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毎日の生活に、自然に囲まれる機会を取り入れる。

たまに行く山登りもいいけれど、日々の生活の中に、もっと自然と触れる機会を取り入れてみませんか?
最新の研究結果に対する考察から、筆者も実践している、自然と触れ合う頻度を増やす方法までをご紹介します。

都会のストレスと、自然環境の関係

みなさんは、最後に自然の中に身を置いたのはいつでしたか?
普段、都心やオフィスの中で仕事をしていると、日常生活の中に自然体験を取り入れることは容易ではないかもしれません。場所によっては、もしかしたら丸一日植物を見ずに家路につくといった人もいるのではないでしょうか?

先日、米国科学アカデミーが発行する機関誌へ投稿されたスタンフォード大学を中心とした研究発表の中に、興味深いものがありました。

鬱病の原因にもなりやすい反芻(はんすう)思考状態(過去の失敗や悔やみを繰り返し引き出し、くよくよ考え込んでしまうような思考状態)に関する調査です。
調査は、都市部での生活環境の関係性を把握するために、自然環境の中で90分間散歩してもらった被験者グループと、都市部で90分間散歩してもらった被験者グループを比較して行われました。

すると、自然環境の中を90分間散歩したグループは、反芻思考によって活性化する脳の前頭前野の動きが減少したのに対し、都市部で散歩したグループは大して減少しなかったそうです。

具体的な数値が載っていないため、どこまで軽減したのか、被験者のサンプル数や状態なども気になるところですが、実際に今の僕自身の周辺環境に当てはめてみても、納得できる結果のように思えます。

長野の自宅で仕事をしていて煮詰まったとき、外に出て、庭の丘を上がって散歩したり、生えている草木を見て回ったりするだけで、気持ちが変わることに気づきます。
自然環境は絶えず細かな変化があります。草木を見てまわりながら、「先週はこんなに背が高くなかったぞ」とか、「こんなところにこんなの生えてたっけ?」など、小さな変化に対する気付きは、普段の仕事の頭とは別の刺激を与えてくれます。

スタンフォード大学が提示する90分という自然体験は、脳の動きに変化を与えるには十分な時間なのかもしれません。

見て歩くだけでなく、触れてみる。

歩き回るだけでも十分効果はあると思いますが、さらにここに、直接自然に触れてみることもぜひ追加してみるのはいかがでしょう。

芝生や土に触ってみる。生えている花の葉っぱや木の幹に手を当ててみる。
自分の手足で直接触れることによって、より多くの情報と刺激を得ることができます。

また、触れることによって、身体に溜まった静電気が抜けていくアーシングのような効果も得られるのではないでしょうか。少なくとも、PCのキーボードに触れているのとはまったく別の体験ですよね。

視覚的情報だけでも十分気分転換にはなりますが、実際に肌での接触を組み合わせることによって、より具体的な体験として記憶に残ることになります。

ブレストを自然の中でやってみる。

以前、広告会社で働いていたとき、よくプランナーの先輩たちから、「歩きながらブレストする」話を聞きました。
僕も実際に実践していましたが、人間は足に神経が集中しているので、刺激することで脳も活性化され、アイデアが出やすいとのこと。

では、会社のチームで自然の中を1時間でもいいからゆっくり歩き、議論するのはどうでしょう?別に遠くの山まで合宿をしに行けと言うわけではありません。近くの公園でもいいので、1時間程度、チームでゆっくり歩きながらブレストやアイデア共有を行う。それくらいでいいのです。

週に1回でも2回でもいい。もしあなたが仕事でストレスを抱えているのであれば、普段の仕事や生活の中に、“自然を見て歩き、触れる”という体験を取り入れてみるのはいかがでしょう。あなたの次の日の仕事に、ちょっとした変化があるかもしれません。

イラストレーション:Masatoo Hirano

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