いつもの道を歩く。

昼前だというのに陽はかなり傾いている。
立ち止まって息を吐くと白い煙になって空中に消えた。

「歩くことが好きだ」頭のなかにそんな言葉が浮かぶ。
その言葉は声となって、森の静けさのなかに響いたような気がして
すこし照れくさくなった。

歩くことが好きなのは小さい頃からで、散歩好きの両親の影響かもしれない。
写真を撮ることを目的に山を登りはじめたとき、
「歩いては撮る」という行為やそのペースになぜか心地よさを覚えたのは
子どもの頃のリズムと一緒だったからなのか。

ぶらぶらと歩いて、立ち止まり、撮影をして、
また歩く。そんなことを繰り返しているうちに
頂上にたどりつく。そして、また歩きだす。

登山中、目に止まり記憶に残る景色は決して派手なものではなく、
言葉に表すと、とてもささやかな瞬間だ。
そして、そんな瞬間は山だけではなく、街にもあふれていて
いつも目の前の風景は私の心を山と街の両方へと向かわせる。

街で山を、山で街を。
そんな風に心を漂わせながら
今日もいつもの道をのんびりと歩く。

野川かさね

写真家

Popular Posts

最近人気の記事ランキング

もっと見る

Monthly Pick Up

.HYAKKEI編集部おすすめの記事

New Posts

最新の記事

もっと見る

特集

特集・連載コンテンツ

もっと見る

トピック一覧

トピックから記事をさがす

もっと見る
この記事を書いた人

野川かさね

山と自然をテーマに作品を発表。著書に「山と写真」、共著に「山と山小屋」「山小屋の灯」「山・音・色」など。ホシガラス山岳会としても出版、イベントに携わる。

関連トピック

トピックから記事を探す

▲TOPへ
window.NREUM||(NREUM={});NREUM.info={"beacon":"bam.nr-data.net","licenseKey":"f78476bdcc","applicationID":"10696506","transactionName":"YlwHbEtQXEVRBRZfWlsWJFtNWF1YHxYDUVBG","queueTime":0,"applicationTime":721,"atts":"ThsEGgNKT0s=","errorBeacon":"bam.nr-data.net","agent":""}