冬キャンプの楽しさ倍増! 薪ストーブとダッチオーブンの「いい関係」
実は薪ストーブ・キャンプというのは、わたしよりも少し上の世代のキャンパーたちが楽しんでいた、クラシックなウインターキャンプのスタイルです。当時は下の写真のミネルバシリーズに、屋根に煙突用の穴が開けられ、中に薪ストーブが置ける仕様になった「SW」という品番がありました。そんな薪ストーブ・キャンプが、再び脚光を浴びるというのは嬉しい話です。
もくじ
【基本編】シェルターに薪ストーブをセットアップする
薪ストーブの前に、ウインターキャンプを楽しむために不可欠なのは、冷気と寒風からリビングを守り、中の暖気をキープしてくれるシェルターです。
フジカやアルパカなどのオイル・ストーブを使う場合は、中が温まりやすい小ぶりのシェルターがお勧めですが、薪ストーブの場合は周辺に薪やダッチオーブンを置くスペースが必要なので、大きめのシェルターが便利です。
わたしは「ロッジテント」の外幕をシェルターとして使っていますが、形状はドームでもティピーでも構いません。
薪ストーブを使う際の留意点
1.シェルターがストーブの本体や煙突に接触しないようにする。
オーソドックスな対策は、2枚の板で「トンネル」を作って煙突を外に誘導してやることですが、2重構造のシェルターは、煙突に触れなくても接近するだけで、メッシュのナイロンが溶けてしまう場合があります。そのため、風が吹いてもバタつかないよう、煙突の周辺は確実にペグダウンしておきましょう。
2.煙突の横と縦の長さの比率を1:2以上にする。
それ以下だと煙が外に抜けず、シェルター内に逆流します。
3.煙突が突風などで倒れないよう固定する。
スノーピーク社のランタンポール「パイルドライバー」を使うと簡単です。
4.煙突とストーブの高さを同じにする。
適当なスタンドがなければ、落ちている石を使っても大丈夫です。
5.湿った薪はストーブの横で乾燥させる。
燃えにくい湿気を含んだ薪があれば、ストーブの近くに置いて乾かしましょう。
さて、本題はここからです。
一晩で大量の薪を消費するこのストーブを、ただ暖房だけに使うというのは少しもったいない気がしませんか?
薪ストーブとダッチオーブンの「いい関係」
既にダッチオーブンをお使いの方ならよくわかると思いますが、からっぽでも重たいダッチオーブンが乗せられるコンロというのは限られています。夏なら直火や焚き火台を利用する方法もありますが、シェルターの中で炭を使うのは、一酸化炭素中毒を発症する恐れがある危険な行為で、とてもお勧めできません。
その観点に立つと、薪ストーブは安全で暖かいうえに、広くて頑丈な天板を備えた、「このうえないダッチオーブン向きのコンロ」であることに気がつきます。であれば、その利点を大いに生かそうではありませんか!
料理の仕込みは屋外で済ませる
理由は幾つかありますが、一番は「オープンエアを楽しむ」というキャンプ本来の姿に根ざしています。寒い時は、明るい時間に焚き火をしましょう。
ダッチオーブンを生かす最大の秘訣は「プレヒート」にあります。焚き火と同時にダッチオーブンを空焼きし、本体に蓄熱してやれば一石二鳥というわけです。
なおシェルターの中にキッチンを持ち込めば手狭になり、作業がうまくはかどりません。そのうえ昼間でも薄暗く、どうしても灯りが欲しくなります。
シェルターに入ってストーブに火をつけるのは、陽が傾いて急激に気温が下がり始める午後4時頃からで良いでしょう。
ダッチオーブン料理は、仲間と一緒のほうが楽しめる!
ダッチオーブンは、「煮る・焼く・蒸す・茹でる・揚げる」という調理機能を有する万能鍋ですが、なかなかそれを一度に試せる機会はありません。さらにこのような「脱日常感」に満ちた大胆な食材が使えるのも、仲間が集まる時の楽しみです。
コストコで買ったバックリブを、オリジナルソースに一晩漬け込み、ロッジ製のオーバル・ダッチオーブン(スポーツマン・クッカー)でローストしました。
スキレットで作れるハーブが効いた野菜のココット。肉系に偏らない献立も大事です。
小さめの丸鶏を、10インチ・ディープのダッチオーブンでじっくり焼き上げました。ただし、食べたかったのはこちら。
たっぷりのガラを使った鶏雑炊。晩餐の締めに相応しいメニューです。
最後にやってきたのは、サプライズ
朝、目が覚めたらサイトは別世界になっていました。
ここに雪が降ったというよりは、自分たちが長野県のキャンプ場にテレポートしたような錯覚に陥るほどの見事な変貌ぶりです。
今回のロケは、自宅から1時間ほどのところにある大阪の「自然の森ファミリーオートキャンプ場」で行いましたが、このキャンプ場は自然に恵まれているだけでなく、お湯が使える炊事場と電源を利用することができるので、初心者でもウインターキャンプがしやすい環境が整っています。
この日はわたしたちを含めて、15組のキャンパーがサプライズな雪中キャンプを楽しみました。
〒563-0372 大阪府豊能郡能勢町山辺411
TEL 072-734-0819
詳細はホームページでご確認ください。
http://shizen-no-mori.com/
最後に、冬キャンプの心得
滅多に雪が降らない地域でも、こういうことがあるのがウインターキャンプの良さでもあり、怖さでもあります。出かける際には、念のためにタイヤの滑り止めを持参していきましょう。
実は、わたしは2011年の2月にこのキャンプ場で全く同じ経験をしており、驚くどころか、きちんと降雪対策を施していました。
写真はノルウェー生まれの「オートソック」という製品で、降雪・凍結道路でのタイヤチェーンに代わる滑り止め として、既に一部の国内自動車メーカーが純正オプション品に採用しているスグレモノです。
車中泊&リアル・オートキャンプで日本を旅する”オートパッカー”。既に日本列島を10往復以上、要した走行距離は40万キロを超える。現在はハイエースのキャンピングカーで年間100泊近い日々を過ごし、著書は既に10冊を超えている。HYAKKEIを通じて、自由奔放なキャンピングカーライフの楽しさをお届けします。