![](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/11/63573b32d41513cbe48f7dcb1444d4b2.jpg)
日本三大名泉の地で、ブナ林の頂に待つ大展望『簗谷山』
下呂市といえば日本三名泉に数えられる温泉地「下呂温泉」の印象が強いですよね。そもそも日本三名泉とは、徳川家康から四代に渡って江戸の将軍に仕えた林羅山(はやし・らざん)という儒学者によって数えられた温泉のこと。ほかのふたつは、兵庫県の有馬温泉、群馬県の草津温泉です。
![](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/09/8063cfb909921a4bb586aa37f9fc55e7.jpg)
しかし、温泉地には“山”がつきもの。やはり下呂にもありました、素晴らしい名低山が。その名も簗谷山(やなたにやま)。木曽御嶽の雄姿が眩しい大展望の頂まで、片道2時間ほどの登山です。
飛騨金山の森キャンプ場の奥から、簗谷林道の突き当りまで進むと、車6~7台のスペースと簡易トイレが備わる駐車場があります。ここからは「南尾根ルート」と「ブナの木ルート」に分かれます。ぼくは、登りを「南尾根ルート」で、下りを「ブナの木ルート」で歩きました。
![](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/09/8f5a2bfc66e93a510f1ae6273944f30e.jpg)
![](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/09/69afcf0518592b607cef3a6086375fcb.jpg)
南尾根ルートは、最初の登りはちょっと頑張る道。ここで高度を稼ぐ分、後半は気持ちのよい尾根歩き。踏み固められた道はわかりやすく、落葉が進んだ明るいブナの道をぐんぐん登ります。
![](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/09/4c410977dfa84b9ca9a379470529a98e.jpg)
途中、「小鹿の涙」と呼ばれる小さな滝に出合います。静かに流れる水の音が心地よく、すぐ傍らには、日本の山の神・大山祇神が祀られています。
鹿の多いこの山中で、猟師が犬を連れてここに鹿を追いこんで仕留めたのだそう。親を失った子鹿がここで涙を流したことから、そう呼ばれているようです。
![](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/09/d1a7ed38282dcf9952901e401d081506.jpg)
![](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/09/2aadd299a60f329249e24c259bc8a82d.jpg)
![](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/09/bb6f58645c4af0cbe2b76bb7bf4f6e98.jpg)
やがて、標高1213mの簗谷山に到達。山頂はススキに囲まれながらも、大きな展望があります。地元のハイカーも歓声を上げるほどの素晴らしい眺め。
しかし、それ以上の絶景が待っているのが「岳美岩」。その名のごとく、周囲の山々を従えるかのように聳える木曽御嶽があまりに美しい。切れ落ちた絶壁の下に目を向けると、果てしない山並みが続いていいて、まるで海原のよう。しばらくは言葉もなく、ただただ眺めるばかり。
![](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/09/42cae1711577c6f3250cf7d076cd9baf.jpg)
![](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/09/55cb60b881926e591fea3a5ef4bb4a70.jpg)
![](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/09/6d7cb7d2cbc89b27720d453af0e2a725.jpg)
![](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/09/1722800694010ec50922fa2adbd7463a.jpg)
下山は「ブナの木ルート」へ。しばらくは明るいブナ林を歩きます。
![](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/09/5b8ad86ad26558ded6f814cb957c6ec5.jpg)
![](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/09/a01fe6c526dc46ab8e5e5edec7d54502.jpg)
やがて、陽射しの届かない谷道となり、沢伝いに下りていきます。道が不明瞭なところもありますが、慌てずに踏み跡とテープを目印に進みましょう。
![](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/09/50dcb63880db7119ca9ab92ac3b0cc63.jpg)
![](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/09/7ee1b409dd6087bb0b15e036ff20a416.jpg)
紅葉が賑やかな山中は、歩くだけで抜群の気持ちよさ。木曽御嶽の美しさ、彩り鮮やかなブナの山道が、下山後もしばらく瞼に焼き付いています。
温泉だけではない、自然景観の宝庫、下呂市。低山歩きも楽しい地域です。
所在地:
岐阜県下呂市金山町弓掛
駐車場:
簗谷林道の駐車場
施設設備:
簗谷林道の駐車場に簡易トイレ
WEBサイト
http://www2.city.gero.lg.jp/HP/mori/kairou/10yanatani.pdf
http://www.gero-navi.jp/spot_244.html
![](https://hyakkei.me/wp-content/uploads/2020/11/b78539eb9b26febf6a7e2a8488a1170a.jpg)
低山トラベラーです。山旅は知的な大冒険!
物語の残る低山里山、ただならぬ気配を感じる山岳霊峰を歩き、日本のローカルの面白さを探究。文筆と写真と小話でその魅力を伝えている。NHKラジオ深夜便「旅の達人~低い山を目指せ!」レギュラー、著書に『低山トラベル』『とっておき!低山トラベル』(二見書房)がある。自由大学「東京・日帰り登山ライフ」教授、.HYAKKEIオフィシャルパートナー。