02 雪の森 〜野川かさね エッセイ〜
雪の森を歩く。
時おり頭の上のほうで聞こえるのは
ホシガラスの鳴き声。
ガァーガァーと大きな声が響く。
ブラブラと歩いては立ち止まり、シャッターを切る。
撮り終えて歩きだすが、
また気になるものを見つけて立ち止まる。
少し歩いては、写真を撮り、また歩く。
その繰り返し。
シラビソやコメツガなどの常緑樹の葉の緑が
雪で覆われて、まだらに見え隠れする。
雪は葉っぱに沿うように積もるものもあれば、
積もる面を持たない細い葉には
団子のように丸くなってくっついている。
そのどれもが違う形を作っていて、
見ていて飽きない。
そして、また歩みをとめる。
今日の目的地は登山口から
2時間ほどの山小屋。
今はその半分の道のりを過ぎたところ。
写真家。
山と自然をテーマに作品を発表。著書に「山と写真」、共著に「山と山小屋」「山小屋の灯」「山・音・色」など。ホシガラス山岳会としても出版、イベントに携わる。