外遊びは足元から|#07 卓越したフィット感とグリップ力! アークテリクスのトレイルランシューズ「ノーバン VT シューズ」
さすがアークテリクスと、思わず唸る。
今回はアークテリクスのトレイルランシューズを取り上げます。アークテリクスがシューズをつくっていること自体、意外に思う人もいるかもしれません。アークテリクスといえば高機能なシェルジャケットやバックパックが有名ですが、近年は登山やトレイルラン向けのシューズにも力を入れているんです。
また、妥協なきモノづくりの姿勢で最高品質のプロダクトを作り続けているアークテリクスは、スタイリッシュなデザインや色使いにも定評がありますが、シューズに関しても例外ではありません。
シュッとしたシャープなフォルムに控えめなロゴ使い、そしてシンプルな単色のなかに差し色を効かせた美しい色合い。手にとったときに感じるプロダクトとしての完成度の高さも含めて、さすがアークテリクスと唸らざるを得ません。
神は細部に宿る。ディテールにも妥協なし。
続いてディテールをチェックしていきましょう。
アウトソールは前足部と中足部〜後足部でラグのパターンや色に変化がつけられています。オレンジの中足部〜後足部は、耐久性に優れたビブラムのメガグリップ。そして黒い前足部は、粘性が高くグリップ力に優れたビブラムのアイドログリップ。ここは“クライミングゾーン”と呼ばれていて、岩場などで足を引っ掛けて登るときに役立ちます。
独特の形状のシューレース。向かって左側、下から2番目のフックに秘密があるのですが、それについてはまた追って。
ヒール部の外側には、始祖鳥の化石をモチーフにしたアークテリクスのロゴが。
ヒール部には着脱を容易にするフックも設けられています。オレンジの差し色が良い感じ。
インソールには通気性やクッション性に優れたオーソライトを採用。
ソフトで伸縮性に優れたライニングはソックスのような形状になっていて、足をぴったりと包み込むとともに、小石などの侵入を防ぎます。
上りでも、下りでも、足さばきは軽快!
さて、この「ノーバン VT シューズ」を履いて、トレイルへ出かけてみましょう。
筆者はアークテリクスのトレイルランシューズを履いたのは今回が初めてでしたが、実際に履いてトレイルを歩いたり走ったりしてみて、「極めて真っ当なシューズだな」というのが率直な印象。ソックスのように足を包み込むライニングのせいか、フィット感は驚くほど高く、足さばきは軽快そのもの。片足あたり152.5 gという軽さも相まって、誤解を恐れずに言えば「履いていることを忘れてしまう」ほど。
そして特筆すべきは、アウトソールのグリップ力の高さ。やわらかい土、木の根っこ上、岩場など、サーフェスを問わず、地面に噛み付くような強力なグリップが感じられました。これは上りでも下りでも同様です。
ミッドソールのクッション性はそれほど高くなく、比較的硬めなチューニング。沈み込みが少ないぶん、スピードを上げても安定感がありました。
なお、先述したシューレースの件ですが……
向かって右側、上からふたつめのシューレースフックの下の部分のシューレースを引っ張って……
左側のフックに引っ掛けると……
このようになります。こうすることで、より強いフィット感を得ることができます。僕はトレイルランにおいて、下りでスピードを上げたいときにシューレースを強く結び直すようにしているのですが、これならわざわざ結び直さなくてもフィット感を調節することができるというわけです。また、登山の際は険しい岩場を登るときにも良さそうです。
あとは、¥23,000という価格をどう捉えるか? トレイルランシューズとしてはかなり高価格帯に属しますが、アークテリクスというブランド価値やその品質の高さを鑑みると、それだけの価値は大いにあると僕は思います。
ちなみにこのシューズはアッパーがゴアテックスのバージョンも用意されています。防水仕様をお好みの人はそちらをどうぞ。
・デザイン ☆☆☆☆☆
・フィット感 ☆☆☆☆☆
・軽さ ☆☆☆☆
・クッション性 ☆☆☆
・悪路走破性 ☆☆☆☆
・コスパ ☆☆☆
¥23,000+税
アークテリクス コールセンター/アメア スポーツ ジャパン
Tel.03-6631-0833
http://www.arcteryx.com
Run for Beer, Beer for Run.
1976年生まれ。フリーランスのエディター、ライター。スニーカー専門誌『SHOES MASTER』編集長、ランニング専門誌『Runners Pulse』副編集長、フイナム ランニング クラブ♡部長。