
FUJI100で試した UA WOOL Tシャツ — ナイトレースのベースレイヤーとしての実用性をフラットにレビュー
もくじ
はじめに
2026年4月、FUJI100mi(166.6km / D+7,244m / CUTOFF 29h30m)に挑戦してきた。 結果から書いておくと、精進湖の少し先、F3を越えたあたりでDNFしている。
ここ3大会のロングは連続してDNF。ペース配分なのか、補給不足なのか、その両方を含めた計画の甘さなのか。複合的な要因が絡んでいて、どこか1つに大きな気づきがあれば、ドミノ的に他の課題も解けていきそうな気もしている。これはトレランに限った話ではなく、自分の中の課題として一旦しまっておきたい。
ただ、レース自体はDNFでも、ギアに関しては丸2日近くフィールドで使い込めた。今回はその中で試した アンダーアーマーの「UA WOOL Tシャツ」 について、使用感をフラットに書いていきたいと思う。
製品ページはこちら →UA WOOL Tシャツ(dsg-1088270)
なぜ UA WOOL Tシャツ を選んだか
夜を超えるロングレースは、とにかく寒暖差が大きい。 普段は寒暖差対策として、ミレーのドライナミックメッシュの上にウールのベースレイヤーを重ねるレイヤリングを採用することが多い。汗冷えを防ぎつつ、ウールの温度調整機能で日中と夜間の振れ幅をいなす狙いがある。
FUJI100は標高1,000m前後を走る区間が長く、夜の冷え込み対策が必要になる。今回のUA WOOL Tシャツはその役割に当てはまりそうだったので、トップレイヤーとして投入することにした。加えて、エイドや停滞時の体温低下対策として、別途ウールのロンTもドロップバッグに用意している。

レース展開とUA WOOL Tシャツの挙動

スタート〜F1(〜16.3km)
スタートは17時。日没を挟みながら序盤を進めていく。 走り出しから30kmあたりまではペースが大きく崩れることもなく、想定通りそれなりにヒートアップする展開になった。UA WOOL Tシャツはトップレイヤー(一枚着)として運用。
この区間は発汗量がかなり多かったが、ウェアの使用感で気になる部分は特になかった。ウール素材だと汗を含んで重くなる感覚が出ることがあるが、UA WOOL Tシャツは生地が天竺系でありながら、じっとり重たくなる感じが薄かった印象。動き出しの軽さはそのまま保たれていた。

F1〜F2(16.3km〜64.0km付近)
夜が深まるにつれて急に冷え込んできたので、UA WOOL Tシャツの上にロンTとシェルを重ねるレイヤリングに切り替える。 この区間は約1,000mのアップ&ダウンを含み、事前から「我慢の区間」と認識していた。ゆっくりでもいいから足を止めずに進める、ということだけを意識して通過。
正直、今思い返してもこの区間の記憶がかなり抜け落ちている。それでもF2まではオンタイムで進めていた。レイヤリング自体は破綻なく機能していて、止まる→動くを繰り返す中でも、ベース側がぐっしょりした感覚にはならなかった。
F2〜F3(64.0km〜96.5km付近)
ここから大きくペースを崩した。 区間プロフィール的にはそこまでハードではないはずだったのだが、メンタルが完全にBADに入ってしまい、前半はほとんど走れずに歩きベースになる。経験上初めての感覚で、進んでも進んでも風景が変わらない、というような感覚に陥った。
それでもなんとか持ち直してF3に到達。道中、猛烈な睡魔に襲われて何度か横にもなった。

F3〜DNF(精進湖の少し先)
F3で30分ほど仮眠を取り、眠気はリセットできた。スタートし直したものの、もう脚は戻らない(あるいはまだ回復できたのかもしれないが)と判断して、引き返してDNFを選択した。
ウェアとしての率直な感想
レース全体を通して、UA WOOL Tシャツそのものに対する不満はゼロだった。
Tシャツとして見たときに困った場面はなく、むしろこういうロングレースなら ロンTバージョンがあれば積極的に選びたい と感じた。
これまでトレランでウールベースを選ぶとき、自分はメッシュメリノ系を選ぶことが多かった。メッシュは通気と排水のキレが良い反面、見た目や着心地は「トレラン用」という割り切りが必要になる素材でもある。
その点、UA WOOL Tシャツは天竺系の生地感で、見た目は普通のTシャツに近い。それでいて発汗時に ウールにありがちな「水を吸って重くなる感覚」が出にくく、最後まで軽やかさが続いた。汗の量が多い区間でも生地が肌に張り付いて不快になる、ということはなかった。
ロングレースで重要なのは「全体を通して破綻しないこと」だと自分は思っている。突出した性能を1つ持っていることよりも、24時間を超えて着続けても文句が出ないかどうか。その点でUA WOOL Tシャツは静かに合格点を出してきた、という体験だった。
どんな人に合いそうか(推察含む)
実際にFUJI100で使ってみての体験を踏まえて、どういう場面に合いそうかを書いておく。一部、自分が試していない領域については「推察」として明記する。
- 夜を含むロングのトレラン:今回の実体験。トップレイヤー〜ベースレイヤーの両方で破綻なく機能した。
- 寒暖差のある日帰り登山:体験ベースではないが、ウールの温度調整機能と天竺系の素材感を考えると、行動着としても使いやすそう(推察)。
- 普段のラン〜ロードのジョグ:見た目がトレラン特化に振れていないので、街にもそのまま出られる範囲。日常使い兼用としても無理がない印象。
逆に、極端な発汗量を排水で逃したい高強度のサマートレランでは、より目の粗いメッシュメリノのほうが合う場面もありそう。このあたりは適材適所だと思う。
おわりに
レース自体はDNFという結果で、自分の課題は持ち越しになった。ペース配分、補給、計画、メンタル。次のレースに向けて、どこから手をつけるかはまだ決め切れていない。
ただ、ギアの選択に関しては今回ひとつ手応えがあった。UA WOOL Tシャツは「特別なシーンのための特別な一枚」というよりも、ロングを通して静かに仕事をしてくれる、信頼できるベースレイヤーだったと思う。
派手なレビューにはならないけれど、これから夜を含むロングを計画している方の選択肢として、頭の片隅に置いてもらえると嬉しい。

.HYAKKEIを運営する会社の代表
.HYAKKEIではディレクター兼フロントを担当。仕事中心の生活で、煮詰まった時に行くソロ登山が趣味。
ストレス度合いに応じて登るコースの難易度が変化し、日帰りの丹沢ハイクから、厳冬期のエベレスト街道まで経験。