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  • 登山に関するハウツー記事一覧です。山の登り方から、体幹トレーニング、ギアの使い方といった登山で役に立つアウトドア基本情報から、チルな山時間を過ごすヒントまで、初心者の方から上級者の方向けに丁寧にご紹介します。山に登る前に、ぜひご参考ください。

【写真家・高野晃輔氏に聞く】山でのカメラの選び方や撮影方法のポイントって何?

山道や山頂での撮影のポイントは……?

松田:自然の中では何を撮れば良いのでしょうか?

高野:「いいなぁ」と思える感性は、1人ひとり違うので正解はありません。強いて言えば、 自分が「いいなぁ」と思ったものを撮るのが正解です。
枯れている葉っぱに哀愁を感じたり、太陽の力強さだったり、雪山に魅力を感じる人もいるかもしれませんね。私は雪山が好きなんで(笑)
例えば、この小さな葉っぱも撮り方によっては、良い写真になると思います。

何気なく撮影した写真。何を訴求したいのか分かりづらい……

赤い葉っぱに寄ってみると、何を撮りたいかがはっきりしてくる。

「auto」設定ではなく「A」の絞り優先モードにして、前後をぼかしてみる。

※今回は初心者向けの記事なので、マニュアルの細かい設定までは紹介していません
※高野さん指導の下、松田が撮影

松田:これだけでも全然違いますね!赤い葉に強いメッセージを感じます。

高野:ほら、この太陽の木漏れ日感もいいですね。道を何気なく歩いているのではなく、感性を働かせて、自分が「いいなぁ」と思う瞬間を切り取って欲しいですね。

高野:よくバシャバシャ何枚も同じシーンを撮影する方がいますが、私の場合は必要以上に撮ることはなく、1枚に集中します。写真は「一瞬の瞬間芸」だとも思っています。
それに、山でバッテリーが無くなるリスクを減らすこともできます。

どんなカメラやレンズが良いの?

松田:読者の方で、これからカメラを買いたい方もいるかもしれません。どういったカメラやレンズを選べば良いのでしょうか?

高野:メーカーの好みや予算の問題、何を撮りたいかによっても変わってくるので難しい質問ですが、まずレンズ交換が可能な一眼レフやミラーレス一眼がおすすめです。

レンズは、最初は標準ズームレンズだけで満足できても、だんだんと「これが撮りたい!」という表現欲が出てきますからね。
まず、初心者のうちは遠いところを撮りたくなると思うので、標準ズームの次は望遠ズームレンズ、その次が単焦点レンズやワイドに撮れる広角ズームレンズ。そして、マクロレンズや魚眼レンズなども予算に応じて必要ですが、ここまで揃えるとお仕事になってしまいますね(笑)

例えば、標準ズームレンズだと焦点距離が24-105mmといった数値がレンズに記載されていると思います。70mmまでだと少し足りないもので、「24mmか28mm~100mmか105mm」までの標準ズームレンズがあれば、撮影表現の75%はカバーできるのです。

※焦点距離の短いレンズになるほど被写体が小さく写り、焦点距離の長い望遠レンズになるほど被写体が大きく写ります。

松田:山の撮影で必要な画素数はありますか?

高野:今、ある程度の価格の新しいカメラを買えば、2,000万画素くらい、iPhoneでも800万画素ある時代ですからね。ちょっと前は、プロでも1,200万画素くらいでポスターの撮影まで行っていたので、画素数にこだわるより、イメージセンサーのサイズにこだわって欲しいです。

「フルサイズ」と「APS-Cサイズ」という言葉は聞いたことがありますか?一般的に、フルサイズは予算面が高くなりますが、ボケ味や解像度が良く、大きなセンサーによって生み出される画質の美しさは山でも重宝します。

また、APS-Cサイズは比較的軽量で、軽快な撮影感やハンドリングのしやすさといったメリットがあるので、エントリーモデルとしておすすめです。

一部ミラーレス一眼カメラで、APS-Cをひとまわり小さくした「フォーサーズ」と呼ばれる大きさや、「1型・CXフォーマット」というサイズもあり、カメラ自体のサイズもコンパクトなので、目的に応じて選んでみてください。

松田:ほかに機能面ではどうでしょうか?

高野:アウトドアなので、防塵防滴機能はあった方がもちろん良いですね。霧や雨に機械は弱いので、もし機能として備わっていない場合は、防水バックに入れるなど保管をしっかりしてください。

あとは、手振れ補正機能はあった方が便利ですが、価格も上がりますし、自然の中では機械の機能に頼り過ぎないことも大事です。プロのカメラマンとしては、手振れ機能を使わずにぶらさないで撮る姿勢などは、常に意識して撮影しています。

まとめ 〜 登山撮影の心得 〜

日が沈んでしまったので、場所を移して取材のまとめ。電車に乗って約1時間で……新宿の居酒屋へ。高尾山は都心から本当にアクセスが良いですね。

松田:本日はお疲れさまでした!高野さんは本当に山に詳しいですね。

高野:祖父がカメラ好きで、小学二年生の時からカメラを持ってモノクロで撮っていました。中学生から一眼レフになり、テントを張ってキャンプをするなど。その頃から自然が大好きで、大学時代には山岳部に所属していました。
1990年にプロ写真家として活動をはじめ、雑誌や広告の写真撮影を開始すると同時に、山岳写真家としても活動していました。

松田:中学校の時からテントでキャンプってスゴいですね!今後も山の写真は撮っていくのでしょうか?

高野:これからの季節、冬山の撮影などをしたいですね。写真家は写真で人を幸福にすることが仕事だと思っているので、魅力的な写真をこれからも撮影していきたいです。

松田:最後に聞きたかったのですが、山を撮る時に一番大切なことは何でしょうか?ロケーションだったり、撮影技術だったり、良いカメラを持つことだったり……

高野:まず、山にたくさん行くことですね。テクニックやセオリーは色々ありますが、自分の心の動きに素直になることが一番大切だと思います。実際に山に行くことで、その感性は磨かれると思いますよ。

松田:山を楽しむことが、まずは大事。本当ですね!

高野:自然が相手なので、固定概念を捨てて素直に撮影してみると、とっておきの1枚が撮れるかもしれませんね。

取材・撮影 / 松田 然

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