外遊びは足元から|#12 剛性が高いのに足さばきは軽快! キーンの防水ハイキングシューズ「ヴェンチャー」
キャンプやフェス、だけじゃない。
「キーン」と聞いてどんなシューズが思い浮かびますか? 個人的に特に印象深いのは「ヨギ」「シャンティ」といったクロッグサンダルや、「ニューポート」をはじめとする水陸両用サンダル。また、2本のコードを編み上げてつくられた斬新な構造を持つ「ユニーク」の大ヒットも記憶に新しいところです。
また、キーンは本格的な登山靴やハイキングシューズもつくっているものの、ブランドとしては登山やハイキングより、キャンプやフェスで愛されている印象があります。そう感じているのはおそらく僕だけではないでしょう。
そんなキーンから今季、まったく新しいハイキングシューズがリリースされました。
この「ヴェンチャー」は防水機能を備えたローカットのハイキングシューズ。お洒落で洗練されたデザインはキーンならでは。
独自の防水透湿素材「キーンドライ」を採用。アッパー自体は濡れるものの、内部には水を一切通しません。
アウトソールは新設計の七角形ラグパターン。ラグは4mmと深め。ミッドソールは硬めで、安定性を高めるX型のシャンクが内蔵されています。
履き口まわりには「コネクトフィット」と呼ばれる独自のフィットシステムを採用。
シューレースを引っ張ることで、かかと部分がしっかりと固定され、足へのフィット感を高めてくれます。
優れた剛性と機動性。どんな路面もクイックにガシガシ歩ける。
さて、この「ヴェンチャー」を履いて、実際に山を歩いてみましょう。
ローカットのハイキングシューズ自体は他のブランドもつくっており、珍しいものではありませんが、この「ヴェンチャー」はそのなかでもかなり剛性が高く、かなりがっしりとした履き心地。登山靴のそれに近い印象です。これはおそらくXシャンクと呼ばれるシャンクが内蔵された硬めのソールの影響かと思います。
その剛性の高さゆえ、歩行時の安定性は極めて高く、岩場や砂利道でも路面の凹凸をほとんど感じません。雑に歩いてもなんとかなってしまうというか。同じローカットでもトレイルランシューズの場合は剛性より屈曲性を重視したものが多いけれど、この「ヴェンチャー」はそれとはまったく真逆のつくりです。そのあたりは好みの問題もあり、個人的には屈曲性の高いトレイルランシューズが好きだったりしますが、登山やハイキングがメインなら剛性が高いほうが靴任せにして歩けるので安心でしょう。
また、剛性の高さだけでなく、足をクイックに動かせる機動性も持ち合わせていることがこのシューズの大きな特徴。それはローカットであることに加えて、ヒール部を含めたアッパーのフィット感の高さゆえのこと。ちなみにキーンのシューズは次の一歩を踏み出しやすいよう、つま先の部分がすこし上向きにつくられていて、それも機動性の高さにつながっています。キーンドライのライニングはややゴワゴワした素材感で、最初に足入れした瞬間はフィット感に若干の不安をおぼえたものの、シューレースを強めに引っ張ることでヒール部がキュッとホールドされ、高いフィット感を得ることができました。
ハイカットの登山靴の締めつけ感が苦手。ローカットを履いて軽快に山を歩きたい。でも、トレイルランシューズはちょっと……。そう考えている人に、この「ヴェンチャー」はぴったりな一足。山歩き用のシューズを新調しようと考えているなら、ぜひこのシューズを候補のひとつにしてみてはいかがでしょうか。低山ハイクから高山の岩稜地帯まで幅広いシーンで対応してくれると思いますよ。
最後におまけを。防水仕様であることもこのシューズの魅力のひとつであるわけですが、試しに沢をジャバジャバと歩いてみたところ……。
内部にまったく浸水することなく、足元はサラサラのまま。防水性の高さにビックリです。
・デザイン ☆☆☆☆☆
・フィット感 ☆☆☆☆
・軽さ ☆☆☆☆
・防水性 ☆☆☆☆☆
・コスパ ☆☆☆☆
Run for Beer, Beer for Run.
1976年生まれ。フリーランスのエディター、ライター。スニーカー専門誌『SHOES MASTER』編集長、ランニング専門誌『Runners Pulse』副編集長、フイナム ランニング クラブ♡部長。