• 体験レポート
  • キャンプ好きが贈る、キャンプの体験レポートです。日本にはたくさんのキャンプができる、自然あふれる素敵な場所がたくさんあります。.HYAKKEIでは、そんな場所に実際に足を運び、五感で楽しんだ自然体験記をお届けします。きっとキャンプに行きたくなりますよ!

ムーンライトキャンプのススメ~星のソムリエ®が案内するアウトドアお月見の魅力〜

お月さまが地球にキス?

暑い夏が過ぎ、秋の夜長にきれいなお月さまを愛でるのは日本の伝統です。

家のバルコニーから眺めるお月様も素敵ですが、せっかくですから野外に出て、ゆっくりとお月様と向き合うというのもいいものです。

お月さまはお星さま。宇宙で一番地球に近いお星さまです。あまりに身近にあり過ぎてちょっと忘れがち。地球にとっては大事な衛星でもありますね。

お月さまの誕生には諸説あり、一番有力とされているのがジャイアントインパクト説です。その昔に地球に小天体がぶつかり、その砕かれたものが再構成され地球の周りをまわる衛星となったという説。ということはお月様は地球に一回「キス」をしたのですね。天に上がったあのお月さまが、この地球と1回接触しているなんてちょっとミステリアスでロマンチック。

お月さまと言えば「うさぎ」。
これはお国柄で違い、欧州の一部ではカニの大きな爪に見えたり、読書をするおばあちゃんに見えたり。アラブでは反対側から見て大きなライオンにも見えるといわれています。お隣の中国でもうさぎに見えるらしいのですが、お餅つきではなく漢方をすりつぶす姿なんて言われているのもお国柄ぽいですね。

満月が野生の力を引き出す~ムーンライトキャンプ〜

月明りに照らされた風景。それは世界のどの照明よりも美しいライティングシーンです。

以前、満月の夜に複数人で軽いトレッキングをしたことがあります。ライトを付けずに。暗い夜道……いやそれが全然違うのです。はっきりと見える道、すべての光景が分かる風景。ちょっとしたカルチャーショックでした。そして何よりも、見たことのない美しくも神秘的な月明りの世界がそこにあったのです。

満月の明るさは約0.2ルクス。真昼の太陽の2万5千分の1。この数字だけ見ると相当暗く思えますよね。ところがここが人間の凄いところで、数分間で「暗順応」という調整が行われその暗さになれてしまいます。そうすると先ほどのように景色の認識もできてしまうようになります。満月の光が私たちの持つ潜在能力、その昔に備わった野生の能力を引き出してくれるのです。

ここで提案。
ランタンを使わない「ムーンライトキャンプ」をやってみませんか!

月明りのある時に出来る限りの灯りを落として月明りそのものを愉しんでみる。最初薄っすらとくらいにしか見えない自分のテントや仲間の顔。やがて暗順応によってまるで昼間の風景のように浮かび上がってくる周囲の光景。初めての経験に誰もが心動かされるでしょう。

2016年に限って言えば、このチャンスがある週末は9月17日~18日。10月15日~16日。月齢では満月を含むその前後。満月の前後2日間はそう大きく明るさも変わりません。この2週は月の出も夕方から始まり月の入りも深夜なのでまさにムーンライトキャンプにふさわしい晩です。

元々お月見は秋の収穫の祝いともいわれているので、転じて秋の味覚をお月さまを見ながら愉しむ秋グルメキャンプなんていうのもアリではないでしょうか。丸いお盆に丸い食べものを目いっぱい並べる洒落っ気なんかも。

月が高い位置にあれば、グラスやシエラカップの中に映るお月様がゆらゆらなんていうことも楽しめちゃいますよ。オン・ザ・ロックならぬ、「イン・ザ・ムーン」。

満月ばかりがお月見キャンプではない

すっきり晴れ上がった秋空に浮かぶまばゆいばかりの満月。でもキャンプならではのお月見は、お月さまそのものだけではありません。秋特有のうろこ雲が、柔らかいランプシェード替わりに照らされる曇りの光景もまた美しいもの。

もし湖の近くでキャンプをしているなら、お月さまの光が湖面に一直線に映し出される「ムーンロード」というのも見ごたえがあります。

また満月ではなくとも「上弦」と言われる半分のお月さまもとても味わいがあります。実はお月様の観察でいえばこちらの方が条件が良く、双眼鏡や望遠鏡で眺めると月のクレーターや模様などが一番くっきり見えるので、お月さまをじっくり眺めるのは上弦の時がオススメなんです。10月9日、連休の合間の日曜日がちょうど上弦に当たります。

※満月前後2日ころ以外は急に照度が低くなりますので、ランタン等の灯りで補助されてください。

今年はスーパースーパームーン!

今年はさらに11月14日に「スーパームーン」があります。スーパームーンというのはご存知の通り月と地球の距離が縮まっている満月の日のこと(実は新月の日もそう言いますが見えていないのでメジャーにはなっていません)。これは天文用語ではなく占星術からきています。やはり大きな大きな月には神秘的な力があると信じられているからでしょうね。

しかも今年は68年ぶりとなる356511kmのかなりの接近。スーパームーンは一番遠い満月よりも約30%も明るく、大きさも14%も大きく見えるといわれています。スーパーの上にスーパーが付くスーパームーンの今年なら、その月明かりの世界はさらなる別世界が広がるかもしれません。

14日は平日なので、週末である12日~13日のほんの少し若い月齢の時のムーンライトキャンプもいいかもしれません。2017年はスーパームーンのお休みの年なので今年のスーパームーンをお見逃しなく!

オススメしたいのは月の出以降の夕方の時間。午後4時ころには月が上がっていますので、大きな夕陽の入れ違いで上がってくる赤く大きな月はきっと印象に残ると思います。

前の項でジャイアントインパクト説の話をいたしました。もし月は地球にキスをしているなら、スーパームーンはそれぞれが近づく地球とのデートの日じゃないでしょうか。


※「星のソムリエ®」は山形大学の登録商標であり、星空案内人資格認定制度における資格の名称です。

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