愛用ウェアは15年選手、生粋のアウトドアマン流『長く続けられるキャンプの楽しみかた』
アウトドアの楽しみかたを広げ、「自然を肌身で感じること」をテーマにお送りしているGORE-TEX Productsとの連載企画。
前回の写真家・野川かさねさんのスタイルに続き、第2回となる今回は、軽井沢・白馬でキャンプ場を運営するライジングフィールドの太田佑生さんが登場。GORE-TEX製品の愛用者だ。
育ちも仕事も生粋のアウトドアマンの彼ならではのキャンプの楽しみかた、そこから生まれる道具やウェアへの考えかたから、アウトドア遊びを長く続ける秘訣を探っていく。
アウトドアフィールドでキャンプ場運営等さまざまな事業を行う株式会社ライジングフィールドの取締役営業本部長。人気フェスのステージ設営なども手がけ、ハイシーズンのほとんどをキャンプ生活で過ごしている。
もくじ
過ごすためのキャンプから、楽しむためのキャンプへ
太田さんからしてみれば、アウトドアをしようと思ってしていたわけではなく自然な流れだった。
神奈川県の藤沢で育ち、両親がウィンタースポーツ好き、祖父が大の登山好きだったことから、幼少期から海や山で遊ぶことが日常だった。
「高校は山梨県に住んでいたんですが、そのころは友達に山を登る人なんていなかったからソロで南アルプスを休日に登ってました。当時から道具が好きで、新しい道具を手に入れてはそれを使いたいからフィールドに出ているようなものでした。」
キャンプをはじめたのは、太田さんにとっては遅く、21歳くらいのころ。それまではBBQくらいしかキャンプに近いことはしていなかったが、「女の子と外で遊びたい」という理由でキャンプをするようになった。
「下世話なんですけどね(笑)。山だとハードル高く感じてしまってなかなか女の子が行きたい!ってならないじゃないですか。アウトドアでも快適さを担保してあげれば女の子が来るんじゃないかって、それでキャンプ。
それまでもザックを背負って山でテント泊はしてたんですけどね、それはあくまで山旅の途中を過ごすためであって。車を持ってオートキャンプをするようになってから、楽しむためのものになっていったんです。」
キャンプだから○○という固定観念はない
以来、アウトドアの中心はキャンプに。遊びでも仕事でも1年の多くをキャンプで過ごす太田さんにとって、キャンプならではの魅力とはなんなのだろうか。
「まずひとつに、”こだわりの道具を持っていける”っていうのはありますよね。車に積めることができますから。
それと、”生きる死ぬ”を意識しなくていい。山のテント泊だとそれを考えちゃうところありますから。だからキャンプだとお酒がすごく進みます(笑)。自分はソロだとお酒とコーヒー以外は必要最低限のものしか持たず、食料も現地調達。ご当地のものを買って食べたりします。そして焚き火をしながらひたすらお酒を飲んでいます。」
「キャンプ初めてのお客さんから”キャンプってなにすればいいんですか?”ってよく聞かれるんです。そういうときはだいたい”何もしないのもキャンプのよさですよね”って答えています。ソロのときは20時くらいには寝ちゃいますしね、暗くなったら寝るし、明るくなったら起きる。時間に縛られないでいいし、キャンプだからこれをやれってことでもない。」
個人としてのキャンプスタイルはありつつも、それを周りに押し付けようとも思わない。
人それぞれに自由に。
自身が幼少期からアウトドアで遊んできたからこそ、その魅力をフラットに味わい自分ならではの楽しみかたを見つけてほしい、そんな想いが太田さんにはあるように感じる。
そんな太田さんもキャンプの魅力のひとつだと話す”こだわりの道具”について、深く聞いてみた。
「特定のメーカーやブランドには偏らない。たとえばランタンだったら○○だ、とか、アウトドアメーカーのものじゃないと使わない、とか、そういう固定観念は持たないようにしています。ご飯だってそうです。キャンプだったらホットサンドだ、アヒージョだ、BBQだ、って”これを作れば正解だ”みたいなところあるじゃないですか。僕はそうは思わない、ちくわにきゅうりをぶっ刺して食べるのも最高だって思ってるし。外で食べればなんだってアウトドア料理じゃないですか。道具にせよご飯にせよ、”変に壁を作らない”というのが僕のこだわりなんだと思いますよ。」
長く遊ぼうと思うと、こだわりが生まれていく
道具選びのもうひとつのこだわりとして挙げてくれたのは、”長く使えるもの”だ。紹介してくれた道具たちの多くは使いこまれていて、ビンテージ品として店舗に置いてあってもおかしくない味わいがある。
道具のこだわりは、ギアだけではない。ウェアについても、太田さんならではのキャンプの楽しみかたや、生粋のアウトドアマンとしての考えが反映されていた。
「海に入る、川に入るってことを考えると下半身は濡れるものだと思ってるから、僕の服装は基本的に短パンにサンダルなんです。けど、ソロのときはよくあたりを散策するんですよ、薪探しもしますし。そうすると泥まみれになったり水たまりに入ったりするので、GORE-TEX素材のシューズとゲイターを履くんです。これだったら水に濡れる心配がないですからね。」
「ゲイターって意外かもしれませんが、濡れてもいいけど藪の中に入って怪我したりはしたくないし、短パンにはシューズもローカットがいいけど石ころが入ったりしますよね?そういうときにゲイターが活躍するんですよ。長ズボンもハイカットの靴も履きたくないって人にはおすすめですよ、短パンゲイター。」
「長い目で続けようと思うと、ウェアだってやっぱり長く使えるものを選びたいんですよね。とりあえずその場しのぎでビニールカッパを着てもそれは不快なんですよ。あれで汗かいたときなんてひどいもので。もちろん、GORE-TEX製品だって濡れ過ぎると冷たく感じることだってありますけど、それでもちゃんとメンテナンスしていればずっと使える。僕はウェアもギアのように扱うようにしています。」
退化した時間のなかでも、快適さと安心を
見た目のおしゃれさや道具としての機能性も考えつつ、やはりそこは生粋のアウトドアマン。いくら快適なキャンプといえども、自然を相手にしているということは忘れないという。
「家の中から外に出るってことは、もともとは野営とかで暮らしていたのが、快適さを求めて家になっていったわけなので、人類の進化の歴史からすると退化なんですよ。退化しているなかで、外に出ても快適さを維持したいってなると、GORE-TEX製品はキャンプでも僕としては”安心”なんです。」
「キャンプでも山と同じく自然の中にいるわけなので、天気が急変するかもしれない。自然をなめてかかっちゃいけないわけです。雨が降ったらテントの中に入ればいいって思うかもしれないけど、テントが吹き飛ぶくらいの悪天候になることはキャンプ場でだってあるんですよね。そういうときに、頼れるウェアがあると安心感が全然違うんです。だから僕は夏のキャンプでものハードシェル、ゲイター、靴は持っているんですよ。」
自分らしく、過ごし方の選択肢のひとつとして
夏フェスをきっかけに、漫画やメディアに影響されて等、キャンプをはじめようとする人は年々増えているように見える。キャンプ場スタッフとして、アウトドアの最前線に立つ人間として、キャンプへの想いを最後にうかがった。
「きっかけはなんであれ、キャンプをしてみようと思ってもらえたら嬉しいですね。そして一度やったっきりではなくて、長く続けてほしい。そうすると自分なりのこだわりも生まれてくると思うんですよね。第何回目のアウトドアブームなのか知らないですけど、ライフスタイルとして、生活のなかに定着してくれるといいなと思います。女の子を呼ぶ口実にしたって、一人になりたい時にだって、自然に触れたいっていう時にだって、過ごし方の選択肢がたくさんあった方が豊かだと思うんですよね。」
「キャンプを長く続けられる秘訣ですか?はじめから高い道具を買えばいいんじゃないですかね(笑)」
冗談交じりに最後にそう話してくれた太田さん。
太田さんの話を聞いていると、こう思う。
自分らしいキャンプが見つかったとき、そのための道具が見つかったとき、
それがずっと続けられると思うと、心の躍動はきっと止まらない。
提供:日本ゴア
文:羽田裕明
写真:大林直行
取材協力:ライジングフィールド白馬
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