2017年7月22日。長野県の八ヶ岳自然文化園にて開催された『山の日サミット2017』。「アウトドアを愛する人が自然のためにできることを考えるサミット。」というコンセプトで開かれ、2017年が2回目。

2016年からさらにパワーアップし、トークセッションやマルシェだけではなく、キャンプ、散策ツアー、鹿の食害調査など、参加者がリアルに体験できるプログラムが用意されました。今回の『山の日サミット2017』のテーマは、『LOW & POSITIVE IMPACT』。果たして、どういうメッセージなのでしょうか。

トークセッションの様子を中心に、当日の様子をお届けします!

LOW & POSITIVE IMPACTとは?

トークセッションでは、それぞれの分野での有識者のみなさんが『LOW & POSITIVE IMPACT』をテーマに語りました。そもそも、LOW & POSITIVE IMPACTって何?アウトドアやアクティビティーのなかの行動に移していくためにはどうすればいいのでしょう?

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<スピーカー>
増田 直広 (公財)キープ協会
木村 和也 「山歩みち」編集長
鈴木 みき イラストレーター
堀田 貴之 文筆家
長野 修平 ネイチャークラフト作家

<モデレーター>
津田賀央  Route Design合同会社


LOW & POSITIVE IMPACTというキーワードの生みの親である文筆家の堀田貴之さんから、この言葉が生まれた経緯、込めた想いが語られました。

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「元々は、1950〜1960年代にアメリカのアウトドアカルチャー界隈の人たちが使い始めた『LOW IMPACT』という言葉に影響を受けています。自然にダメージを与えない。たとえば、低山に重装備の登山靴はいらない、重装備であればあるほど道が崩れる。こういう考えが、僕のなかで当たり前になっていたんです。

何年か前くらいに、人間が自然に入ることで「ダメージを与えない」だけではなく「よりよくすることはできないか」と考えるようになり、『POSITIVE IMPACT』という言葉を使い始めました」(堀田さん)


LOW & POSITIVE IMPACTを実践するために、各スピーカーのみなさんはどのような取り組みを行なっているのでしょうか。それぞれの見解を聞いてみましょう。

まず語ったのは、フリーペーパー「山歩みち」の編集長で、アウトドアアイテムのレンタル・中古販売事業も手がける木村さん。

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「対アウトドアウェアメーカーに関してだと、リペアや中古への理解を示すことが必要だと思います。姿勢というか。登山道具ってよくできているので、そうカンタンには壊れません。だから長く使うのもいいし、メーカーが率先して中古やリペアの文化を醸成させていけたらいいと思います。対メディアに関してだと、アウトドア初心者の10〜20代って雑誌は読まないんですよね。だから私たちは、レンタルしてくれたお客さまにフリーペーパーを一緒に送る。そこで、富士山や屋久島といったメジャーな山以外の魅力的な山を伝えています」(木村さん)


続いて語ったのは、環境教育事業に携わる公益財団法人キープ協会の増田直広さん。

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「POSITIVE IMPACTができる人を育てる教育である環境教育に取り組んでいます。観光地でガイドウォークという形で自然を紹介したり、保育園児向けの環境教育プログラムをやったり……
自然のために、こんなことができるんじゃないですかということを伝えていきます。

⼭梨県⽴⼋ヶ岳⾃然ふれあいセンターの運営もしているので、清里の観光客に対して伝えていくのも役割だと考えています」(増田さん)


続いては、イラストレーターの鈴木みきさんが登場。山荘で働いていた経験を交えながら語りました。

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「私は山登りのコミックエッセイを描いているんですが、”これはだめ”みたいな表現はあえて避けています。逆に”こういうことやるといいよ”みたいは切り口が多いですね。

実は、以前山荘で働いていたときにロープウェイとかで遊びに来た観光客がゴミを捨てていってしまうことが多くあったんです。”ゴミを捨ててはいけません”と描いても全く効果がなかった。でもある日”山荘にはゴミ収集車が来ないので〜”と描いたら、パタッとなくなりました。だから、とにかく”あれもダメ、これもダメ”と描くのではなく、”こうするといいよ”という話を理由付きで描くようにしています」(鈴木)


ネイチャークラフト作家の長野さんは、「欲求」という切り口から語りました。

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「僕はネイチャークラフト作家なので、普段はナイフで削ってモノをつくったりしているんですが、最近は裸火で料理をつくってほしいみたいなリクエストを受けることも多いんです。

機材や道具を使わずに、食欲という欲求を叶える。食欲はもちろん物欲や性欲などの人間の欲求にダイレクトにつながり、かつLOW IMPACTなことが求められている感覚がありすし、探求していかなければならないな、と。登山にしても、結局欲求を叶えるために行くんですよ。大好きな美しい自然を保つために、LOW IMPACTなことをしていきたいです。

あと、モノも大事です。自然のなかで拾った素材で自作したり、リペアしながらボロボロになるまで使ったり……ってオリジナル要素になるからかっこいいんですよ。そういう欲求の先に、LOW & POSITIVE IMPACTな生き方があると思います」(長野)


ラストを飾ったのは、POSITIVE IMPACTの提唱者である堀田さん。LOW & POSITIVE IMPACTを始めるとしたら何から取り掛かればいいのかというお話でした。

「僕は、楽しくないと続かないんです。”山を綺麗にしろ”と言われて、ゴミ拾いしながら山を歩いたけど、ゴミを集めるだけだとストレスなんですよ(笑)。

だから、ゴミ拾いのときは”ゴミ調査”という立て付けにして、どういう人が捨てたのかを想像しようとしていました。すると、ゴミを見つけたとき、捨てたのではなく、ウッカリ落としたのでは?とかいろいろ想像力が働くんです。ゴミで一番多いのが飴の分包なので、分包の飴をつくらないようにしようとか考えればおもしろくなる。

あとは、地域住民の方たちに向けた取り組みですよね。地域にお金を落とすだけじゃなくて、自分たちが遊ぶことによって地域住民や動物、植物も楽しめるといいですね」(堀田)


トークセッションは1時間半にも及び、質疑応答も多く出て、大盛り上がりのまま幕を閉じました。その後、来場者のみなさんは、さまざまな体験型プログラムに参加。

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『LOW & POSITIVE IMPACT』を体現しているプログラム『クリーン・ハイク&フラワーウォッチング』では、参加者は八ヶ岳の林道をハイキングしながら、ゴミ拾いと高山植物の鑑賞を一緒に楽しみました。ガイドを務めた石川高明さんを先頭に、お年寄りから小学生まで幅広い世代がゴミ袋片手に八ヶ岳の林道を細かくチェック。「普段はあまり気に留めない箇所でも、よくよく見てみると小さなゴミが落ちていました」といった感想を抱く参加者もおり、各々新しい発見があったようです。クライマックスは、八ヶ岳の湧き水 阿弥陀聖水に到着。湧き水で淹れたコーヒーで一息ついて、メイン会場へ戻って行きました。

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1泊キャンププログラムの『LOW IMPACT CAMP』では、神秘的な森が印象的な立場川キャンプ場へと会場を移し、トークセッションにも登壇した長野さん講師のもと、自然に優しいキャンプの楽しみ方を実践。ゴミを出さず自然にかえる素材を用いた食器づくりや、豪快な焚火ベーコンのワークショップなどコンテンツは盛り沢山。参加者のみなさんには「なんでも買うのではなく自身でつくることの楽しさ」や「自然が自分たちを遊ばせてくれることへの感謝の気持ち」など、自然にやさしい楽しみ方を持ち帰っていただきました。

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八ヶ岳という自然のなかで行なわれた『山の日サミット2017』。自然との付き合い方を改めて考えるきっかけとなる1日になったのではないでしょうか。2018年も開催予定!ぜひお楽しみに。


※トークセッションの様子はこちらに全編がまとまっているのでぜひご覧ください。

田中 嘉人

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この記事を書いた人

田中 嘉人

1983年生まれ。静岡県出身。静岡文化芸術大学大学院修了後、2008年にエン・ジャパンへ入社。求人広告のコピーライターとしてキャリアをスタートする。その後、Webメディア編集チームへ異動。CAREER HACKをはじめとするWebメディアの編集・執筆に関わる。2017年5月1日、ライター編集者として独立。

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