カテゴリ: 体験レポート

小舎の絶品ラーメンで休憩

初日の雨と霧から一転して雲一つない青空の下での稜線歩きとなった二日目。
岩だらけの細道を下り、満開のコバイケイソウに囲まれた黒部五郎小舎に着いたのは、10時半。お昼前なので、人はまだ少なく、小舎には静かでゆっくりとした時間が流れています。

小舎の絶品ラーメンで休憩|「山麓生活の山行記録①『北アルプス最奥、黒部五郎岳~雲ノ平(中編)』」の2枚目の画像

小舎でチェックインを済ませ、腹ごしらえに醤油ラーメンをオーダー。あっさりした素朴な味な上に、チャーシューが絶品!期待を遥かに上回る味に、スープも残さずすべて完食。

対応してくれた〝ゴメちゃん“こと米沢さんは、この小屋で毎シーズン働き、冬から春にかけては大阪のアウトドアショップで働いているというベテランスタッフ。ヘンプ素材のワンピースがよく似合う女性です。
米沢さんに小舎の利用ルールを説明してもらった後、「午後になるとカール内がガスってくるかも」とのアドバイスをいただき、さっそく支度。
背負ってきたバッグは小舎に置き、水とカメラとウェストバッグを持って出発しました。

小舎の絶品ラーメンで休憩|「山麓生活の山行記録①『北アルプス最奥、黒部五郎岳~雲ノ平(中編)』」の7枚目の画像

黒部五郎カールの圧倒的なスケール感

小舎からカール方面へ登り始め、雪解けの水が通る沢伝いに上がっていくと、岩の壁に囲まれたアリーナのような場所へ着きます。

噂に聞いた絶景のオンパレード。様々な形の巨石や、砕けた岩が積みあがってできた天然のオブジェのような風景。そしてそれらを囲う神々しい岩壁は、いつまでも眺めていたくなるような美しさに満ちています。

黒部五郎カールの圧倒的なスケール感|「山麓生活の山行記録①『北アルプス最奥、黒部五郎岳~雲ノ平(中編)』」の4枚目の画像

時折、黒部五郎岳を越え、雲が壁伝いに降りてくる様子は、まるで自然のライブ・エンターテイメントのよう。岩の上に座って休憩しながら、しばらくそのライブを堪能したあと、黒部五郎岳の山頂を目指します。

たまに雲に視界を覆われながらアップダウンする稜線を50分ほど歩いて山頂に着くと、下から見上げていたカールとは違った表情を見ることができました。

黒部五郎カールの圧倒的なスケール感|「山麓生活の山行記録①『北アルプス最奥、黒部五郎岳~雲ノ平(中編)』」の8枚目の画像

黒部五郎の山頂からの景色を目に焼き付けたあとは、岩だらけの稜線を下る2時間のコースを経て、登山客で賑わう小舎へ15時前に到着しました。

夕飯までの間、着ていた服を外に干したりしながらまったりと過ごします。
隣にはワインの瓶を2本も持参したという男性が、水場で冷やした赤ワインを飲み始めました。重くて後悔していると言っているけど、顔は満足そう。

夕ご飯は野菜の天ぷらが中心。

ご飯は合計3回のローテーションで登山客に振舞われるので、後ろの人たちに迷惑がかからないよう早々と済ませ、その後は暗くなるまで読書。
消灯は21時ですが、その前に就寝します。

Day3: 雲ノ平へ向けて出発

三日目。朝食の準備の知らせで4時半に起床。

今日のルートは休憩を入れても6時間ほどなので、朝食を済ませた後、早々とザックを背負って出ていく登山客たちを横目に、のんびりと顔を洗って支度をします。
客が半分ほどになった後で、お湯を沸かし、持参したコーヒーを淹れて少し身体が温まってから7時に出発。

米沢さんたちに挨拶をし、また来る約束をした後、元来た道を登って雲ノ平へと向かいます。
雪の残る滑りやすい崖に沿った道をトラバースし、三俣蓮華岳の稜線に出ると、三俣山荘が見えてきます。

山荘への到着は9時半。別の登山グループから、ここの食堂の料理が美味しいという評判を聞いていたので、さっそく2階の天空食堂に入り、コーヒーとケーキをオーダー。
食堂の窓からは、額縁にでも入れているような形で槍ヶ岳が見えます。さすが天空食堂というだけある、素晴らしい長めです。

出てきたマロンケーキを食べてみると、本当にここは2000m級の山奥かと疑うほどの美味さ。そしてスタッフがサイフォンで淹れたコーヒーは、さっき自分で淹れたコーヒーはなんだったろう・・・と思わずなかったことにしたくなるくらいの素晴らしい味。

この食堂を楽しむだけでも、2日かけて来る価値はありそうです。

お腹も満たされ、三俣山荘から黒部の源流が流れる谷間へと降り、一気に稜線へと続く岩場の急坂を登っていると、坂の途中で休憩しているグループが、「後ろの景色を見ると足が止まっちゃいますよ」というので、振り返ってみて思わず絶句。
さっき休憩をとった三俣山荘と槍ヶ岳が、ちょうど隣同士に並ぶ形で佇んでいました。しばらく立ち止まるには十分な理由です。

眼下に広がる雲ノ平

急坂を登り終え、雪解け水で水を補給しつつ、藪と格闘しながら稜線を降りていくと、眼下にやっと雲ノ平が見えてきました。

“日本最後の秘境”と謳われたこの地は、高山植物と岩からなる、天然の庭園といった感じ。そしてその先にぽつんと佇む山小屋、雲ノ平山荘。そのさらに先には何が広がっているのか、想像力を掻き立てられます。

13:45に山荘に到着。5年前に立て直されたというこの小屋は噂通りの綺麗な建築物でした。

この山荘は雨水を利用している関係で飲み水がないため、近くのテント場まで行って湧き水を確保します。せっかくだから頭も洗おうと、勢いよく吹き出す湧き水に突っ込むと、登りの疲れも多少癒されました。

夕飯は鍋料理を他の宿泊客たちと一緒に囲みながら堪能。その後は消灯までの間、同じ部屋になった人たちと、これまでの山行の話で花を咲かせます。

朝になったらみな早々に各々のルートへと発つ人たち。お互い名前を交わすことはありませんが、各自が語ってくれた山行の話は、忘れることはないでしょう。

後編では、身をすり減らしながら歩いた4日目~5日目。そして最後に今回の山行で持っていった装備についてお伝えします。

今回のルートのポイントまとめ:

・黒部五郎カールは午前中までに行く。
・三俣山荘の天空食堂は立ち寄っておいて間違いなし。
・黒部の源流を過ぎた、槍ヶ岳と三俣山荘が並んで見えるポイントに注目。
・雲ノ平山荘は飲み水がないので、テント場で湧水を確保。

持っていくと山行が楽しくなるアイテム:

眼下に広がる雲ノ平|「山麓生活の山行記録①『北アルプス最奥、黒部五郎岳~雲ノ平(中編)』」の16枚目の画像

『バードコール』
バードウォッチャーが利用する、鳥を呼び寄せるための笛。
金属部分をひねることで鳥の鳴き声に似た音がするため、うまく行けば鳥が近くまで来ることもあります。山で休憩時の遊び道具として持っておくと、思わぬ鳥との出会いがあるかもしれません。


※注意※
この記事は、2015年7月末の山行を記録したものです。
山のコンディションは時期によって異なりますので、事前に状況を確認した上で登山計画を立てましょう。

この記事を書いた人

津田 賀央

東京のメーカーに勤めながら、長野県富士見町で個人のプランニング会社を立ち上げ。現在は週の4日を八ヶ岳の麓、3日を東京で過ごしながら、「富士見町テレワークタウン計画」などのプロジェクトをサポートしている。 趣味は山と音楽。

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津田 賀央

八ヶ岳と東京を行き来しながら、山と都会の暮らしについてレポートします。

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