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【登山記Vol.36 南アルプス全山縦走】2日目 仙水小屋〜甲斐駒ケ岳〜仙丈ケ岳〜間ノ岳〜北岳山荘/バン旅百名山

【登山記Vol.36 南アルプス全山縦走】2日目 仙水小屋〜甲斐駒ケ岳〜仙丈ケ岳〜間ノ岳〜北岳山荘/バン旅百名山

6日間の南アルプス全山縦走の軌跡を6回に分けてご紹介していきます。今回は、南アルプス縦走正念場の2日目、仙水小屋〜甲斐駒ヶ岳〜仙丈ヶ岳〜間ノ岳〜北岳山荘(27.6km)のルートを写真とともにみなさんにお届けします。ルート紹介はもちろんのこと、見所や水場、小屋の情報なども一気見せ!

南アルプス全山縦走ルート

本日のルートをご紹介

本日のルートをご紹介

2日目は仙水小屋からまずは甲斐駒ヶ岳をピストンし、仙丈ヶ岳へ向かいます。その後、仙塩尾根を通り三峰岳のピークを踏み、間ノ岳へ。そして間ノ岳から北岳山荘までの道のりです。2日目は今回の縦走で一番辛かった1日で、自分たちの計画のずさんさを痛感しました。しかし、間ノ岳から見た夕焼けと夜景は忘れることができない絶景です!

まだ暗い中、甲斐駒ヶ岳ピストンへ!仙水小屋〜甲斐駒ヶ岳ピストン〜長衛小屋

まだ暗い中、甲斐駒ヶ岳ピストンへ!仙水小屋〜甲斐駒ヶ岳ピストン〜長衛小屋

午前3時、まだ暗い中、まずは仙水小屋から甲斐駒ヶ岳をピストンで登りにいきます。テントとそのほかの荷物は仙水小屋にデポしておきます。まずは6合目の駒津峰まで約1時間林道歩きです。

まだ暗い中、甲斐駒ヶ岳ピストンへ!仙水小屋〜甲斐駒ヶ岳ピストン〜長衛小屋

仙水小屋から甲斐駒ヶ岳までは標高差約800m。その800mを一気に駆け上がるため、かなりの急登が立ちはだかります。仙水小屋から仙水峠を経由し、林道の直登。そして甲斐駒ヶ岳6合目でもある駒津峰に到着です。

まだ暗い中、甲斐駒ヶ岳ピストンへ!仙水小屋〜甲斐駒ヶ岳ピストン〜長衛小屋

駒津峰から六方石まではかなり急なアップダウンが続きます。この日は雨が降っていたため、岩場などかなり滑り大変危険でした。ロープがない岩場もあるため慎重に進んでいきます。また、晴れていればこの位置から甲斐駒ヶ岳の姿を見ることができます。

まだ暗い中、甲斐駒ヶ岳ピストンへ!仙水小屋〜甲斐駒ヶ岳ピストン〜長衛小屋

六方石から甲斐駒ヶ岳山頂まではゆるい砂地が続きます。傾斜もかなり急かつ危険なトラバース箇所もあるため慎重に登っていきます。晴れていればそれほど慎重にならずに済んだのかもしれません。

甲斐駒ヶ岳山頂

仙水小屋から2時間45分で甲斐駒ヶ岳山頂に到着です。晴れていれば、かなりの大展望が期待できましたが、運悪くガスガスで展望はありませんでした。しかし、時折雲の合間から顔を出す太陽に元気をもらいながら再び仙水小屋まで下りていきます。

長衛小屋を目指します

甲斐駒ヶ岳から仙水小屋まで帰り、荷物をピックして長衛小屋を目指します。長衛小屋までは沢沿いを進んでいきます。途中、少し道がわかりづらくなっている箇所がありますが、目を凝らすとどこかにピンクテープが必ずあるので焦らず確認しながら進みます。

※基本的に沢沿いを進めば長衛小屋に到着できます。

長衛小屋

仙水小屋から沢沿いを下ること約30分、長衛小屋に到着。長衛小屋は水場もあり、幕営数が70張とかなり大きな山小屋です。ここから小仙丈ヶ岳まで標高差1000mを一気に駆け上がります。2日目の序盤からかなりハードな山行です。

標高差1000m超え!2時間の死闘 長衛小屋〜小仙丈ヶ岳〜仙丈ヶ岳

標高差1000m超え!?2時間の死闘 長衛小屋〜小仙丈ヶ岳〜仙丈ヶ岳

長衛小屋から小仙丈ヶ岳を経由して百名山でもある仙丈ヶ岳を目指します。長衛小屋から仙丈ヶ岳までは標高差1000mを超え、2時間にも及ぶ急登が続きます。2日目で初めての正念場になります。

標高差1000m超え!?2時間の死闘 長衛小屋〜小仙丈ヶ岳〜仙丈ヶ岳

小仙丈ヶ岳までの登山道には、「〜合目」という看板が等間隔に設置されています。しかし、この看板のせいで私たちのメンタルがやられました。ある程度登り、かなり疲弊しているところに3合目という標識が目に入ると「まだ3合目!?」となります。登り始めて1時間を過ぎたあたりから視界が開けてきました。ガスで先が見えない中、小仙丈ヶ岳を目指します。

標高差1000m超え!?2時間の死闘 長衛小屋〜小仙丈ヶ岳〜仙丈ヶ岳

長衛小屋から急登を登り続けること約2時間、ようやく小仙丈ヶ岳に到着です。小仙丈ヶ岳からは正面に北岳がドカンとそびえ立っており、その迫力に圧倒されること間違いなし!

標高差1000m超え!?2時間の死闘 長衛小屋〜小仙丈ヶ岳〜仙丈ヶ岳

小仙丈ヶ岳から仙丈ヶ岳まではきついアップダウンが続きます。ガスで先の見えない状況にがっかりしながらも一歩一歩進んでいきます。

標高差1000m超え!?2時間の死闘 長衛小屋〜小仙丈ヶ岳〜仙丈ヶ岳

稜線を進んでいると、左側に仙丈ヶ岳から塩見岳まで続く仙塩尾根(通称:バカ尾根)の姿が。この日は、この果てしなく続く仙塩尾根が「バカ尾根」と呼ばれている理由を痛感しました。

標高差1000m超え!?2時間の死闘 長衛小屋〜小仙丈ヶ岳〜仙丈ヶ岳

仙丈ヶ岳山頂直下。これを登り切ると仙丈ヶ岳の山頂です。

仙丈ヶ岳山頂

小仙丈ヶ岳から約40分で仙丈ヶ岳山頂に到着します。晴れていれば、甲斐駒ヶ岳や北岳などの南アルプスの山々はもちろん、中央アルプスや富士山まで見渡すことができます。ここから三峰岳まではアップダウンの激しい仙塩尾根を進んでいきます。

仙塩尾根・通称「バカ尾根」でメンタル折れかけ 仙丈ヶ岳〜仙塩尾根〜三峰岳

仙塩尾根・通称「バカ尾根」でメンタル折れかけ 仙丈ヶ岳〜仙塩尾根〜三峰岳

大仙丈ヶ岳を経由し、苳ノ平まで標高差500mを一気に下ります。この区間は両側が崩れ落ちたナイフリッジが点在するため、慎重に進んでいきます。

仙塩尾根・通称「バカ尾根」でメンタル折れかけ 仙丈ヶ岳〜仙塩尾根〜三峰岳

伊那荒倉岳、横川岳と2つのピークをつなぎ、展望のないトレイルを歩きます。苳ノ平から三峰岳の登り始めである野呂川越まではそれほどアップダウンはきつくありません。また、伊那荒倉岳付近には水場もあるためこのセクションは気持ちよく歩くことができます。

仙塩尾根・通称「バカ尾根」でメンタル折れかけ 仙丈ヶ岳〜仙塩尾根〜三峰岳

野呂川越から三峰岳まで、2時間半のきつい激坂が立ちはだかります。ガスっていたということもあり、先が見えない激坂に何度も心が折れかけました。

仙塩尾根・通称「バカ尾根」でメンタル折れかけ 仙丈ヶ岳〜仙塩尾根〜三峰岳

野呂川越から約2時間で、ようやく三峰岳の山頂が顔を出します。この時点で時刻は18時を回り、薄暗くなってきました。山頂が見えてからも30分ほど登り続けます。「バカ尾根」と言われている所以がここにあり!

三峰岳の山頂

仙丈ヶ岳から約6時間、野呂川越から約2時間半、ついに三峰岳の山頂に到着です。仙水小屋を出発したのが午前3時なので現時点で15時間行動していることになります。三峰岳についた頃には2人とも心身ともに疲弊していましたが、北岳山荘を予約していたこともあり気力を振り絞って歩き始めます。

三峰岳の山頂

三峰岳の山頂からは農鳥岳から顔を出す富士山や間ノ岳・北岳のほかに、仙塩尾根の終点塩見岳、その奥に広がる南アルプスの山々を見渡すことができます。

沈む太陽に照らされながら歩く天空の稜線歩き 三峰岳〜間ノ岳〜北岳山荘

沈む太陽に照らされながら歩く天空の稜線歩き 三峰岳〜間ノ岳〜北岳山荘

三峰岳から間ノ岳の稜線はまさに天国です。夕日に照らされた稜線は息をのむほど美しく、この全山縦走で一二を争う絶景でした。三峰岳から間ノ岳までは30分ほど、天空の稜線歩きが楽しめます。

間ノ岳

時刻は19時15分、間ノ岳に到着です。夜の間ノ岳からは甲府市の夜景を遠くに見ることができます。基本的に遅い時間にテント場に着くことはタブーですが、この時ばかりはこの時間に来てよかったと思えるほどの絶景に出会えました。

間ノ岳

日が沈むのを横目に、中白根山を経由して北岳山荘を目指します。間ノ岳〜中白根山〜北岳山荘のセクションは森林限界を優に超えているため、南アルプス随一の壮大な景色を堪能しながら歩くことができます。

北岳山荘

※写真は翌朝撮影したもの。

20時40分、間ノ岳から中白根山を経由して、本日のテント場である北岳山荘に到着。3000m付近をかなり疲弊した体で長時間歩いていたため、軽い高山病にもなりましたが、なんとかたどり着くことができました。夜遅くの到着だったにも関わらず、丁寧に対応してくださった山荘の方々には本当に感謝しかありません。

北岳山荘の基本情報

北岳山荘

幕営数:40張 1000円/1人(要予約)
収容人数:70名
電気・水場:あり

北岳山荘は完全予約制になっているため、事前に「南アルプス市観光協会」のHPから予約する必要があります。

南アルプス市観光協会URL:https://minami-alpskankou.jp/

テント場から真正面には富士山が見える北岳山荘は、南アルプスの山小屋の中でもNo.1の展望と言われることも!

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は南アルプス全山縦走の2日目をお届けしました。この日の山行で、「自分たちの体力のなさ」「計画のずさんさ」を痛感しました。夜まで長く歩き続けることは決してすごいことではなく、逆に大変危険な行為です。夏は夕方に雷が落ちることも少なくなく、夜になると体温の低下、そして道迷いにもつながります。この日はなんとか無事に山荘にたどり着けたものの、決してそれを美化してはならず、自分たちのこれからの山行に昇華していきたいと思います。

※ただ、オーバーナイトで歩き続ける山行スタイルなどあるため、100%やってはいけないことではないと思います。自分たちの力量にあった計画を立てるのがベストです。

縦走1日目

縦走2日目

縦走3日目

縦走4日目

縦走最終日

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