたのですが、移転してしばらくは展示スペースがありませんでした。駐車場1台分の場所を使って、そこにテントを張ってはたたんで……と繰り返していましたね」。

現在は23台分ものスペースがある駐車場を眺めながら、青井店長は当時を懐かしむように目を細めました。

大阪八尾に移店した当初はこの一店舗のみ。現在は小型テントのショールームとして使われている。

スペースの確保やメンテナンスなど、実物展示は店にとって多くのリスクがあります。そうした苦労を抱えてでも代え難い実物展示の利点は、素材と構成力の理解にあると青井店長は語ります。「今のテントは誰でも建てられるようにできているので、建てやすさは意外と重要ではないんです。それよりも大事なのは、生地感と構成力。生地の特性やタッチ感、構造の仕組みや丈夫さは実際に体感することでよくわかります」。

大きさや重さを数値だけでなく感覚的にもつかめるのは、リアル店舗だからこそ。比較対象をまだ持っていないビギナーにも、細部まで突き詰めたいこだわり派にも、嬉しい貴重なサービスです。

実際に見て触れると納得感は段違い。用途や不安な点など、まずは何でもスタッフへ。

上級者からビギナーまで。長いお付き合いを育む店

アウトドアブーム低迷期に店を始めた「おおさかキャンパル」は、実は当初コアなキャンパーばかりが集う店でした。敷居の高さを感じもする空気を変えたのが、現在の青井店長です。

「入社した時に、販路をちょっと広げたいなという意識は持っていました。玄人な常連さんが集まる店だったので、一見さんが入りにくい雰囲気があったんです」。

そこで取り組んだことは大きく二つ。一つは商品ラインナップの拡充、もう一つがイベントの開催です。

「組数限定で“一緒にキャンプしましょう”というイベントを年5〜6回は開いていましたね。店が忙しくなってきてからは減ってしまいましたが、それでも毎年開催していました。半分自慢大会みたいなもんですけど(笑)。みんなお互い刺激しあって、参加したいというリクエストも多くいただいて……それを励みに続けていました」。

現在はコロナ禍の影響で、仕事でもプライベートでもキャンプは長らくできていないとこぼす青井店長。店に足を運べないというお客様の声に応える形で一部オンライン販売を行うなど、変化の中でも臨機応変に取り組んでいます。店のユニフォームを隣接するワークマンでつくったというエピソードからも感じられる、つながりを大切にする姿勢が魅力です。

「これ売ってるの?」と尋ねられることも多いスタッフベストはお隣さんのワークマン仕立て。
人の気配を感じさせる地域に根ざした店づくり。お客様が行き来するなど相乗効果もあるのだそう。

「一店舗で完結するをコンセプトでやっているので、長くお付き合いするにあたり買い物もアフターケアも相談してもらえれば柔軟に対応しています。キャンプ設営の現地から電話がかかってくるなんてこともありますね。パーツを紛失してしまったと言うので、現地調達で代用するアドバイスもしました。ある意味キャンプの醍醐味ですね」。そう柔和な笑顔を見せる青井店長。

プロフェッショナルによる商品選びからお付き合いにおよぶ買って終わりではないサポートは、自然に向き合うキャンプにおいて心強い存在となりそうです。

「一店舗で完結」を突き詰めた先にある未来

そんなキャンパーたちにとって頼もしい店おおさかキャンパル。今後の展望を伺うと「キャンプ場とか作りたいですね」とワクワクする計画を明かしてくれました。

「自分たち直営のキャンプ場ができたら、買った商品を使うところまで完結できます。そこまで行けたら完璧かなと。実際に使って試してみることもできますし、イベントもできますし、win-winだなぁと思っているんです」。

自分の目で確かめられる展示と頼りになる接客で、理想のキャンプスタイルを実現する同店。

素材・ギアメーカーからの供給がコロナ禍で不安定な昨今においても、おおさかキャンパルではInstagramで入荷情報を細やかに発信。納得するまで導いてくれるアイテム選びと長く付き合えるサポート体制で、自分にベストなキャンプライフを形にすることができます。

キャンプへ出かけたいと思ったら、まず足を運んでみたいお店です。


おおさかキャンパル
住所:大阪府大阪市平野区長吉六反4-2-25
TEL:06-6777-9945
営業時間:10:30~19:00(平日)、10:00~18:30(土日祝)
定休日:火曜
https://osaka-campal.co.jp/


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