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モンベルの「ムーンライトテント」は、本当に⽉明りだけで建てられるのか 〜星のソムリエ®が語る名品の魅⼒
もくじ
ムーンライトテントとは?
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モンベルの創業は1975年。ムーンライトテントは、その4年後に世に出て以来今に至る大ロングセラー。開発コンセプトは3日に一度雨が降るとも言われるほど、多湿な日本の気候をしっかり意識したこと。そのために必要な防水性を有しつつ、同時に通気性を確保する構造を持つという画期的なテントです。特徴あるフレームは自立式、しかもショックコードでつながったA型形状のフレーム(実用新案登録済み)の採用など、考えに考え抜かれたオリジナルテントです。
またモデルも豊富で、ツーリングや登山に最適な1型から最大9人のスペースを有する9型まで6タイプが用意されています。構造はそれぞれ多少違いながらも、A型フレームでの成り立ちは全てに共通しています。独特のグリーンとベージュも印象的で、誰が見てもムーンライトテントであることが分かるのも長年変わりません。
ムーンライトテントとの出会い
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私の長男が1歳になろうとしていた約20数年前、家族キャンプの一番の基地になってくれるテントは何か、カタログを眺め悩む毎日でした。そして心に決めたテントが当時すでに名品であった「ムーンライトテント5型」。ちょうど近隣に直営店がオープンをしたので意を決し訪れてみると、
「あいにく3点あった5型がもう売れてしまいまして…」
すぐに補充をしてくれるとのことでしたが、残念ながら翌週のキャンプには間に合わず。あきらめて別メーカーのテントを購入。このほんのちょっとの掛け違いが、その後の20数年の積年の想いを募らせる結果となってしまいました。
不思議なものです。欲しい欲しいと思えば思うほどなぜか後回しにしてしまう。そして思い入れはいつしか究極にまでに達し「自分の最後のテントをムーンライトテントにする」、そんな想いに登り詰めてしまったくらいです。
同時に、あの名前の由来は本当なのか? これが積年の疑問となり、そして星のソムリエ®となった今、月とムーンライトテント、そのどちらへの興味がやはり止むことがなく、それならばもう無理を承知で一度モンベルさんに実証をお願いしてみようと決心。ストレートに想いをぶつけてみたところご協力いただけることになりました。まさに「時は来た」ということです。
実証! 月明りでの1型設営
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晩秋の某月、十五夜、つまり満月の夜。月明りというものはどの月齢をもって月明りというかは別として、満月の照度で実証するのが一番でしょう。
今回モンベルさんから、ムーンライトテントの1型、5型をお借りしました。
・ 取扱説明書は事前に一度だけ確認(設営時は持参しない)
・ 設営場所まではヘッドライト等の照明は点けず、もちろん設営中も点けない
・ 記事用の撮影のために、カメラ操作時に数秒のモニターの明かりあり
![画像が見にくいと思いますが、実際に私が感じた明るさのレベルに合わせていますのでご了承ください。](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/09/0941762ab81c6afd0362e9752d3ead1e.jpg)
画像が見にくいと思いますが、実際に私が感じた明るさのレベルに合わせていますのでご了承ください。
では開始です。まず最もコンパクトな1型を建ててみます。収納袋から出した段階ではこころなしか不安な自分。
「何とか見えているけれど、細かいパーツまで確認できるのだろうか?」
触感だけでも判る究極のパーツたち
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フレームの組み立て。ここで気持ちが変わります。するするっとショックコードに従うと、まるで自分がマリオネットでもなったように手が踊り、さっと接続パーツにはめ込めていけば、もうそこに1型の原型があるではないですか。
ムーンライトテントは吊り下げ式ですからカタチがイメージできたらもうこれで安心。インナーテントのアルミプラグにフレームを挿し、後はフックをひっかけていくだけ。
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特にメインポールのソケットへハンドループをひっかけるこの方法こそ、ムーンライトテントの真骨頂。このパーツのみならず、どれも取扱いが簡単であると同時に一つ一つがちゃんと大きいので、視認だけでなく「触感」だけでも次の作業を想起できるくらいです。
月下で知る、大切なこと
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最後のフライシート、ペグ挿しの時にはもう何の苦労も感じません。
そう、この時初めてわかりました。月明りの下の「ワクワク感」。楽しいのですよ、設営が。
正直、暗い中での作業となれば何らかの怖さもあります。設営の不安もありました。ところが始めてみればなんだかそのドキドキに心躍り、一方もの言わぬはずのムーンライトテントから「次はこれだよ」と声が聴こえてくるようで、一人で寂しく設営している気がしないのです。
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誰にも邪魔されず、周囲の自然、そして目の前のテントとじっくり向き合う時間。見守るお月様の満面の笑顔。ムーンライトテントがその世界観を教えてくれたのかもしれません。
続いて5型の設営をやってみる
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そして私の長年の憧れ「5型」。これも流れは一緒です。フレームが多いので大変かと思いきや、やはり自分がマリオネットにでもなった気持ちでパタパタすれば、知らない間にフレームたちは月明りの下のダンスパートナーに。
ダンシングムーン。設営って面白いじゃないか! あの不安はいったいどこにいったのだろう。
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ゆっくりと楽しんだので最速ではないにしろ、タイマーで計測した時間は約10分。ほぼほぼ迷うこともなく最終形態にたどり着けています。
目の前にある5型。ああ、キミとこうやって面と向かえるのに20年の時間がかかったよ。月明りに照らされたその姿は20年前も今も、そしてこの先も同じなんだろうなぁ。
さて今回の実証を行い、違った側面で気が付いた点もあります。設営できるだけではなく、月明りだけで素早く撤収できるかです。実際に行ってみました。日中テントをバラすのは一般的にも容易なこと。ムーンライトテントでも同様です。ましてや設営が容易い構造ということはイコール撤収も容易いわけです。ただしこれが圧倒的というわけではなく、やはり最後のパッキングにはそれなりに苦労しました。
「ムーンライトテント」に込められた意味
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「月明りでも素早く設営できる」がムーンライトテントの由来であるわけですが、こうやって本当にやってみた分かったこと、それはこのテントが「月明りに最も映えるテント」であったということです。
月明りでさえ友達にしてしまうテント。人工の光がない月夜の世界、その誘い(いざない)ができる唯一無二のキャンピングギア。
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月というのは地球を回る衛星です。私たちに最も近い天体。
何かにとり憑かれた人たちを意味する「マニア=mania」という言葉は、天体の古い言い方「マナ=mana」からきており、「ムーン=moon」もその同列にあります。つまり月はとり憑かれてしまうほどの魅力があることを示唆しています。
ムーンライトテント。日本で生まれ、日本で育ち、そして世界が認めた正真正銘のジャパンプロダクト。最近は海外のテントが一方で花盛りでもありますが、私たちの誇るべき本当のホンモノといえる日本のキャンピングギアがここあります。40年近く、このムーンライトテントにとり憑かれてしまった人が絶えなかったことがその証明でしょう。
シンプルにして無駄のないフォルムと構造。小さな改良を続けに続けてきた積年の信頼性。そして何よりも魅力的だった「ムーンライト」というネーミングセンス。ギアの本質を自然に語らせたこの情緒ある名前がロングセラーとなった決定打だったのかもしれません。
月が地球の衛星であり続けるように、ムーンライトテントはこの先も変わることなく多くのキャンパーの「衛り星(まもりぼし)」であるような気がします。
(協力:株式会社モンベル)
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キャンプのいろいろおつたえしますよ~