アウトドア好きな方の人生観やアウトドアライフに迫る「自然ビト」。第9弾は、ファミリーで登山を楽しみ、魅力的なイラストで山の面白さを発信している京都在住のヤマガスキナダケさんご夫婦です。


<プロフィール>
ヤマガスキナダケさん(40歳・会社員)
京都市在住。山、川、湖時々イラストがライフワーク。いかに日帰りで無理をせず低山を楽しむかをテーマに掲げ、「登山をもっと身近に感じてもらいたい」という想いを胸に、Instagramで登山イラスト日記を更新中。つい「ぷぷっ」と笑ってしまうコミカルでほんわかする家族の登山記&日常に魅了される人続出で、フォロワーは6,000人を超える。奥さんのミワさん(40歳)、息子の京太郎くん(9歳)と、山頂にはこだわらない登山を日々楽しんでいる。

instagram:@yamagasukinadake

いいイメージがなかった「登山」

——まず、お二人のアウトドアの原体験はなんですか?

ヤマガスキナダケさん)僕の原点は、祖父です。おじいちゃんが無類の山好きで、毎年、近所の愛宕山に連れていかれてたんです。でも、トラウマでしかなくて(笑)。展望がないし、ずっと階段でキツイんですよ。おじいちゃんが亡くなってからは山に行かなくなって釣りばかりしていましたが、会社の社長が山登りをやっていて。それは知っていたけど、特に興味はなくて。

いいイメージがなかった「登山」|「【自然ビト #09】山は僕らにとって気分を害する出来事がない、だから落ち着く/会社員・インスタグラマー ヤマガスキナダケさん」の2枚目の画像

でもある時、「社長の登山についていこう!」と思って、そのために近所の山で登山靴を慣らしに行くことにしたんです、奥さんを連れて。自発的に山へ行ったのはそれが最初ですね。社長とは新潟の山に行ったんですが、景色もよく、ベストなシーズンで行けたのでとても楽しくて。それを機にハマってしまいました。それが3年前です。

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——ミワさんはどうですか?

ミワさん)そのトレーニングに一緒について行ったのがキッカケにはなるんですが、わたしの場合、実際には登山靴を買ったことが大きいかもしれないです。「山に行くなら、まず登山靴だけはちゃんとしたものを買わなアカン」ということで、ローバーの登山靴を買ったんですよ。そしたら、今までの登山のイメージと違って、すごく楽しく歩けたんです。この辺りの学校は毎年秋に愛宕山登山競争という行事があって、山登りはキツいイメージしかなかったので。

マイシューズだった、というのもあるかもしれません。まずは形から入りたいタイプなので、「買ったからには、最低〇回は行かなもったいないな!」って(笑)。最初は靴とかウェアの元を取るために行っていた感じもありますが、次第に“山の癒し”にハマっていきました。

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最初に買ったローバーの登山靴。リサイクル店で購入し、ソールを張り替えて履き続けている愛着のある一足

——よくアウトドア好きのお父さんが新しい道具を買う時、奥さんを説得するのに苦労している話を耳にしますけど、お二人はどうですか?

ミワさん)うちはお互い働いているので、お財布は共同です。特にきまりがあるわけじゃなくて、なんとなく「旦那さんはこの間あれ買ったし、次は私買ってもいいかな~?」って、その繰り返しで、心の中では「買え買え!」っていつも思ってます。旦那さんが買ったら、次はわたしが買えるから(笑)

ヤマガスキナダケさん)新しいアイテムを買う時は毎回、褒め合いですよ(笑)。「めっちゃええやんそれ、かわいい~」って(笑)

山には、気分を害する出来事がない

——登山の魅力はどんなところですか?

ミワさん)山は、パッて行って、パッてバーナーで温めて、普段食べてる何気ない食事、たとえばラーメンとかを食べるだけでも、数倍おいしく感じることってあるじゃないですか。写真一つとってもそうで、子どもの写真を撮るにしても、家で撮るよりも山で撮っている時の方が楽しいなって。
あと、なんて言うんやろ、表現が難しいのですが、街には本当に色々なタイプの人がいる。でも、山には基本、気分を害する出来事がない。日常で見たくない景色が、山にはないというか……。

——気分を害する出来事とは?

ヤマガスキナダケさん)例えばですけど、人混みとか人の圧力。気分の悪いことを言ったり、やたらむやみに騒いだり。そういうのがお互い気になる性格なんです。それは接客業をやっていて日頃から様々な人に接している、というのもあると思うのですが。でも、山にはそういった苦手な人がいないなって、ふと思ったんです。普段見たくないものが山にはないから、結果的に落ち着くんやなぁって。

——京都市内は観光スポットが多いですし、近年はますます多国籍というのもありますからね。

ライフスタイルにマッチした京都・北山

——日頃はどんなスタイルで山に登っていますか?

ヤマガスキナダケさん)僕たちは日帰りののんびり登山がメインですね。中でも、京都の北山エリアによく行きます。

京都って、登山の歴史が深いの知ってます?昔、北山エリアを歩き回って色々なルートを見つけはった、今西錦司さんって人がいるんです。この人が北山エリアからどんどん北上していってアルプスにも興味を持っていくわけなんですが、そのスタート地点がこの北山エリアだったんです。登っているうちに、地元にこういう歴史があったんやなぁ~って知って惹かれて。ほとんどの人が知らないと思うんですけどね。登山をはじめてまだ3年目ですけど、2年目からは近所のこのエリアを中心に歩いています。

——北山エリアの標高ってどのくらいですか?

ヤマガスキナダケさん)1,000mないですね。低い山ばかりですが、山が深くて山頂も暗い。標高の高い山や景色のいい山に行きたい気持ちはありますが、仕事柄あまり連休が取れないので、それは時間的に厳しい。3時間かけて登山口まで行って、3時間登って、3時間下って帰るって結構しんどいじゃないですか。僕たちの今の登山スタイル、近所の山で遊ぶというスタイルが生まれたのは、ほんとそれからなんです。さっと近い山に行って、山では極力長くのんびり過ごして、さっと帰ってくる。たまたま家の近くに、ルートの豊富な北山エリアがあった。それがほんまに良かったなぁと。

ライフスタイルにマッチした京都・北山|「【自然ビト #09】山は僕らにとって気分を害する出来事がない、だから落ち着く/会社員・インスタグラマー ヤマガスキナダケさん」の4枚目の画像

——京都駅の近くがこんなにも山深いなんて、知りませんでした。

ヤマガスキナダケさん)京都って山に囲まれてるんだなって思います。芦生(あしう)って知ってます?芦生研究林エリアといって、京都大学の管轄で申請しないと入山できないんですが(※1)、原生林が凄いんです、ここ。ピークハントではなく、まさに森に入って、森を楽しむところ。本音を言うと、あまり有名になってほしくはないですが(笑)。ピークハントが好きな人は少し物足りないかもしれませんが、僕は“山歩き”が好きなんですよね。

(※1)森林の環境保全のため、一般の入山規定を設けているエリア。現在は一般受付を一時停止している。

インスタの投稿がとにかく面白い!

——ヤマガスキナダケさんは、instagramで山での出来事をイラスト投稿されていますよね。話のオチが秀逸で、いつも「ププッ」と笑ってしまいます。イラストは趣味ですか?

ヤマガスキナダケさん)はい。小さい頃から絵を書くのが好きでしたね。小学校の時はマンガ部に入っていました。

インスタの投稿がとにかく面白い!|「【自然ビト #09】山は僕らにとって気分を害する出来事がない、だから落ち着く/会社員・インスタグラマー ヤマガスキナダケさん」の2枚目の画像

——ド素人の私が言うのもなんですが、絵がとても上手ですし、話の構成も素晴らしく「もしかしてプロ!?」と思いながら、いつも楽しんで拝見しています。

ミワさん)実は、わたしと旦那さんは高校の同級生なんですけど、その頃からずっと絵を描いているイメージしかないくらい好きなんですよね(笑)。授業中から休憩時間まで、本当にずっと。自分は集中してるから気が付いてないだけやで?ほんまひたすらずっと描いてて、凄いなって思って私は見てました(笑)

——どうして山での出来事をイラストにしようと思ったんですか?

ヤマガスキナダケさん)これまで人に見せるためにしっかり描いたことってなかったんです。本当に自分のためのラクガキやったんで。夫婦で生活のリズムが違うので、奥さんへの置き手紙は描いてたんですけど。人に見せるための絵を描くことになった一番のキッカケは、おそらく10年前ぐらいに友達の結婚式でアニメーションを任されたことかもしれません。寝る間も惜しんで2週間くらいずっと作ってて、それで自分の絵は集大成やと思ったんですよ。きっとこのために、僕は絵を描いていたんだと。でも、この時に買い揃えたペンとか画材道具が残っていたんで、置き手紙や山の話をたまにインスタにアップしていたら、意外と反応がよくて。それからですかね。

——テンポがよく、話の構成も秀逸ですよね。でも、なぜ主人公(ヤマガスキナダケさん本人)がキノコなんですか?

ヤマガスキナダケさん)それは、人よりも描くのが楽だからです(笑)。最初はキノコが自分の擬人化ではなかったんですけどね。

——キノコ好き?

ミワさん)前に「俺はキノコを極める!」って言うてたよね。キノコについて勉強しいひん?って。え、違ったっけ?(笑)

インスタの投稿がとにかく面白い!|「【自然ビト #09】山は僕らにとって気分を害する出来事がない、だから落ち着く/会社員・インスタグラマー ヤマガスキナダケさん」の9枚目の画像

——これまでの登山で印象に残っているエピソードはありますか?

ミワさん)わたしは息子と初めて親子登山に行ったかなぁ?息子が楽しめるようにって、先生が作るようなしおりを旦那さんが作ってくれてたんですよ。オリジナルの地図が入っていて。子どものときにこんなん親にされたら楽しいやろうなぁ~って。

——それ、私も嬉しいです。

ヤマガスキナダケさん)息子には、自分が歩いてきたルートを線で描かせてたんですね。今ここにいるって分かるように。事前に何回かその山に行って、落ちている葉っぱとか、棲息している動物とかを調べて、見つけたら丸していこうねって。山は最初が肝心やと思ってたんで。自分の教訓として(笑)

——今後行ってみたい山はありますか?

ヤマガスキナダケさん)谷川岳!標高が1,977mなんですけど、僕たち1977年生まれなので同級生たちと行ってみたい。バースデー登山的な。あと、あそこや、3,033mの。仙丈ヶ岳!昔、ポケベル時代に、あっ、ポケベルって自分の番号を決める仕組みなんですけど、その時の番号が、奥さんはミワだから30、僕は33だったんですよ。僕の33には意味がないんですけどね(笑)。それで二人の番号があるっていうんで、二人にとってはいい山だよねって言うてますね。それと、芦生っぽい匂いを感じる奥多摩や八ヶ岳にもいつか行きたいなぁと思っています。

インスタの投稿がとにかく面白い!|「【自然ビト #09】山は僕らにとって気分を害する出来事がない、だから落ち着く/会社員・インスタグラマー ヤマガスキナダケさん」の13枚目の画像

ソロ登山、仲間登山、夫婦登山、親子登山と、様々な山スタイルを楽しんでいるヤマガスキナダケさん。インタビュー中、二人の笑顔、息の合った掛け合い、愛あるツッコミがとにかく絶えず、仲睦まじい様子を見ているとこちらまで幸せな気持ちになりました。それはもちろん、instagramからもひしひしと伝わってきます。みなさん、ヤマガスキナダケさんのインスタ要チェックですよ。

instagram:@yamagasukinadake



そんなヤマガスキナダケさんの素敵な住まいが分かる『アウトドア好きのお部屋、訪問しました』は近日公開予定!


▼その他の「自然ビト」も好評公開中!

この記事を書いた人

山畑 理絵

音楽プロダクションの制作、アウトドアショップの販売員を経てライターになる。のんびり日帰りハイクからガッツリテント泊縦走、トレイルランニング、ボルダリング、スキーと四季を通してフィールド三昧。アウトドア媒体をメインにライター活動をする傍ら、アロマテラピーインストラクターとして「山とアロマ」をテーマに、神出鬼没なワークショップを展開中。

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山畑 理絵

春夏秋冬、日本の美しい山を求めて歩きまわっています。

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