【登山記vol.54 槍ヶ岳・穂高岳縦走】2日目 日本屈指の難関縦走路「槍穂高縦走」 2泊3日の山行徹底レポート/バン旅百名山
前回は私たちが行った縦走路の1日目を詳しくご紹介し、今回は引き続き2日目をご紹介していきます。初日は上高地から槍ヶ岳山荘まで。そして今回ご紹介する2日目は、槍ヶ岳山荘から穂高岳山荘までです。途中には、日本屈指の難関ルートである大キレットも通るルートになっています。
もくじ
初めから標高3,000mの稜線歩き。槍ヶ岳山荘〜南岳小屋
槍ヶ岳山荘のテント場は標高3,040mに位置しているため、2日目は圧巻の稜線歩きから始まります。一面灰色の壁面を眺めながら、北アルプス随一の縦走路へ出発です。まずは、テント場から見える大喰岳(おおばみだけ)を通り、中岳を目指します。
大喰岳まで上がると、穂高連峰が目の前に広がります。この日は、奥穂高岳の手前になる穂高岳山荘まで。美しい稜線に心が踊ります。
中岳に到着する前にはほぼ垂直に上がるハシゴ場もあり、日常では味わえないスリルを味わうことができます。しかし、この日通過する大キレットはこんなものではありません。
テント場を出発して1時間で中岳に到着です。中岳からは、南岳を通り、南岳小屋へ。その後この日の大目玉「大キレット」に向かいます。
中岳から南岳山荘までは比較的なだらかな稜線を歩くことができます。穂高連峰の縦走路の中では一番ゆったりと歩ける場所かもしれません。
中岳から約1時間で南岳に到着です。これまではあまり危険箇所もなく、傾斜も緩やかで足場も安定しているため、安心して歩くことができました。ここから南岳小屋まで降ります。
南岳から10分で南岳小屋に到着です。ここは、新穂高から登ってくるルートとの合流地点となり、新穂高から槍ヶ岳を目指す方にも大勢出会いました。ここからヘルメットを着用し、いよいよ大キレットへ突入します。
穂高連峰の核心部「大キレットへ」南岳小屋〜北穂高岳
いよいよ大キレットを通過します。まず、200mほどを一気に降るところからスタート。急すぎてキレット最深部が全く見えません。鎖場やハシゴの連発でかなり神経を使います。一部足場が不安定なところもあるため、注意深く進んでいきます。
降り始めて35分で大キレットの最深部に到着しました。私たちが訪れた日は平日で、かなり人が少なかったですが、土日祝日は渋滞が起きるそう。譲り合って進んでいきましょう。最深部からは一番の難所「長谷川ピーク」へ向かいます。
こちらが長谷川ピーク。両サイドともかなり切れ落ちていることが写真でも見て取れます。しかし、足場がしっかりと作られており、注意深く進めば大丈夫。それにしてもかなりの高度感に一瞬気が滅入りそうになりました。
長谷川ピークを通過してもまだまだこれからといったところ。次なる難所「飛騨泣き」に突入します。飛騨泣きには鎖やロープがなく、自力で登っていかなくてはなりません。また、下を見ると足がすくむほどの高度感。登るよりも降るほうが圧倒的に難しいことがわかります。
飛騨泣きを通過した後は、北穂高山荘までひたすら急斜面を登っていきます。この登りが体感的にかなり長く感じ、体力を消耗してしまいました。
大キレットに入ってから約2時間半で北穂高山荘に到着し、ようやく大キレットの通過に成功。ここでは冷えたビールや、ソフトドリンク、昼食なども販売しているため、大絶景を眺めながら、大キレットの疲れを一気に取り戻すことができます。
まだまだ気が抜けない!危険箇所の連続 北穂高岳〜穂高岳山荘
北穂高岳山荘からすぐのところに北穂高岳のピークがあります。ここから涸沢(からさわ)岳を通過して、この日のテント場である穂高岳山荘へ向かいます。
北穂高岳から涸沢岳は大キレットに並ぶ事故多発エリア。大キレットを通過したからといって安心しきってはいけません。北穂高から少し進むと涸沢カールを横から見ることができ、その美しさに圧倒されます。
北穂高岳から涸沢岳までもアップダウンがあり、危険箇所の連続です。個人的には大キレットよりも北穂高から涸沢岳までのルートの方がかなり神経を使いました。その理由として、足場が比較的不安定なことと、高度感を感じやすいことが挙げられます。
高頻度でペンキの矢印があるため、道迷いをしてしまうことは少ないとは思いますが、濃霧の時は注意が必要です。ここでは少し登山道を離れてしまうと命取り。登山道ではないところは浮石も多く、本当に危険です。確認を怠ることなく、注意して進んでいきましょう。
涸沢岳まで後少しというところでかなり長いハシゴ場が。どこを見ても大絶景のため、ついつい後ろを振り返ってしまいます。ここまでくれば涸沢岳までもうひと踏ん張りです。
北穂高岳から1時間半で涸沢岳に到着です。涸沢岳から穂高岳山荘へは15分間の下りです。この日のテント場はもうすぐそこ!
この日のテント場である穂高岳山荘に到着
この日のスタートから約7時間(休憩含む)でテント場のある穂高岳山荘に到着しました。受付を済ませ、テント場を自分で選びに行くことができます。私たちは夕日を期待してヘリポートの近くのテント場へ。本日はこれにて終了です。
穂高岳山荘の水場は、テント代に含まれているため追加料金を払う必要はありません。しかし、限りある資源のため大切に使いましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。この日は難関ルート「大キレット」を通る危険箇所連続のルートをご紹介しました。個人的には大キレットは南岳方面から入る方が難しくないと感じました。北穂高方面から入るとかなり下りに神経を使うと思います。また、大キレットを通過してからも危険箇所は続き、特に北穂高から涸沢岳の登りは大キレットよりもスリルがありました。次回は、槍穂高縦走最終日、穂高岳山荘から上高地をお届けします。特に、奥穂高からジャンダルムピストンは衝撃の連続!次回もお楽しみに。
インスタグラムやYouTubeなどでも、私たちが登った山々や日常生活など多数投稿しているのでぜひフォローよろしくお願いします!
現在絶賛休学中のおんせん県大分の大学に通う大学生。
学生初、バンライフをしながら一年以内に日本百名山全山登頂を目指して奮闘中。
二人とも関西出身で、アウトドアや登山が大好き!