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ヒトの時間ではなく、馬の時間で森を楽しむ『ホーストレッキング』のすすめ

山で遊び、生活しているのはヒトだけではありません。

サル、トリ、イノシシ、リス、シカ、カモシカ。様々な動物が生き遊んでいます。
サルはサルの、リスはリスの、カモシカはカモシカの時間で、山で過ごしています。

僕らが森を山を歩く時、そこに流れるのはヒトの時間。
別の生き物の時間で過ごす森歩き、体験したいと思いませんか?

ウマの時間で過ごす魅力を、存分に味わえるホーストレッキング。
今回、馬と共に過ごしたのはたった1時間でしたが、その魅力に引き込まれるには充分。

お邪魔したのは「ホースアカデミー小淵沢」。
ホーストレッキングの魅力を徹底レポートいたします。

厩舎から馬場へ

今回お世話になったホクト君(馬)とホースアカデミーの高木さん(人)

今回お世話になったホクト君(馬)とホースアカデミーの高木さん(人)

まずは厩舎でホースアカデミーの高木さんが、ホクト君に「はみ(銜)」をつけて人が乗れるよう用意してくれます。そして、僕に手綱を渡し、手綱の持ち方や、馬への「止まれ」の指示方法を教えてくれました。

(馬)ホクト君は馬柄がよく、時代劇の常連俳優。(人)編集部の山口岳。

(馬)ホクト君は馬柄がよく、時代劇の常連俳優。(人)編集部の山口岳。

さっそく手綱を持って厩舎から馬場への移動です。今回お世話になった馬のホクト君は数多くのTVや映画に出演し、多くの俳優を乗せてきただけあって大変優秀なお馬さん。指示をしなくても、次にやるべきことをわかっています。

編集部の姿勢は少し踵が上がりすぎ、手綱の位置が高すぎです

編集部の姿勢は少し踵が上がりすぎ、手綱の位置が高すぎです

馬場ではまず止まった状態で、乗馬時の基本姿勢、手綱を持つ位置、馬を止めたい時、曲がりたい時、歩き出したい時の指示方法と指示を出すタイミングを学びます。

今度は実際に馬を歩かせたり止めたりしながら、手や足の位置、手綱を引くタイミングについて間違っているところを高木さんからご指摘頂きます。ホクト君は高木さんの話がわかるようで、僕が指示を出す前に高木さんの声に従って動いているみたい。なんという安心感。

馬場から森へ

いよいよ馬場を出ていきます。馬は群れる動物のため、基本的には先にいる馬になるべく近づいて歩きたがるそう。それなら、高木さんが先導してくれる限り安心。とりあえずホクト君に全部任せてしまおう。近づき過ぎた時や、離れすぎた時だけ注意しようと心を決めました。

ホースアカデミーの敷地内を出て道路を歩いて森へ向います。アスファルトの下り道はホクト君も歩きにくそう。歩くリズムから伝わってきます。

森の中を歩くと、次第に馬のリズムに。

初めは木立の間隔が広い森を歩きます。ホクト君も散歩に出られてご機嫌なのか、割と気ままに歩きます。意外に前の馬と離れたり近づいたり、木に近づきすぎたりするので手綱と足で細かく指示を出しながら歩きました。

森を抜けると広場へ。ポクポク歩く馬の足音を聞き、ホクト君の背中で馬のリズムに身をゆだねているとあまりに気持ちよく、だんだんと心地よい眠気に誘われます。

そして、いよいよ水場へ。最初は水深浅めの池にトライ。

次は馬の膝まで浸かる深い池へ。

かなり狭い山道へ入っていきます。基本的にはホクト君におまかせなのですが、段々彼も慣れてきたのか、道端の草を食べようとします。これはいけないコトらしいので、しっかりムチで叩いてピシャリと叱りました。乗せてもらっておいてなんだか申し訳ないのですが、人と馬とがうまくやっていくためには必要なことなのでしょう。

少し広い草原に出るとホクト君は運動して小腹が空いたのかちょこちょこ止まってさらに草を食べようとします。その度にムチでパチパチ叩かなければいけません。乗馬って忙しいものなのですね。

草原を抜けると厩舎でした。短かったような、とても長かったような時間が歪んだ感じです。人のリズムではなく馬のリズムで歩いてきたからでしょうか。

馬歴たった1時間で感じたホーストレッキングの5つの魅力

今回、馬の時間で過ごせたのはたった1時間。それでも馬を大好きになるには充分な時間でした。もっと一緒に長く過ごせばもっと多くの魅力が発見できるかもしれませんが、僕なりに1時間で見つけたホーストレッキングの魅力を皆さんと共有したいと思います。

1. 大きな愛に包まれる。

大きな体に立派な筋肉を持つ馬。人が生身で戦っても、一蹴されて終わりでしょう。そんな大きな生き物が優しく僕らを背中に乗せて歩いてくれる。これを「愛」と呼ばずしてなんと呼ぶのでしょう。馬の「愛」に包まれて歩く1時間はとても幸せなものでした。

競馬場から避暑に来た馬。競馬馬は気性が荒めなのだそうです。

競馬場から避暑に来た馬。競馬馬は気性が荒めなのだそうです。

2. ウマの時間で森を楽しめる。

「ゾウの時間 ネズミの時間」という本では、動物毎に流れる時間が違うと紹介されています。だからなのでしょうか、馬がポクポク歩く音と、馬の背中で体が揺れるリズムがなんとも心地よく、ヒトの時間から、ウマの時間へと移っていくような感覚になりました。今回はたった1時間しか馬の時間を過ごせませんでしたが、もっともっと長く馬の時間を過ごしたい。もし、馬で山に登れるようになったらどんなに気持ちいいだろうと想像をふくらませました。

3. 馬のマイペースなほっこり感がたまらない。

途中、ホクト君が言うことを聞かないことが2回ありました。突然、止まるのです。なんど「進め」と指示しても動かない。僕が少しうろたえはじめると、「ボトボトッ、ジャッー」と大きな音が後方から聞こえ、コトが済むと「やれやれ」と歩き出します。
トラクターのように力があって、車のように早く走れて、ヒトの言うことをなんでも聞いてくれるけど、やっぱり、馬は馬の時間で生きているのだ!と強く感じた瞬間でした。大型哺乳類ならではのホッコリ感がたまりません。

飼育係さんからご褒美の餌をもらうホクト君

飼育係さんからご褒美の餌をもらうホクト君

4. 馬はまた訪れる時も覚えていてくれる。

馬は、ヒトの時間では遠い昔に会った人のことでもしっかり覚えているそうです。乗り方がヘタだった人にはヘタなりに接するし、親切な人とは久しぶりに会っても喜んでくれる。そんな事、知ってしまったらまた逢いに行きたくなってしまうのが人情というもの。今度会った時、馬の時間で過ごしてきたホクト君が、ヒトの時間で過ごしてきた僕にどう接してくれるのか気になります。

5. 馬を飼う=動物王国。

厩舎には猫の家族がいました。馬の餌を食べ散らかすネズミがいるので、猫がネズミをとりにやってくるのだそうです。キツネがネコを食べにやってくることもあるそうで、そのためには、キツネを追い払う犬もいた方がいいとか。大自然の中、馬、犬、猫と共に生活するって、ヒトの時間ではなく動物達の時間に引き込まれながら生きること。そんな時間ってきっと幸せな気がするのは自分だけでしょうか。

ヒトはほんの少し前までこんなにも愛に溢れた大きな動物たちと一緒に暮らし、一緒に働いていたのかと思うとなんと素晴らしい生活だったのだろうと、うっとりしてしまいました。

ホーストレッキング。今回は1時間の体験コースでした。2時間や3時間のコースもあります。今度は2時間コースに必ず行こう。そしてホクト君ともっと友達になろう!いつか一緒に自由に自然の中を駆け回ってみたい!そう思わされた体験となりました。

ぜひ、皆さんもお馬の時間を味わいに行ってみてくださいね。ほっこり癒やされること間違いなしです。

*ホースアカデミー小淵沢:ご予約はこちら

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