王道化繊インサレーションの15年の集積を感じる パタゴニア / ナノ・パフ・ジャケット|町田直哉のGEAR REVIEW Vol.003
ハイカーの町田が山道具を使ってレポートする連載。その機能やフィールドでの使用感を確認し、その特徴を余すことなくレポートします。今回はパタゴニアの「ナノ・パフ・ジャケット」を紹介します。
もくじ
ナノパフ in 霊仙山@滋賀
暖冬の影響でどうなる事かと思った、2024-2025の冬だが蓋を開けたらしっかり雪が積もってくれました。関西でも京都から滋賀の北部の里山だと程よい積雪で歩きやすい雪山が楽しめるようになりうれしい限り。
そこで今回、新年初登山ということで家族を連れて滋賀の霊仙山に歩きにいってきました。まだ1歳にもなっていない愛息子とパートナーを連れての登山。4時間程度で降りてこられるコース設定にして軽い雪山ハイキングに出かけました。
それはそうと、今回のハイクは日の出前後は氷点下になる見込み。また尾根道はそこまで風速があるわけではないですが、風対策はしておきたい。ということでウールのフーディの上にパタゴニアのナノ・パフ・ジャケットを使用してみました。
ナノ・パフ・ジャケットってなに?
ご存じの方も多いので釈迦に説法かと思いますが、パタゴニアのナノ・パフ・ジャケットというのは2009年に登場して以来、改良を加えながら化繊を使用したインサレーションの王道をゆく逸品。
60グラム・プリマロフト・ゴールド・インサレーション・エコという化繊綿を使用していて、これの何がいいかというと、汗や雨にぬれてもある程度は保温性を維持してくれる点。
加えて、ナノ・パフ・ジャケットの特長でもあるレンガを積みあげたようなキルトパターンは化繊綿の偏りを抑えてくれるのでパフォーマンスが安定します。
あと個人的にうれしいのは、防風性。防風膜を圧着しているわけではないが表地と裏地をあわせて42デニールの厚さに加えて化繊綿があるので風を通しにくい仕様になっている。
語りだしたらきりがないのだが、これらをすべて100%リサイクル素材で作りきってしまっているのが恐ろしい。
消費者目線だと当たり前になりつつあるリサイクル素材だが、メーカー目線だと意外と使用のハードルが高いのです。リサイクル素材の方が原価も高ければ、繊維メーカーも安定した調達先の確保や高い開発費の確保など、すべての商流のプレイヤーの理解がないと実現しないのです。
その辺、パタゴニアはCVCをもって上流工程から着手していたり、生産規模もありある程度パワーを持って取引先に対して発言できることもあり、環境保全企業の先駆者として走れているのだと思います。
話を戻して、霊仙山でのナノパフの話をしていきたいと思います。
いざフィールドへ
登山口。AM8:00。気温は0度。風がないのでそこまで寒さは感じないが、私はすぐに汗をかいてしまうので、傾斜のきついのぼりはナノ・パフ・ジャケットを脱いでウールのフーディで挑んだ。
尾根道まで出てきたところで風を感じてナノ・パフ・ジャケットを投入。
個人的に風による汗冷えが怖いので、尾根道ではウィンドシェルを必須で着用しているのだが、やはりというかナノ・パフ・ジャケットのいいところは防風性だなと感じました。
尾根道に出たとたん「サムイ!」と感じるくらいの肌感だったのがナノ・パフ・ジャケットでピタッとおさまる。
しかもベルクロチャックにストームフラップ仕様で、開け閉めもストレスなく機能性も損なわない。加えてあごへのあたりが快適なジッパーガレージもついているので、クルーネックのインナーでも不快感なく着用できます。
山のシーンだと、ちょっとでも「サムイ!」が続くと、精神的にもネガティブになってくるものだがレイヤリングで何とかなるのは先人たちに感謝です。
その後、30分ほど尾根道をずんずん調子よく歩いていると少し暖かくなってきたのでナノ・パフ・ジャケットを脱いだのですが、予想以上に汗をかいていたようでナノ・パフ・ジャケットを濡らしてしまっていました。
ですが、その間全く不快感を感じずにいられたので、大した代物だなぁと感心。
その後は小さくまとめてザックに収納。どこまでも慎ましく愛らしいアイテムだなと思います。
まだポテンシャルはこんなものではないはず!
今回は、軽い雪山ハイクだったのでおそらくナノ・パフ・ジャケットのポテンシャルもまだ開放しきれていないかと思いますが、今シーズンは雪山に何度か出ていく予定もあるので、その魅力を味わっていきたいと思います。
今回紹介した商品
メンズ・ナノ・パフ・ジャケット
https://www.patagonia.jp/shop/mens/jackets-vests/insulated/synthetic
.HYAKKEIを運営する会社の代表
.HYAKKEIではディレクター兼フロントを担当。仕事中心の生活で、煮詰まった時に行くソロ登山が趣味。
ストレス度合いに応じて登るコースの難易度が変化し、日帰りの丹沢ハイクから、厳冬期のエベレスト街道まで経験。