カテゴリ: ライフスタイル

Traveling family

「私、1から10まで数えられるんだよ」


と9歳のお姉ちゃん・マルタは嬉しそうに言います。

一年間の旅も日本で9ヶ月目。どの国でも訪れた先の現地の言葉で、数字を覚えるのが家族で決めた約束ごとで、マルタはいつも一番最初にものにしてしまいます。

トーマス家族の旅はベルギー・ゲント市を出発して、スカンジナビア諸国をまわり、そこからフェリーでサンクトペテルブルク、電車でモスクワに渡りさらにシベリア鉄道へ。その後ウランバートルに寄り、北京まで。いったんビザの関係で香港に飛び、次に雲南省をくまなく周り、タイ、ミャンマー、インド、スリランカ、そしてKLを経由して関西へ、さらにはるばる京北へとやってきました。

話を聞いてるとむしろ二人の夫婦は、子供ができてからよく旅をし始めたといいます。「ベルギーでは一年間休みをとっても、ほとんどのところでは復職できるんだよ」とトーマス父さん。その間に空いたポストで若手が働けるチャンスが増える、という発想で社会はまわっていると言います。

そこで、自分の家は知り合いに貸して、大きなバックパッカーを2つ背負って、1つは子供のもの、もう1つは大人たちの荷物を詰め、道中で買ったりもらったりしたものは家に送って、常に身軽に旅をします。子供用荷物には当然たくさんの車や人形が詰まってて、お父さんのMacには訪れる世界土地土地の映画が入っているのです。

お母さんは、9歳のマルタお姉ちゃんがちゃんと同じ学年で戻れるように算数を教えたり、そのカリキュラムが終わったら、英語の動詞の活用を教えていたりと、子供たちは、他者と交わる方法を実地でどんどん経験していきます。夕食後のコタツで、ポニョのぬいぐるみと共にポニョに見入る二人は、かわいすぎました。それに、もちろん英語で字幕なしです(すごいー)。

Traveling family|「【第4回】旅するように、日々を暮らす|「旅する家族の物語」」の8枚目の画像

「この一年はじっくりと家族と過ごそうと思う」という旅を、ものすごくお金持ちでも、ものすごくヒッピーでもない、いわば普通の夫婦がしていることが素晴らしいと思いました。もちろんベルギーでも、一年間の復職可能制度を利用して、休暇を取る人は多くいるけど、決して一年の「家族旅」は普通ではありません。

家族旅をするには?(予算)

現実的な話をすると、4歳と9歳の子供を連れて、家族で一年世界を旅して300万円とちょっとかかると言います。

今回の日本での2ヶ月の滞在はどうしてもコストがかかるので、全体で2−30万くらいはオーバーするかもしれませんが、本当に切り詰めて行く国を選べば200万でも可能です。トーマスのブルジョワな友人の中には、クルーズとかスカイダイビングとか豪華体験も含めて700万円くらいで旅している家族もいるみたいです。

家族旅をするには? (移動・宿泊)

具体的なアドバイスとしては「飛行機は2歳以上は大人と同じ料金なので、小児半額とか無料とかのある電車での旅がおすすめ」みたいで、彼らは飛行機は2回しかまだ飛んでいません。

特に、シベリア鉄道はコンパートメントで4ベッドあるので、鍵もかけられて完全に個室状態だったので安心です。生活感のないホテルでの滞在が長引く方が子供たちにはストレスなので、いろんなサイトで民泊できる場所を探し、その宿泊する家を拠点に、旅のプラニングをしていきます。

ちなみに、「家族で旅するのに一番厳しかったのはインド」とトーマス父さんは言います。

予約したはずの宿が、なかったことにされていたり、なぜかオーナーがドバイにいて、法外な国際電話料金をかけて夜中に交渉したり、深夜に新たな宿泊場所を探したりするのは、自分らだけならいいけど、子供がいるとさすがにキツい「摩訶不思議な世界だった」ようです。

なんだかこの家族に会うと、子供が思春期を迎えて、学校とソリが合わなかったとしても、一年くらい一緒に旅に出ればきっといいんだな、なんて思います。

思えば、自分が3年前に北部スペインのサンチャゴ巡礼の道を900キロ歩いていた時にも、たくさん家族連れの旅人たちを見ました。「子供連れの旅人に対して、世界は思ったよりずっとフレンドリーだった」と二人も言います。

家族旅をするには? (移動・宿泊)|「【第4回】旅するように、日々を暮らす|「旅する家族の物語」」の2枚目の画像

遊びに行った京北の友人の家でも、親たちはお互いの国の子育て事情に興味津々。こうやって、自分たちのゲストとの出会いが知人たちに広がっていくのがこの仕事の面白いところでもあります。大人たちが盛り上がっている間、子供たちは言葉の壁などものともせずに、一緒に楽しんでいました。

しかし、一年旅して300万とは、ちょっといいクルマを買えばすぐに届いてしまう値段です。これから家族を持つ方も、すでにご家族の皆さんも、旅へのロマンが抑えきれなくなった時、子供が何かにつまいずいた時など、ぜひともご参考に。

別れの後の静けさ

京北にやって来たのと同じJRバスでゲストを送り出してしまった後には、時にセンチメンタルな瞬間もやってきます。ベルギーのファミリーゲスト、行ってしまったなー、なんて素敵な家族だったんだろう、とただぼーっとしています。

ユニークなやり方で世界を旅し、お互い助け合い学びつづける人たちと、この山奥で何でもない日常をゆっくり過ごす。そんな人たちの来訪は本当に「贈り物」のようでした。

きっと次に会える時は、マルタお姉ちゃんも弟のジェロームも、立派に成長しているのでしょう。See you in the future!

この記事を書いた人

中山 慶

京都の山奥・京北(けいほく)を拠点とする、編集者・日英同時通訳者。 2014年春より、外国人向けインバウンド事業 "Discover Another Kyoto"を立ち上げる。 サバイバル式に、日英中西仏の5言語を話す言語狂い。現在はロシア語学習中。 https://twitter.com/cosphere

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山や自然をただ訪れるだけではなく、そこを住処とした仕事と暮らしを紹介します。

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