山小屋泊で登山を楽しむ!鍋割山荘の絶品鍋焼きうどんが魅力の鍋割山編
鍋割山は標高1,272.5mと、決して高い山ではありませんが、とにかくさまざまなコースからアプローチができて、日帰りから山小屋泊しながらの縦走まで楽しめる山です。冬は積雪も少なく年中登山ができるので、上級の山行のトレーニングにもぴったりです。
今回は、少し肌寒いこの時期だから行きたくなる、山頂にある鍋割山荘の名物「鍋焼きうどん」を目指します。
もくじ
大倉-二俣-鍋割山-小丸尾根-大倉の縦走コース
一般的なピストンコースは、大倉-鍋割山の往復です。しかし、来た道を引き返すのも物足りないので、今回は鍋割山から小丸まで足をのばし、急な小丸尾根を下るコースにしました。
登山開始はここ、大倉(バス停)から始まります。比較的大きいターミナルなので、インフォメーションや、ほかの山の登山口にもなっています。登山届はここで済ませましょう。
大倉からは、塔ノ岳と鍋割山の登山口があります。ほかの登山者に着いていくと、うっかり塔ノ岳方面に行ってしまうので注意してください。
もちろん塔ノ岳から鍋割山へ縦走することもできますが、大倉から塔ノ岳までは一直線のキツイ尾根(通称バカ尾根)のコースなので、鍋割山方面に行くことをオススメします。
しばらくは林道を歩く
このコースでは最初に、「西山林道」という沢沿いを3キロほど歩きます。なだらかな上り傾斜を歩くので、準備運動をしながら歩きます。
途中、赤い蝶ネクタイの首輪をつけたネコに出会いました。1キロくらい、ピッタリと横についてペースを合わせながら一緒に歩いてきます。少しでも追い抜いたら前に行き、振り返っては一緒に歩く。まるで道案内をしてくれているようです。
鍋割山はブナ林が良く残っており、その林の中を歩くととてもきれいです。
丹沢大山国定公園の看板がありました。この国定公園内には、1,500m級の山が連なっており、その中で鍋割山は12位。
ちなみに、丹沢にはこの林道のように標高が低く、沢など水分が多い場所では10月になってもまだまだヒルがいます。この後、コーヒーを飲むために休憩したのですが、ほんの数秒で靴についていました。
山道にはところどころにヒル退治用の「塩」が設置されています。
長いブナ林を抜けた終点、二俣まで来て川にかかった橋を渡ると、ようやく登山道らしい雰囲気になってきます。ここで気合いを入れるために、コーヒーを淹れようと思ったらドリッパーを持ってくるのを忘れたようです。
仕方がないので、小枝でペーパーフィルターを支えてなんとか無事に淹れることができました。
二俣を過ぎれば、歩荷(ボッカ)で山頂を目指す
鍋割山は歩荷(ボッカ)で有名です。ボッカとは、荷物を背負って山小屋などに荷揚げすることです。ヒマラヤで「シェルパ」と呼ばれている方々は、ボッカで生計を立てているわけです。
このペットボトルの水は、鍋割山の頂上にある鍋割山荘まで、登山客にふもとから水をボランティアで運んでもらうために置いてあるものです。ワタシはけっこうヘタレなので、2Lペットボトル1本のみお手伝いしましたが、近くにいた男性は5本もザックに入れていました。
鍋割山荘で毎日消費される大量の鍋焼きうどんの材料などは、小屋のご主人が毎日60キロ以上の荷物をボッカで頂上まで運ぶそうです(最高記録は114キロ!)。アコンカグアやヒマラヤなどの経験を持つ、「これぞ山の男!」という感じの渋い方です。体力に自信がある方は、トレーニングがてらにチャレンジしてみては。
後沢乗越分岐からはあと一息
たかが2Lを背負っただけなのですが、二俣を過ぎると突然急な登りが続くので、疲労感が増してきます。写真ではその傾斜がなかなかうまく伝わりませんが、けっこう大変な斜面を登ります。
後沢乗越に来ました。ここからは尾根伝いに山頂を目指します。
鍋割山荘へ到着
山頂の鍋割山荘に到着しました。お昼時とあって混雑しています。
鍋割山に登る人の中にはワタシのように、ここの鍋焼きうどんを目的に登られる人も多くいるようです。
こちらが名物・鍋焼きうどん(1000円)。これからの時期、寒くなってくるので山頂で食べるアツアツのうどんは絶品です!
山小屋のご主人が登山中に、「ボリュームがあるものを」と考案されたメニューだそう。天ぷら、キノコ類、大きい油揚げ、ほうれん草、卵など、とにかく「これでもか!」というぐらい具が入っています。
少し甘めのお出汁が、疲れた身体にしみわたります。
少し曇って肌寒い日でしたが、富士山がちょうど姿を現してくれたので、絶景とともにいただきました。山頂までボッカで荷物を運び、ひとつひとつ丁寧につくられたこの鍋焼きうどん。
味はもちろん、心のこもったおもてなしが名物として愛されている秘訣ですね!
縦走して一泊しても良し
鍋割山が位置する大倉尾根には、とても多くの山小屋が点在します。縦走を楽しむにはぴったりの丹沢なので、体力がある方は一泊して近隣の山を楽しむのも良いでしょう。
先日紹介した大山-塔ノ岳-鍋割山縦走コース、鍋割山-塔ノ岳-丹沢山-蛭ヶ岳の日本百名山の丹沢山を登るコースなど、山小屋を利用しながらの縦走も丹沢の魅力のひとつ
活動距離16km、7.5時間、高低差1,000m
山頂で昼食をとった後は、下山開始です。名残惜しい山頂からの富士山を後にします。
来た道を引き返すのではなく、尾根伝いに進み、次のピーク「小丸」の先にある小丸分岐から、急な斜面を降りるマニアックなコースで下山しました。
まとめ
鍋割山は表丹沢に位置する山のひとつです。高低差はそこまでないものの、16km、7.5時間と歩きごたえは十分あります。ペースを速めて縦走したり、山小屋泊を楽しんでみたり、これからの積雪登山に備え、1年中トレーニングができるところも魅力的です。
まずは美味しい鍋焼きうどんが魅力の鍋割山から、丹沢の拠点を拡げてみるのも良いかもしれません!
日本の豊かな自然と美しい自然が大好きです。
森林、山岳、企業CSRの環境分野など、自然・山に関するライティングを得意としています。趣味は登山、サーフィン、キャンプ、旅行など、自然を体感して体をいっぱいに動かすことが好きです。