• キャンプや登山に関わる人々へのインタビュー記事一覧です。自然に魅せられたアウトドアフリーカー、自然と共に生きるアスリート、熱い信念を持つオーナー等、その想いやヒストリー、展望など、写真と共に丁寧にお伝えします。今後の人生の選択肢のひとつとなるヒントが、見つかるかもしれません。
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【MEGANEROCK】鯖江の伝統とモノづくりの悦びに溢れるメガネブランド

出会い

福井県は北鯖江駅から軒先に雪が積もる民家を抜け、そこに着いた。田んぼ沿いの倉庫のような工場。目印になるような看板はない。それでもそこは今回の目的地だとはっきり分かった。

インターホンはない。電話しようと思ったその時、入り口から出てきた大柄なエプロン姿の男性が目を合わせ驚きつつも、にっこりと笑った。ネオンカラーのニット帽にMEGANEROCKのvector006。ベーシックな合わせでもやんちゃなカラーリングから雨田さんの人柄が滲み出ていた。

鯖江を拠点とする気鋭のメガネブランド「MEGANEROCK」。この雨田さんのブランドだ。

工場:MEGANEROCK 文化の源

MEGANEROCKのメガネの特長は、クラシカルなフレームに遊び心のきいたギミック。私はそう思っている。オールドスクール感を醸し出しながら、ブランドのモチーフである矢印を模した芯・斬新なカラーリングから、モノづくりの悦びに溢れているように感じる。そんな魅力が、セレクトショップからアウトドアショップに至る卸先、ギミック好きのユーザーを惹きつけている。

雨田さんに案内され、少し張り詰めた気持ちで工場の扉をくぐった。

2021年の10月に移転したばかりだという工場は朱色の西日がキレイに差し込む。工場というより現代アーティストのアトリエといった方が印象に近いかもしれない。所狭しと並ぶ機械や工具にはステッカーや落書きのような文字が並び、壁や扉・床までも写真・絵・ロゴ・物であふれている。ジャンルもカテゴリもバラバラ。でもどこか世界観のある空間である。

MEGANEROCK 雨田さん

聞けば、展示会などで知り合ったアーティスの作品や、取引先からプレゼントでいただいたものを飾っているらしい。確かに中には付箋で「ありがとう!」と書かれたものや、雨田さんの故郷である鹿児島・桜島の写真。メガネをかけた肖像画の数々に、ロゴ入りのミラーなど、雨田さんと関わりのある物ばかり。

「ごちゃついたのが好きなんです」

MEGANEROCKのメガネから感じる伝統。そしてモノづくりの悦び。それは「ごちゃついた」と表現するカオスな空間から溢れ出してしまっていた。

ルーツ:鹿児島から鯖江へ

そんな雨田さんは、メガネの街である鯖江出身ではない。鹿児島に生まれて、一度は鹿児島で販売の仕事をしていた。

「背景のあるモノが好きなんです」

そう語る、雨田さんはおそらく、身の回りの気になったものを調べずにはいられない性格なのだろう。普段から身に着けていたメガネの一大産地である鯖江を知るのは時間の問題だったのかもしれない。

「一度、鯖江に見学に行く機会をいただけたんです。そこからはトントン拍子で決まっていきました。」

職人への弟子入りを考えていた雨田さんだが、運よくそのタイミングで技術継承の枠組みが立ち上がり、生産から製品化のプロセスを一から学ぶことができたという。その会社で経験を積み、鯖江のメガネづくりの伝統を学ぶ。

自身のブランドの立ち上げを目標にしていた雨田さんは、こうして独立への道を進んだ。

運営:心地よいバランス感覚

MEGANEROCKの特長はバリューチェーン(生産から消費の流れ)にもある。生産においては、2か月作って1か月休むというサイクルで生産している。

その2か月で作るメガネも、売れ筋のみを生産するのではない。雨田さんが造りたいと思ったものを造って、できたら卸売り店舗に連絡をして購入してもらうスタイルだという。

これはコロナで消費が慎重になるだろう、その中でも自分が今まで通り楽しみながらメガネを作れるようにと考えてのこと。

また売り方にも特徴がある。MEGANEROCKは直販をしていないのだ。

購入しようと思うと、卸先の店舗で直接購入するしかない。

「メガネはかけてはじめてわかる部分も多い。オンラインで購入して気に入らずお蔵入りになるのは生産者として本望ではない。」

消費者を想いつつ、自分自身の造る悦びも勘定に入れて生産する。このバランス感覚の良さが心地いい。

おわりに

オンラインで知って、その特徴的なデザインで興味を持ったMEGANEROCK。今回のインタビューで、1本筋が通った感覚があった。

MEGANEROCK。そのすべては、雨田さんのユーモアと責任感からくる人柄、ひいてはその人生経験の集積が、1つ1つのメガネに集約されているものなのだと。

その矢印ははっきりとした輪郭で、どこまでもまっすぐ前を向いていた。

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meganerock

公式サイト:https://www.meganerock.com/

公式Instagram:https://www.instagram.com/meganerock/

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2022年4月に東京は千駄ヶ谷のPlaymountain様でPOPUPを開催予定とのこと。限定商品も登場する予定。案内はMEGANEROCKのInstagramでご確認ください。.HYAKKEIからも情報が出次第、掲載させていただきます。

文・写真:町田 直哉

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