水のある場所で人は立ち止まり、休む。
山を歩くようになって、そのことに気づいた。

吸い寄せられるように
沢や池、滝へと足が向き、
「じゃあこの辺で休もうか?」となる。

それは誰と歩いても同じで、
反対する人はいない。

水のきらめきを背景に、
人はただずむ。

歩き続け疲れた体を
ひんやりとした空気が包み、
会話もはずむ。

怠け者で、頂上にこだわりのない私は
「今日はここでずっと過ごすのもいいよなぁ」
などと頭によぎったりする。

そんな考えを知ってなのか、
冷たい風が吹いてきて、そろそろ歩きだせと
私に合図を送る。

ザックを背負い、歩き出す。
一歩づつ、すこしづつ。

水辺での休息をえたそのあゆみは
ずっと軽やかに思えた。

野川かさね

写真家

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野川かさね

山と自然をテーマに作品を発表。著書に「山と写真」、共著に「山と山小屋」「山小屋の灯」「山・音・色」など。ホシガラス山岳会としても出版、イベントに携わる。

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