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もしかしたら、日本人はホンモノのBBQを知らない?~WEBER、日本へ本格上陸〜

キャンプ場、BBGガーデンなどでもすっかり定番ともなったWEBERのグリル。
そのWEBERがこのたび、日本の食品衛生法に則って製造された正規品を発表、日本本格上陸を記念してBBQパーティーが開催されました。

パーティーの会場となったのが豊洲にある「CAFE HAUS」。

こちらはもうすでにおなじみの、「オリジナルケトル」と呼ばれるWEBERの顔でもある「チャコールグリル」。すでに料理が振る舞われていました。

BBQ文化を紐解く「家族を大切にする」ということ

まずはWEBER本社、アジア、日本、それぞれの代表から新製品発売に対する意気込みが次々と発表されていきます。

「WEBERは二つのことを大事にしています。ひとつめは、おいしく食べること。二つめは家族を大切にすることです」

と話してくれたのは、日本のマネージャーでもあるアダム・ホール氏。
ひとつめはわかります。しかしいったい何故、「家族を大切にする」がBBQに関係するのでしょう? ここがまさしく、BBQ文化を紐解くカギなのです。

BBQが私たちに一体何をもたらすか。
それは、楽しいコミュニケーションの手段と、大切な人との時間の演出です。BBQは食べることが目的ではなく、「家族を大切にすること」を実現するための「手段」なのでしょう。

「日本のおけるBBQの需要は年々上がってきています。多くの方がアウトドアへの強い関心示しているのはここ数年の顕著な流れです。また日本ではそもそも『焼き鳥」や『焼肉』が家庭的に親しまれている事実も、このたびの日本進出を後押ししました。しかし同時に、日本でBBQ文化が広がらない要因を解決する必要があると感じたのです」

「まず、日本は庭でBBQをしない文化です。アメリカでは一般的なパーティーができるような大きな庭は、日本にはなかなかありません。これは仕方がないことです。だからこそ、それほど大きくないバルコニーなどでもBBQができるようになるモデルが必要でした」

「そしてもう一点が、匂いによる近所迷惑です。匂いはもちろん煙も迷惑になります。これを解決するのが蓋の開け閉めを簡単にした当社の“リフトダウンシステム”です」

BBQにおいて重要視される「フレーバー」

この日の目玉イベントが、”グリルマスター”の称号を持つケビン・コールマン氏のデモンストレーション。

このデモンストレーションで何度も繰り返されたのが、「フレーバー」というワード。私たちがBBQに接するときにはほとんど口にすることはない言葉です。

ここでいう「フレーバー」というのは、ただの味付けのことではありません。香り、味、そして食感をも支配する、いわば「風味」と近いものと言っていいでしょう。

そして大事なのはそのフレーバーは「先付け」であるということです。焼く前にしっかり素材にしっかり移し込んでおく。それを焼きながら「蒸す」ことでフレーバーを素材に閉じ込めてしまう、これが本物のBBQの手法です。

我々がついついBBQで普通にやってしまうのは、焼いてタレを付けて食べるコリアンBBQ方式。これはフレーバーを大事にする本物のBBQとはちょっと異なった手法なのです。

「フレーバーを作る大事な要素は、甘い、酸っぱい、スパイシーのバランスです。このバランスを食材にしっかりと移してあげてください」

この色合いも見て、「え? 焼き過ぎなんじゃないの?」と思うかもしれません。しかし実は、黒い部分は焦げではなくコーヒーフレーバーなのです。

コーヒーの味と香りを封じ込めたステーキなんて、まさにグリルマスターならではの発想。

「コーヒーを細かく粉末にしてまぶすのですが、それだけでは香りが強すぎてしまいます。そこで一度ワインに肉を漬け込んでからにするとフレーバーがまろやかで豊かになります」

とのこと。

こちらは日本酒に付け込んだチキン。

「私は世界各地でこうして実演をしますが、一番大事なのはその国の文化も反映させたフレーバーを作り出すことだと思っています」

フレーバーとは単なる味付けではなく、国や土地の文化も閉じ込めるのですね。

アダムが言った通り、調理中のほとんどはこのリッド(=蓋)がしまった状態になるので、周囲に煙やにおいが出ません。また、チャコールグリルの場合なふたを何度か開けて食材の場所を移動することで火加減を調整しますが、ガスを利用するグリルならノブ調節のみでそれができ、ますます蓋の開閉回数が減ります。これからは日本でも、ガスのグリルを使ったBBQが普通になってくるかもしれません。

こちらは赤ワインと蜂蜜のフレーバー。この照りはもちろん、ステーキ肉とフレーバーがしっかりと一体感を出していました。

日本のBBQスタイルにはない、パーティー文化

もうひとつ、日本のこれまでのBBQと本物のBBQの決定的な違いがあります。それは、グリルに直接手(箸)を伸ばさないことです。

先にも言いました通り、日本のBBQはコリアンBBQスタイルがほぼ全てのため、焼いているグリルに参加者がそれぞれ直接手を伸ばし、自分でタレを付けて自由に食べます。しかし本物のBBQは、グリルで調理したのち火から下し、調理をした人が切り分けなど、「サーブ」をして参加者に食べてもらいます。このグリルの前に立つ人は「ピットマスター」などと呼ばれます。

つまり、「もてなす側」と「もてなされる側」がいるという、まさにパーティー文化。もちろん鍋文化的な日本の風習の否定ではなく、BBQ文化の本来の姿を知っていれば、今後のBBQライフがもっと広がっていく。そういうことだと思います。

「もちろんグリルの前に立っているとき何もしないわけではありません。ずっと会話をしています。それが家族であったり、そして時にグリルであったり、プレート(お皿)であったりと、BBQにはたくさんの会話があるのです」

このチキンのふんわり感。やはり焼いて蒸す、という工程で作り出されるものですね。

本場のテクニックと自慢のグリルたち

この日はケビンの他に、日本BBQ協会の上級インストラクターの方も多数参加され、デモンストレーションでいろいろなBBQテクニックを披露してくださいました。
例えば焼き具合を確かめるとき、手の甲の親指の付け根3か所の柔らかさと比較し、レア、ミディアム、ウエルダンを判断するテクニック。

ちょうどいい火の入り具合は60℃近くであることなどなどの情報も。

ここまでのテクニック、そして本物のBBQの流儀を、より日本の事情にマッチングされやすいようにした製品の代表がこの「ウェーバー”Q”グリル」

こちらはオリジナルケトルをさらにコンパクト化したポータブルグリル。

アダムが直接紹介してくれたのは、クルマにそのまま積載できるほどコンパクトな、まさにその名前の通りの「ゴーエニウェア・チャコールグリル」。あのオリジナルケトルの機能を満載しつつ、これだけコンパクトにした自信作です。

グリルも食材も「手段」、本物のBBQがもたらすライフスタイル

この日1日いてわかったことは、製品の発表会であったにもかかわらず、それらのグリルは常に脇役。

そんなことより、みんなで楽しんでいって!という雰囲気が会場中に満ち溢れていました。どこもかしこも終始、食べながら飲みながら、ずっとみんなで笑いながら話に花が咲いている様子は、まさにパーティー。

グリルも食材も「手段」であり、目的はやはり別のところにあるのがBBQであることを実感します。

最近になって「鍋パーティー」という言葉が定着しました。

鍋は日本人には身近なものですが、やはりそれは長い間「食事」の域に留まっていました。しかし今はライフスタイルの多様化により、新しいエンターティメントとしての「鍋パーティー」が愛されるようになっています。

BBQも、河原スタイル、キャンプ場の1回の食事レベルはもうおしまい。これからは家でも、出かけた先でも、「パーティーをする手段」としてBBQを今一度見直してみたいものです。

この日の最後の掛け声はアダムによる「WEBER for LIFE !」

言い換えれば、「BBQ for LIFE !」

本物のBBQがもたらしてくれる、ライフスタイルのもう一歩を探してみたくなりました。

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