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22 冬のにおい 〜野川かさね エッセイ〜
冬のにおいがする。
鼻のおくにツンと刺さる冷たい空気のにおい。
木々の隙間から細く、鋭い光のにおい。
土からあがる湿気に満ちた湯気のにおい。
小屋の煙突から立ち上る薪のにおい。
川の水しぶきが小枝の上で氷になる。
森の苔が凍っている。
その匂いたち。
鼻をくんくんと嗅がなくても、体全体から感じる冬のにおい。
その匂いで体がいっぱいになると
自分のすべての感覚がすっと姿勢を伸ばす。
そして、山は静かにきたる季節を自ら刻んでいる。
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![野川かさね](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/11/decbb4b8710f7f80b9a9284f9fea3472.png)
写真家。
山と自然をテーマに作品を発表。著書に「山と写真」、共著に「山と山小屋」「山小屋の灯」「山・音・色」など。ホシガラス山岳会としても出版、イベントに携わる。