アウトドア好きのお部屋を拝見!暮らしとアウトドア道具|#11 武村信宏さん(CLAMP店主)
アウトドアを嗜む人びとの「部屋と暮らし」にフォーカスを当てる当企画。
今回お邪魔したのは、以前ご紹介した『CLAMP』の店主、武村信宏さん宅。アウトドア遊びに長けたご夫婦のご自宅は、アウトドアフリークなら誰もがうらやむギア部屋も。マネしたくなる収納術にも注目です!
【場所】長野県伊那市
【築年数】不明
【居住歴】7年
【間取り】4LDK
【住んでいる人】
武村信宏さん(45歳)職業:CLAMP店主
奥さんの由紀子さん
愛猫のいくら&もぐら
もくじ
「時間がないから遊べないんじゃなくて、時間は上手に作ればいい」
――もともとアウトドアガイドをされていたんですよね。武村さんのアウトドア歴とは?
僕がアウトドアをはじめたきっかけは、ダイビングです。高校生のときに『グラン・ブルー』という映画を観て、「ダイバーになろう」と思い、貯めたお金を持って、地元岡山県を離れ大阪のスポーツの専門学校に進学しました。でも、鼻炎で耳抜きがつねにできないから、「仕事にするのは辞めた方がいい」って、先生に言われて。「ええっ、僕はもうダイバーになるって決めましたけど!!」ってなって(笑)。それでダイビングを諦め、たまたまスキーのコースが別にあったので、スキーの道に。それから今に至るまで、アウトドアガイドの道を通りつつ、プライベートでもマウンテンバイク、カヤック、テンカラ、トレラン、クライミング、キャンプなどアウトドア全般楽しんでいます。
――かなりマルチですね。
ただ単にスポーツが好きなだけなんです。昔は仕事も終身雇用が普通だったり、部活とかスポーツも掛け持ちは邪道みたいな風潮があったりして、僕が色々なスポーツをしていると、みんなから「チャラい」みたいに思われたり、「広く浅くやってるんでしょ?」って言われたりするのがずっとコンプレックスでした。だから、周りには言わないようにして、ひとつひとつのスポーツをめちゃくちゃ一生懸命やって、大会とかに出るわけじゃないけど、全部80点くらいをキープする、みたいな。そのスポーツをやっている普通の人よりは絶対に上手になってやろう!と思って取り組んでいました。
――シーズン問わず多岐にわたるスポーツをして、しっかりとお店の店長も務めて。それを両立できたら幸せですけど、かなり忙しいのでは?
時間がないから遊べないんじゃなくて、時間は上手に作ればいいんです。伊那市はフィールドが近いので、早朝に出発して、お店がオープンする11時前までに戻ってくれば全然遊べます。その分、戻ったら夜までずっと仕事をしていますけどね。
――メリハリってやつですね。
僕はストレスをスポーツで発散するタイプなんです。フィールドに出ないとイライラしてきちゃうので、僕がアウトドアに出かけるってなってもお店のスタッフは誰も止めません(笑)。前に雑誌『mark』のコラムで「運動は運を動かすって書く」っていうのを読んで、本当にそうだなって思ったんです。僕は運動をずっとやってきたので、ようやく運が向いてきているんだなぁと。
S字フックと古道具が「見せる・便利な収納」の決め手
――遊びの範囲が広いとギアも増えると思いますが、道具の収納はどうしていますか?
必要なものをすぐに探し出せるように、アイテムごとにまとめています。取り出しやすく、見やすくがキーワードなので、ふすまも取っ払いました。お店で商品を展示するイメージですね。一部屋はまるごと道具部屋に、隣の客間にはカヤックやスキー板など、一部置き切れなかった大型のアイテムを置いています。
――これは一目瞭然ですね。収納に関して特にこだわっている部分はありますか?
僕がこだわっているのは、収納アイテムとして取り入れている“古道具”です。部屋が散らかっていると古道具ゆえ部屋も汚く見えてしまうけど、道具をディスプレイする感覚で置くと雰囲気が出るんですよ。この魅力に気が付いてから、新しい家具には目がいかなくなってきましたね。うちに置いてあるのは大体古道具か、オーダーして作ってもらったものです。
――エイジング加減がかっこいいですね。部屋のレイアウトって変えますか?
変えますね。モノが増えて収納できなくなったら、あ、これ変えどきだな、と。あとは、いい古道具に出会ったとき。うちのお店もそうなんですけど、売り場にある古道具をお客さんが買っていってくれたら強制的に模様替えになるんですよね。そういうときに自宅にある古道具を売り場に持っていって、自宅にはまた違う古道具を運んでくることもあります。
――『CLAMP』らしい、ユニークなスタイルですね。
イベント出店のときなんかは、一旦自宅の古道具を搬出して、終わったらまた元通りにすることもありますよ。自宅とお店が近いからというのもありますが、その辺は自由にやっています。
――なかでも愛着のある古道具というと?
ある意味古道具、というところでは、大阪から長野に引っ越してくるとき、「木工職人になる」って言ってた知人が餞別として作ってくれたダイニングテーブルです。最初はきれいなテーブルだったんですけど、2、30年経つのでだいぶ味が出てきました。あれから全然連絡は取ってないけど、これだけはずっと使っています。
猫飼いさん必見! 枠にはまらないフリーキーな愛猫対策
――それにしてもユニークな障子戸ですね。
『BROOKS』っていうレザーサドルのメーカーさんの広告が丈夫そうなんで、古くなったものを障子代わりにしてるんです。だって、3段目まではいつも猫がガリガリにしちゃうから(笑)
――光の透け感もきれい。猫を飼っていなくても、あえてマネしたくなります。
障子だと引っかかりがあるんですぐに破れちゃうんですけど、これは表面がツルツルしてるんで、引っかかれてもちょっとなら耐えられるんですよ。とはいえ、裏側はマスキングテープで補強しまくりですけどね(笑)。なるべくお金をかけずに修理したりDIYしたりするのが好きです。
自分たちのセオリーが光る、心地のいい住まい
――ギア部屋以外のレイアウトは、お二人で相談して決めますか?
キッチンも含め、決めるのは僕です。キッチンに立つのは奥さんなんですけど、レイアウトしたりするのが苦手みたいなので、「これはここに置くから、片付けてね」って伝えるようにしてます。
――明るいダイニングルームって心地がいいですね。それに壁のドライフラワーも可愛くて。
うちの社長が『草の音』っていう古道具と花屋をやっていて、そこで毎年リース展をやるんです。そのときにリースを作るんだったらって思って、山で集めた植物を持って帰ってきて自分で編んで作ったものです。
――これからやってみたいことはありますか?
僕たちが住んでいるエリアは伊那谷(いなだに)って呼ばれているんです。辰野から飯田まで東西に幅10㎞、南北に長さ50㎞くらいで、南アルプスと中央アルプス両方が見えて、真ん中に天竜川が流れるところなんですけど、僕はそこが色々なアウトドアアクティビティーを始めるきっかけになればいいなと思っていて。一個人としても、『CLAMP』としても、伊那谷にはいいフィールドがいっぱいあるので、ガイドツアーなどでそれを活かしながら市町村をまたいで盛り上げていきたいと思っています。
* * *
『CLAMP』の店内を見ても思いましたが、古い道具や建物を“廃れているように見せない”空間づくりは、武村さんのセンスのよさが光っているなぁと感じました。見せ方次第で輝くこともあるし、死んでしまうこともある。古かったり、最初は汚かったりしても、ていねいに磨いて、古いもの、新しいものを違和感なく空間に溶け込ませる。そうすることで、古道具に新たな命を吹き込むことができるのかもしれません。
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本当にただの自転車屋さんじゃありませんよ。
「アウトドアを日常に楽しめる街にしたい」。何でもあり?なちょっと変わった長野県伊那市の自転車屋『CLAMP』
(写真:茂田羽生)
春夏秋冬、日本の美しい山を求めて歩きまわっています。
音楽プロダクションの制作、アウトドアショップの販売員を経てライターになる。のんびり日帰りハイクからガッツリテント泊縦走、トレイルランニング、ボルダリング、スキーと四季を通してフィールド三昧。アウトドア媒体をメインにライター活動をする傍ら、アロマテラピーインストラクターとして「山とアロマ」をテーマに、神出鬼没なワークショップを展開中。