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  • 登山好きが贈る、登山の体験レポートです。日本、そして世界の山々にはたくさんの魅力にあふれています。春夏秋冬、その時々で異なる顔を見せてくれる素敵な山がたくさんあります。まさに百景。.HYAKKEIでは、そんな山に実際に登り、五感で楽しんだ自然体験記をお届けします。きっと山に登りたくなりますよ!

【総延長1697.2km】東海自然歩道を踏破せよ!|#12 田貫湖〜上佐野編

.HYAKKEIをご覧のみなさま、こんにちは。ライターの田中嘉人です。

いきなりなのですが、読者のみなさまにご報告があります。実は私……「東海自然歩道公式ライター」に就任いたしました!!

経緯をご説明させてください。実は7月、東海自然歩道を管理する「東海自然歩道連絡協会」という団体の総会にゲストスピーカーとしてお招きいただきました。

そこで、東海自然歩道の現状をお伝えする講演をしてきたのですが、スピーチの最後に「今日から東海自然歩道公式ライターということでいいですか?」と聞いたところみなさん快諾。めでたく(半ば強引に?)公式ライター就任が決まったというわけです。

いずれにしても、これも記事を読んでくださっているみなさんのおかげだと思います。引き続き、ガンガン歩いてレポートしていきますので、これからもよろしくお願いいたします。

さて、前回は朝霧から田貫湖までやってきました。今回のコースは田貫湖から山間部に入り、再び山梨県を目指します。ここ最近は平坦な道が続いていたため、本格的な山道はひさしぶり。しかも世間は猛暑。この日の天気予報でも最高気温が35度と報じられました。

果たして無事に山梨入りできるのか!?ぜひ最後までお付き合いください。

<今回のコース>
田貫湖→長者ケ岳→上佐野

長者ケ岳を目指して

というわけで、今回は前回離脱した田貫湖からスタート。

僕の後ろ(写真左)に見える長者ケ岳を越えて、山梨県南部町の上佐野という集落を目指します。

田貫湖はキャンプ場としても有名です。のんびりキャンプしたい〜!

湖畔には超わかりやすい案内図がありました。一本道なので迷うことはなさそう。

湖畔から一歩踏み入れるとそこは東海自然歩道の合流地点。長者ケ岳の登山口でもあります。

上佐野分岐点までの距離と時間は記載されているけど、その先は書いてない……分岐点までが静岡で、その先が山梨だから?

ガタガタ言っても何も始まらないので、早速スタート!目の前にはいきなりの上り坂!

結構続きます。なかなか急な傾斜で、すぐに息が上がりました。

5分ほどで落ち着きます。広葉樹の木漏れ日が気持ちいい。少し登ったら心なしか風がひんやりとしてきました。

分岐がありますが、ここはひたすら直進!

左折すると田貫湖に戻ります。キャンプ場利用者向けのトレッキングコースかな?

分岐を越えるとまたしても上り坂。

落ち着いたと思ったら……

奥の方で木製階段が顔を覗かせます。別に驚かない。わかってたから。

事前に地図をチェックしたところ、田貫湖畔の標高は728mで、長者ケ岳は1335m。1.7kmという短い距離のなかで一気に登らなければいけないということになります。地味にハードなルートです。

ところどころ平坦なところもありますが、奥の方で上り坂が笑っています。

写真だと桟橋のようにも見えますが、こちらは全部階段です。

階段を上りきったところに展望スペースが。しかし、いつの間にか周囲は霧に覆われ、せっかくの富士山ビューが見えません。台無し……。

大してみどころもないので先を急ぎましょう。平坦な道で呼吸を整えながら歩きます。

平坦なコースが終わるといきなりネイチャー感満載に。どこがコースですか?

木製階段を見つけたので登っていきます。この日は湿度も高かったため、すでに汗びっしょりです。

階段を上りきったところに再び展望スペースが。霧の向こうにうっすらと田貫湖が見えます。急な上り坂の連続でかなり体力を削られてしまったので、10分ほど休憩。

再び歩き出します。心なしが木々が生い茂ってきたような気がします。

茂みエリアを抜けると再び上り坂に。

行く手が霧深くなってきました。ますます視界が悪くなりそうです……。

ギリギリ看板としての機能を果たしていました。でも、あるだけ感謝。

またしてもコースがわかりにくくなってきました。こういうときは、ピンクのリボンを目印に進んでいきましょう。杉林のなかをヒイヒイ言いながら進んでいきます。

杉林ゾーンを越えると再び山道に。やはり霧が濃い……!

行先が見えないとちょっと不安になります。

汗と霧のせいで、気がつけばTシャツはびっしょり。

結構歩いたつもりでいたのにさっきの看板から700mしか進んでいないことにがっかりしました。

追い討ちをかけるように上り坂が……!

深い霧のなかをヒイヒイ言いながら進んでいきます。

しんどかったので「あー!」とか「うー!」とか言っていたら、先を歩いていたベテランハイカー夫婦が「後ろでクマの声しなかった?」的なことを言っていました。「すみません!人間です!」と声を絞り出しました。……ほんとはクマだったのかな?

休憩スペースがありましたが、眺めは悪いし汚いのでスルー!

足が重くなってきました。なかなか前へ進めない……!

どうにか前進していると、再び上り坂が目の前に現れました。しんどい〜!

ここでひとつチャレンジをしてみることに。それは「深呼吸しながら歩く」です。無酸素状態で歩くから足に疲れがたまりやすくなるのではないかと考え、ロングブレスダイエットのように「ふーうふーう」言いながら歩いてみました。すると……?

うん!意外といける!気のせいかもしれないけど、思ったより疲れないし、先ほどまでのダメージも少し緩和されたような……!これは効果的!……と思い込みながら歩きました。

あっ!

というわけでようやく長者ケ岳に到着しました!所要時間は1時間42分!まぁまぁでしょう!

それにしても、霧が濃すぎて何にも見えない……!本当なら富士山が見えるんだろうけど……。

さほどお腹も空いていなかったので水分補給とこの先のルートのチェックだけして、先を急ぎます。バイバイ、長者ケ岳。

上佐野を目指して

ここから向かうのが上佐野という集落です。正直あまり耳馴染みのない場所なのですが山間部にひっそりと佇んでいるらしい。果たしてどんな場所なのか。ちょっと楽しみです。

とりあえず長者ケ岳から天子ケ岳方面へ向かいます。この途中に佐野方面への分岐があるらしい。霧の中をひたすらに南へ。

途中でいきなり霧が晴れることもある。

でも、すぐに霧に包まれる……。

道は間違っていないみたいです。

霧のなかをどんどん進んでいきます。そこらじゅうにある蜘蛛の巣に水滴がついていました。

看板がずいぶんざっくりしてきた。距離とか所要時間とか知りたいなぁ。

と、思ったら長者ケ岳から20分ほどで上佐野分岐点へ到着。霧が深いとなぜかテンションがあがるため、ポーズにも気合が入ります。おそらくここで静岡とは一旦お別れ。再び山梨へ突入します。

下調べによるとここから先はずっと下り坂なので、楽勝でしょう。

かなりホラーテイストな看板を発見。上佐野までは6kmです。

コースとしては急斜面をジグザグに下っていくイメージ。スピードが出て滑落しないようにロープがそこらじゅうに備えられています。

日が当たらないせいかコケが一面にびっしり。コケマニアにはたまらないんだろうなぁ。

基本的に斜面はとんでもなく急です。滑落したら命に関わることは間違いないので、慎重に進んでいきます。

え?道ないじゃん。とはいえ、奥にピンクのリボンはあるのでコースとしては間違っていない様子。斜面にへばりつくように歩きます。全然楽勝じゃないぞ……。

行き過ぎないように先にここを通ったハイカーのみなさんたちが枝で「ここから先にはいくな」という標識をつくってくれていました。

それにしても本当に道がわかりにくい……。

そして危険……。正直、よほど興味がない限りこのコースは歩かない方がいいと思います。

ロープ伝いに岩場を下りながら歩きます。

ようやく足場が安定したので振り返ってみました。とんでもないコースを歩いてきたことにゾッとします。

道は間違っていないそうです……。これだけ危険な想いをしてきて間違ったらショックが大きすぎます。

結構歩いたと思ったらまだ1kmしか経っていませんでした。なんで?

そして目の前には再び道なき道が……。ヒヤヒヤしながら歩きます。

なんだこの看板?

え?

上を見るとむき出しを岩肌が……何かあってからでは遅いので、早急に逃げました。

ところどころロープが施されています。掴まないと本当に危ない……。しかもロープが緩むので、頼りすぎるのも逆に危険です。

緊張感ありすぎでしょ……。今までで一番怖いかも。

土砂崩れで道がなくなってました。ただ、これまでのハードすぎるコースで麻痺してしまったせいかそれほど動揺はしませんでした。

そういえば全然休憩できるスペースがないので、コースに腰をおろし休憩しました。斜面が怖すぎておにぎりの味がわかりませんでした。

軽く休憩をしたらふたたびスタート。道がわからなさすぎる。

あと4.3km。なかなか進まないなぁ。

途中、行き止まりかと思ってドキッとしました。

坂を少し登ると奥に看板が見えます。大丈夫、合ってる。

斜面を慎重に歩いていくと……

桟橋が土砂に覆われていました。

ロープを伝いながらそろりそろりと歩いてどうにか通過。

ひとつ言えること、それはこのコースは本当に危険です。

何より下が見えない恐怖……。

それでも分岐点から1時間ほど歩くとようやく道も落ち着いてきました。でも……

このテープでぐるぐる巻きにされた杉、なんなんだろう?そこらじゅうにあってちょっと怖い。

ようやく自然歩道らしくなってきたような気がします。

分岐点から上佐野までコースもようやく折り返しました。

しばらく歩くと休憩スペースがあったのですが、案内看板が無残な姿に……。動物の仕業なのかな……?

壊れた案内看板を越えると岩場が増えてきました。上り坂で太もも、下り坂でつま先、そして岩場で足首と満遍なくダメージを与えてくるコースですね。

このあたりは岩に直接コースを書き込むというスタイルみたいです。

「言われるまでもないなぁ」と思いました。

気がついたら左手に沢が流れていました。水がめちゃめちゃ綺麗!

そしてようやく森を抜けました。そういえば、長者ケ岳に入山したときからずっと森のなかにいたんだなぁ。

先ほど見かけた沢とは別の水の枯れた沢を渡ります。

肝心なところが消えてる!あと何キロなんだ……!?

しばらくすると階段コースに突入しました。たしかに階段を下るのって足腰にはダメージがくるけど、斜面を歩くような恐怖はないな……そういう意味ではありがたい……。

だから、あと何キロなのかを教えてくれ……!

矢印を頼りに進んでいくと……?

あっ!!

ようやく山道を抜けました!ここが……上佐野?

うん……

うんうん……

自然豊かすぎでしょ……想像以上だ……。

でも、バスは1日3本走っているみたい。

そういえば、このあたりは南部茶というお茶が有名みたいです。静岡との県境だから、気候が似ているのかも。

なんとも言えない不思議な場所です。家はあるけど誰もいない。

まむしの養殖場はありました。は?まむし??

というわけで今日はここまで!1日3本のバスの最終バスに乗るべく待っていたら、住人の方とバッタリ遭遇。なんとJR身延線の駅まで乗せていってくれるとのことで……

遠慮なくお言葉に甘えました!

当初予定していたコースはどうにかクリアできましたが、特に分岐点から上佐野まではかなり危険です!基本的にはオススメしませんが、どうしても行ってみたいという方は本当に気をつけてくださいね!

次回は再び上佐野に戻り、佐野峠のクリアを目指したいと思います。では!!!

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