• キャンプや登山に関わる人々へのインタビュー記事一覧です。自然に魅せられたアウトドアフリーカー、自然と共に生きるアスリート、熱い信念を持つオーナー等、その想いやヒストリー、展望など、写真と共に丁寧にお伝えします。今後の人生の選択肢のひとつとなるヒントが、見つかるかもしれません。
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“眠っている道具はありませんか?”楽しみ方の多様性を提案する、新潟県のアウトドアショップ『ロックガレージ』

そこに行けば、アウトドアに精通したオーナーがいる。
そこに行けば、掘り出し物が見つかる。
そこに行けば、アウトドア遊びの幅が広がる。

そんなお店が全国各地にできたなら、日本の豊かな自然をフルで満喫できて、もっとアウトドアは楽しくなるに違いない。

新潟県新潟市の住宅街。思わず通り過ぎてしまいそうな民家のガレージに、古着とアウトドアのショップ『ロックガレージ』はある。自宅を改装したという店内は、360度ところ狭しと道具が並んでいる。大型のアウトドアショップでは見慣れないような道具がたくさんあるのだが、聞くと、この道具たちは一般的な売り物とはちょっと違うらしい。

並ぶのは、家のなかで眠っていた道具たち

一歩足を踏み入れると、宝探しをはじめたくなるような店内。道具好きならば、掘り出し物を見逃すまいと小一時間は容易に経ってしまうだろう。

登山やキャンプ以外にも幅広くアウトドア道具を扱うロックガレージは、オーナーの新國さんが個人で営んでいる。一見、これらは新國さんのコレクションなのか?と思ってしまうが、そうではない。

ロックガレージオーナーの新國さん

ロックガレージオーナーの新國さん

新國さん:
「ここに置いてあるものは僕が仕入れたものもありますが、多くはお客さんから販売を委託してもらった中古品なんですよ」

最初聞いたときは、正直「???」だった。古着も扱っているので、いわゆる古着屋のようにマーケットで買い付けてきたもの、というのはすんなり腹落ちするのだが、”お客さんから販売を委託してもらった中古品”とは?

つまりはこういうことだ。

お客さんが自分の道具をロックガレージに持ち込んでくる。新國さんは買い取ることはせずに、その道具の価値を見出して店頭に置く。売れた場合は、持ち込んだお客さんと新國さんとで売上を分かち合う。お客さんは使わなくなった道具を外に置いておけるし売れた場合は基本的には希望額のバックがある。新國さんは、場所さえ用意すればリスクなく売ることができる。そんな仕組みだ。

新國さん:
「会社員の時からこんなお店をやってみたいなと思っていたんですよ。アウトドア道具って、だいたいみんな新しいものに買い換えたりして古いものは家の奥で眠っていますよね?そういう道具を僕が一旦引き取って、価値を付与して販売すればまた新しいオーナーの手元に道具が渡る。そうして道具が人から人へと長く使われる仕組みなんです」

固形燃料を用いる、昔の日本の登山道具。ご高齢のお客さんからの委託だそう

固形燃料を用いる、昔の日本の登山道具。ご高齢のお客さんからの委託だそう

ただの中古販売と何が違うの?と思う方もいるかもしれない。表面的には確かに変わらないのかもしれないが、品揃えは”新國さんのセレクト”というのがポイントだろう。

ベースとなっている新國さんが仕入れてきた道具も個性が光っているのだ。

例えば、軍モノ。
編集部も取材の際に、軍モノのテントを手直ししたポンチョなどを購入した。わかりやすく「これはキャンプで使えるね」というものから、新國さん独自の視点でアウトドア使いできる道具へとカスタマイズした道具が並んでいる。

新國さん自身が、中学生の頃からアウトドアに触れてきているアウトドア好きであるがゆえに、古くて良い道具や服というものには精通している。そんな新國さんセレクトを見たお客さんが持ち込んでくるため、委託販売している商品の質は非常に高い。そして、売られる道具に正当な価値がつき、来店したお客さんもそれに魅了され、それを見てまた質の良い道具が持ち込まれる。そんな好循環が生まれているのがロックガレージなのだ。

 多く持ち込まれるのはビンテージランタンだという。これも、価値をわかってもらえると思うからであろう

多く持ち込まれるのはビンテージランタンだという。これも、価値をわかってもらえると思うからであろう

新國さん:
「どうせ家で眠っているんだったら、うちで眠らせておきなよっていう考え方ですね。例えば気が変わってやっぱり使うから持ち帰っても全然いいんです。来てくれたお客さんも、言ってしまえば買ってもらわなくたっていいんですよ、こういう珍しいものがあるんだよっていうのを見せてあげたいし、多くの人に知ってもらえたらいいなと思ってます」

アウトドア話をしに来る、だけでもいい

かなりマニアックな道具も多く、アウトドアフリークが客層のメインと思うかもしれないが、意外にそうでもないらしい。

新國さん:
「道具を買いに来る以外にも、キャンプを初めて間もない若い子たちにはバーナーの使い方を教えてあげたり、おすすめのキャンプ場を聞かれることがよくありますね。

今って、キャンプ場ひとつとってもピンポイントでしか探せなくて、メジャーなところしか知らないっていうことが多くて。僕は自転車も乗るから、新潟市内をグルグル回ってると、ここいいなぁっていうところを見つけたりするんですよね。そこでむやみやたらにキャンプはできないけど、コーヒーを飲んだら気持ちいいだろうなとか、そういう場所を教えてあげたりしてるんです」

新國さんは大の自転車好きで、ロードもマウンテンも、キャンプライドや新潟らしくスノーライドなど、自転車とひとことで言っても様々な形で楽しむ。自転車以外にも、オートキャンプも登山もするし、スノーシューでしか行けない場所でキャンプなどマニアックな遊びまで、一通りのアウトドアのアドバイスはできる。だからこそ、お客さんは新國さんを頼って店に話をしにやって来る。

新國さん:
「これからはもっと遊び方を提案したいと思っています、遊びに伴って道具がありますからね。遊び方がわからない人って意外と多いんですよ。だから僕自身がもっと色々な遊び方を知っていきたいなと思っています」

取材中、アウトドアコーヒーの話で盛り上がった。新國さんにもこだわりがあって、たとえば山でコーヒーを飲む時に、水は持っていかないっていうルールを課していたそうだ。水は現地調達。沢などで水を汲んでその地の水でコーヒーを淹れる。自然好きとしては一度はやってみたい遊び方だ。

楽しみ方を楽しむ、クラシックでもULでも

新國さん:
「ウルトラライトな道具って持っている人はすごく増えてきていると思うんですけど、それをもっとその特性を生かした遊びに使うってことがあまり多くないように見えるんですよね。だからもっとそういう道具を使い倒すような遊びのイベントもやってみたいなって思っています。

一方で、僕はもともとアメカジが好きで、クラシックなアウトドアスタイルも大好きなんですよ。ニットにレザーのザック背負って、革のブーツで登山をする、みたいな楽しみ方も発信していけたらと思いますね」

この空間に訪ねたくなるのは、偏った価値観に捉われない、アウトドア本来の「ワクワク感」が凝縮されているからなのかもしれない。

もちろん何かのジャンルに特化したショップも深くのめり込むためには必要だし、そこに集まる人はそのジャンルが好きだから集まる、ゆえにみんな仲間だという安心感もあるだろう。

ただ、もっと自然を満喫したい、もっともっと自由に遊びたい、という気持ちが生まれたなら、一度ロックガレージを訪ねてみてはどうだろうか。きっと何か楽しみ方のヒントを持ち帰れるはずだ。

-Shop information-

ロックガレージ

営業時間:
13時〜19時
*変更の可能性があるため、下記facebookページのチェックをお願いいたします

ウェブサイト:
Facebookページ

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