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アイスランド ロイガヴェーグル(Laugavegur)を歩いた全記録

ロイガヴェーグル(Laugavegur)とは

ロイガヴェーグル(Laugavegur)とは、アイスランド島内から南西部にかけて抜ける55㎞のトレイルルート。島内部は岩石帯や火山活動の影響で大地から蒸気が噴出する地帯を抜け、沿岸部に近づくにつれて植生が変わってコケ類や植物が生い茂ってきます。太古からの地球の息吹を感じるスケールの大きさが魅力です。アイスランドは気温が低く、ロイガヴェーグルは1年に3か月しか歩くことができません。今回は、1週間ほどお休みをいただいて行ってきました。

全行程

今回のトレイルの行程はこちら。

期間:2023年7月23日(日)~26日(水)

1日目:ランドマンナロイガル(Landmannalaugar) – フラプティンヌスケル(Hrafntinnusker) (約12km)

2日目:フラプティンヌスケル(Hrafntinnusker) – アルフタヴァトン(Álftavatn) (約12km)

3日目:アルフタヴァトン(Álftavatn) – エムストル(Emstruskáli) (約15km)

4日目:エムストル(Emstruskáli) – ソルスモルク(Þórsmörk) (約15km)

komoot参照
komoot参照。高低差は累計3000mほど。

3泊4日で55㎞を歩く行程です。

日本からアイスランドへ

まず日本からアイスランドへのフライトですが、直行便はございません。

今回はなんと3回乗り換えで36時間かけてアイスランド入りしました。

tokyo(日本)→hanoi(ベトナム)→paris(フランス)→oslo(ノルウェー)→Keflavík(アイスランド)

アイスランドのケプラヴィーク(Keflavík)国際空港から首都のレイキャビク(Reykjavík)まではバスで1時間ほど。当日でも行けますが事前予約しておくと安心です。

1日目は、レイキャビク市内のレイキャビク大学の学生寮に宿泊しました。1泊7,000円程でレイキャビク市だと安価な水準です。

1日目:ランドマンナロイガル(Landmannalaugar) – フラプティンヌスケル(Hrafntinnusker) (約12km)

レイキャビク市内のシティホールから「初日の場所」まではバスで4時間ほど。バスはTrekかレイキャビクアドベンチャーがありますが、私たちはTrekを使用しました。

WEBサイトから予約必須で、料金は7000円程です。

https://trex.is

バスで揺られること約4時間。ランドマンナロイガルに到着。広大な平野の中にポツンと佇むハット(山小屋)があります。トイレもシャワーもあり、近くには温泉があるそうです。私たちは初日からトレイルを開始したので、温泉に入りませんでしたが、ここで1泊してから歩き始める方も多いそう。

ランドマンナロイガルのハット
各ハットにはルールや注意点などが記載された看板があります
シャワー兼トイレ。
トイレは水洗。紙は横のごみ箱に捨てます。
ハットのインフォメーションセンター。
ガスやドリンクなど売っています。

ここから1日目の宿泊地フラプティンヌスケルまで12㎞を約5時間で歩いていきます。

歩き始めてしばらくは、巨大な岩石が続く岩稜帯。鉱物が含まれているのか断面に光沢感がある岩で異星を歩いている感覚になります。

光沢のある鉱物が続く道
しばらくすると視界が開け平原が広がります

1時間ほど歩くとこの岩稜帯を抜けて、上記が噴き出す温泉地帯のエリアになります。

この辺りは少し高低差があり、やや体力を使いますが日本の登山になれている人からすれば問題ないかと思います。

この温泉地帯の後半は、まるで火星にいるような景色を堪能できます。

この景色の中、稜線を歩きます。

そのあとは、残雪が残るエリアになります。この時風速4㎞程の風が吹いていたこともありレインウェアがないと汗冷えしてしまうほどでした。このエリアをぬけると初日の宿泊場所フラプティンヌスケルに到着です。

フラプティンヌスケルのハット
フラプティンヌスケルのハットの宿泊棟

アイスランドの山小屋は「ハット」といい、インフォメーションセンター(チェックインカウンタ)と宿泊棟とトイレ棟に分かれます。

インフォメーションセンターではテント泊でも小屋泊でもチェックインが必要になり、テント泊の場合は5000クローナ(5000円ほど)小屋泊の場合は12,000クローナ(12,000円)ほどかかります。小屋迫の場合はほぼ満室になるので事前予約が必ず必要です。

テント泊の場合は予約不要で現地決済になります。

ここではガスやグッズが販売されていますが、割高なので極力日本から持って行くかレイキャビク市内で買いましょう。

私たちは日本から米とみそ汁と総菜を持ち込んでひたすらそれを食べていました。

フラプティンヌスケルのハットのインフォメーションセンター。その日の天気が掲示される。
トイレはボットン式。

2日目:フラプティンヌスケル(Hrafntinnusker) – アルフタヴァトン(Álftavatn) (約12km)

この日はアルフタヴァトンまで15㎞を歩きます。天気はあいにくの霧と小雨でかなり冷え込みました。初日とはうって変わって花崗岩の黒い大地をひたすらに歩いていきます。時より温泉帯もあり、黄緑色に光るコケ類もみられこれもまだ絶景。

ガスに覆われた幻想的な風景が続きます。
標高を下げると鉱物の影響か気緑色に光るコケ類が生えるエリアへ。

7㎞ほど歩くと少しくだりがあり、この日最大のビューポイントがあります。小高い丘の上から望む景色は絶景でここで休憩する人が多くいます。

その後、平原を歩くとアルフタヴァトンに到着です。

小雨の中歩いてきたので、小屋に着いたときは大変安心しました。

アルフタヴァトンのハット

アルフタヴァトンのハットはかなり評判が良かったので小屋泊で宿泊しました。内装は大変きれいで共用のキッチンも使い放題です。(もちろん使った後はキレイにしましょう。)

部屋は複数あり2名の部屋もあれば5名の部屋もあります。私たちは早めの予約だったためか、2名部屋を優先的に使わせてもらいましたが、相部屋になることもあります。

部屋に入る前に玄関があり、そこに服を乾かしておけるスペースがあります。ここで靴とアウターウェアを脱いでおいておきます。

この日の夕食は、アメリカのツアーガイドが分けてくれた(というよりおいしそうだったからもらった)ビリヤニをいただきました。

翌朝、あまりそうだったお米を炊いてツアーご一行におにぎりをふるまったところ大喜びしてくださいました。笑

炊きたてのご飯と大人のふりかけは万国共通のようです。

3日目:アルフタヴァトン(Álftavatn) – エムストル(Emstruskáli) (約15km)

3日目はエムストルまで15kmの道のりです。

この日のルートは、高低差も少なく他の日に比べるとかなり負担は少なくコースタイムも大幅に巻くことができました。 

アルフタヴァトンのハットを背にする
砂地の平野部をひたすら歩く

途中、川を渡る箇所があります。膝くらいまであるので持参していたサンダルに履き替えて渡ります。トレッキングポールがあるとより安心して渡れます。

あとはスケールの大きい大地をただひたすらに歩く。自分の小ささを感じることのできる道です。

最後に小高い丘を越えるとエムストルに到着です。宿泊地を見つけたときの感動と安心感は何度体験してもよいものです。

この日も小屋泊だったのですが、二段ベッドに雑魚寝スタイルです。

3日目にもなると、周りのトレッカーも顔なじみになるので、戦友になってきます。笑

この日のハットも玄関があり、服を乾かしておくスペースがあります。ガス暖炉もあるので早く乾かしたい場合はガス暖炉を使いましょう。

4日目:エムストル(Emstruskáli) – ソルスモルク(Þórsmörk) (約15km)

いよいよ最終日です。

この日は川渡りが数回とアップダウンもありますが、これまでの景色とは大きく変わって、緑の多い草原地帯になっていきます。

最終日は青空が見える晴れ間に

天気も相まって4日間のトレイルを祝福してくれているのかと思うような豊かで美しい景色が続いていきます。

目的地のソルスモルクへ着いたとき、この4日間の疲れと名残惜しさが押し寄せてきました。

ソルスモルクのハット

ここからレイキャビク市内へバスで帰っていきますが、帰りもTrekのバスにお世話になりました。本来18時の便を予約していましたが、早めに到着したので交渉したところ席の空きがあるので14:30のバスに乗せてもらいました。

このバスに乗って帰ります。

18時過ぎにレイキャビク市内に戻ってきて、近くのスーパーで巨大なチキンとポテト&野菜を買い貪るように食べ、深い眠りにつきました。

そのほかの注意点

マナーについて

日本でも山行中は「こんにちは」とあいさつしますが、海外でも一緒で目を合わせて挨拶をします。ハットでは様々な国からいろんな人が来ているので、会話も楽しいです。

充電について

基本的にトレイル中の充電はできないのでソーラーパネルなど持って行っておくと安心です。あとはエムストルのレストラン内に充電できる箇所があるので、そこで充電するとよいかと思います。ただこの電源もソーラーで賄っているので、天気の悪い日が続くと使えなくなります。

持ち物について

今回は2名で歩きましたが、荷物はこのようになっています。

特に過不足なく万全の装備だったかと思いますが、ソーラーバッテリーを持ってきておけばより良かったかなと反省しています。

良かったアイテムについてはまた別記事にて紹介しますが、マストで必要だと思ったのは、レインウェアとテント泊中の防寒着です。7月でも風速3~5㎞ほどの風が吹いており、体温を奪われます。上下レインウェアがないとかなり厳しいです。あとはテント泊の際は汗冷えがあるので、防寒着は必須です。私たちはダウンと裏起毛のスウェットを持って行きましたが快適に過ごせました。

水について

アイスランドは水がとてもきれいで水道水も飲むことができます。実際、ハットでも水道水を補充することができるので困らないです。市内にいる時も外で水を買うと高いので、水筒を持参しておくことをお勧めします。

物価について

2023年7月段階の為替レートは100クローナ=103円でしたが、アイスランドは税率が高いため、食費・宿泊費・交通費など割高です。日本の倍以上する感覚があります。目安でいうとコーラ1本500円くらいです。

食材について

テント泊でも小屋泊でも食事は基本的に自炊になります。(2日目の宿泊地はレストランがあります。)日本から持って行くか、レイキャビクで現地調達しておきましょう。

レイキャビクだとBónus(ボーナス)かKrónan(クロナン)というスーパーが比較的安くてオススメです。

ガスについては、各小屋に使用済のガスをおいていってくれていますがそれを頼りにするのは危険なのでレイキャビクで購入してから行くのがオススメです。

私たちは「icewear」というお店で買いました。ハットで買うと3倍の値段もします。

地図について

地図はレイキャビク市内の本屋さんかハットで販売しています。

市内で買うのがオススメでですが、本屋さんはだいたい18時に店じまいするので、注意が必要です。

アプリについて

Komootというアプリがあり私たちはこれを使用しました。(ちょうどその前の週にオートルートを歩いた芦塚さんからお話を聞いていたので助かりました!ありがとうございます!)

決済について

VISAは比較的どこでも使えますが、AMEXとJCBは使えない箇所が多いので、現金を持ち歩くと安心です。

まとめ

ロングトレイルと比較すると距離も日程も短いですが、高低差も少なく何より絶景が楽しめるロイガヴェーグル。地球に生まれて自由に生きれる時代に是非一度体験しておいてほしいと紹介できるトレイルだと思います。ぜひ皆様も仕事の休みが取れたら選択肢として検討して見てください!

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