軽量ダウンフーディがここまで進化した パタゴニア / ダウン・セーター・フーディ|町田直哉のGEAR REVIEW Vol.004
ハイカーの町田が山道具を使ってレポートする連載。その機能やフィールドでの使用感を確認し、その特徴を余すことなくレポートします。今回はパタゴニアの「ダウン・セーター・フーディ」を紹介します。
前回のナノパフの記事を見ていただけたでしょうか。家族を連れて霊仙山に来たわけですが、ここでもう一つ試してみたいアイテムがありました。
それは「ダウン・セーター・フーディ」。これもパタゴニアの定番アイテムですが、ナノ・パフと違うのは化繊綿ではなくダウンであること。
800フィルパワーのダウンを封入しており、数値上は寒冷地でも問題なく過ごせるスペックを有しているわけですが、実際のフィールドでの体感値も把握してみたい。
またナノ・パフとの違いも、把握してみたいということで霊仙山に一緒に持ってきました。
化繊綿とダウンだと私個人的には行動中に使用してもよいものを化繊綿(濡れに比較的強い)。停滞中の保温着をダウンと分けています。
なので今回も行動中なナノ・パフで山頂での食事時にダウン・セーター・フーディを使用してみました。
もくじ
ダウン・セーター・フーディとは?
パタゴニアのダウン・セーター・シリーズは1989年に初めて発売されて以来、インナーダウンとしても活用できる軽量性と汎用性の高さで、ライトダウンの先駆けとなったアイテムです。この製品はアウターとしてだけでなく、中間着やインナーダウンとしても利用できる画期的なデザインが特徴です。
また2022年モデル以降で大きな変更がありました。
シェルはリサイクル漁網から作られたナイロン「ネットプラス」が使用されており、100%リサイクル素材。PFAS不使用の撥水加工も施され、環境への負担を減らしながらも高い耐久性を備えています。何よりこの素材は非常に使用感がよく薄手でしなやか、そして肌触りが良いという特徴も魅力的です。
ダウンの封入量も20%から26%ほど増加しましたが、他の素材の軽量化に成功し全体の重量は軽減されています。
ボディのパターン構造も、従来の2枚構成から4枚構成のパネルデザイン(前身頃・後ろ身頃・両脇下の4枚パネル)となりました。この改良により、フィット感が向上し、腕の動かしやすさも大幅に改善されています。また襟元にはダウン量が増加しており、首周りの保温性が強化。見た目にも高さが目立つ襟元は、デザイン面でも機能面でも新モデルの大きな特徴です。
いざフィールドへ
ハイクアップはナノパフに任せて、登山開始から2時間ほど。霊仙山の山頂につきました。ハイクアップでかなりの量の汗をかいていたので、早めにダウン・セーター・フーディを着用して、食事の準備に取り掛かります。
食事といっても、家で握っていた白むずびにワカメとサツマイモの味噌汁。コージィに入れてきたので山頂でも白むすびはほんのり暖かくおいしくいただけました!
その間、だいたい30分くらい滞在したかと思いますが、気温2度で風速1m/秒の環境だと全く汗冷えを感じることもなく過ごせました。
山を始めた幾年前かは、どこぞの雪山でミッドレイヤーにレインだけ山頂滞在したとき震えが止まらなかった時のことを思い出すと、彼(当時の私)に勧めてあげたくなります。
800フィルパワーは暖かいぞ!
あとダウン・セーター・フーディのナイロンは防風でもあるのでより保温性が維持されたのだと思います。
ジップも内側にストームフラップがついており、防風性に抜け目がなく、使用感という意味でもあごへのあたりが快適なジッパーガレージまでついています。
フードもややゆとりがあるつくりになっていますが、ドローコードで調整できて自分の頭の形に調整ができます。
まさに痒い所に手が届く。きめの細かい開発。
登場から20年、あれやこれやといわれつつ改善を積み重ねた歴史の重みを感じます。
そうこうしているうちに、息子が泣き出し早めの下山を決めナノパフに着替えて下山を開始するのでありました。
山から犬の散歩まで。使い道は無限大。
下山後も着替えた服の上から、ダウン・セーター・フーディを着用していたのですが、普段だと犬の散歩や近所の買い物によく使用しています。肌触りのいいナイロンに動きを妨げないフーディなので大変重宝しています。
また、もう少しチャレンジングな雪山で試してみたいなと思います。
今回紹介した商品
ダウン・セーター・フーディ
.HYAKKEIを運営する会社の代表
.HYAKKEIではディレクター兼フロントを担当。仕事中心の生活で、煮詰まった時に行くソロ登山が趣味。
ストレス度合いに応じて登るコースの難易度が変化し、日帰りの丹沢ハイクから、厳冬期のエベレスト街道まで経験。