ギアフリークが語る!ガス器具と仲良く付き合ういろはを教えてもらいました
山でもキャンプでも、なくてはならない存在がガス器具。シングルバーナーを筆頭に、時間の経過と共に進化するガス器具ですが、アウトドアのスタイルによってどんなチョイスが良いのでしょうか?また、扱う上での注意点や危険性は?
各アウトドアメーカーが所属する、一般社団法人 日本ガス石油機器工業会とのタイアップで、読者の皆さんにきっと役立つガス器具話をお届けしたいと思います。
今期熱く語り合ってもらったギアフリークはこの3名。
猪野正哉・・・雑誌・ウェブ問わず幅広いメディアで活躍するアウトドアライター。千葉県にあるアウトドアスペース『たき火ヴィレッジ<いの>』も運営・管理。現在はイベントや撮影場所提供のみ。一般開放できるよう、日々開墾中。焚き火マイスターとしても活動している。
アクタガワタカトシ・・・アウトドア、スポーツ、ファッションを軸に、コンテンツ制作やプロダクトデザインなど様々なプロジェクトに関わるクリエイティブディレクター。ギア類に精通し、キャンプをメインに一年中アウトドア活動を行う。
山畑理絵・・・自分にとって居心地のいい暮らしを模索しながら、山と街を行き来しているアウトドアライター。日帰りハイクからテント泊縦走、ボルダリング、トレイルラン、スキー、キャンプなど四季を通してフィールド三昧。
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では、ガス器具談義、スタート!
あなたはどのスタイル?各ガス器具の特長を語らう
——今日はそれぞれのお気に入りのガス器具を持ってきてもらいました。皆さんキャンプに登山に幅広くアウトドアを楽しんでいらっしゃいますが、どんなものを使ってるんですか?
自分はシングルバーナーもキャンプ用と山用で分けてますよ。ガス器具で初めて買ったのがコールマンのアウトランダーマイクロストーブPZ。今でもキャンプ用として使ってます。
これは手元が火で熱くならないような工夫がされていて、壊れないし安心して使っています。
コールマンは安定感ありますよね。ファミリーやエントリーとしてはやっぱりぴったりだと思います。
山用はSOTOのアミカスですね。
私もSOTOです、ウインドマスターを使ってます!ゴトクが取り外せてコンパクトになるし、風や寒さに強いっていうのが山においてはすごく便利だと思ってます。
SOTOは中央に火が寄る構造になっていてエネルギー効率は良い方だし、湯沸かしには相性良いですね。
個人的にはプリムスも好きで。電着のシステムが他よりしっかりしているのと、火の強弱がコントロールしやすいところがイイですね。カチカチって、着火がしっかりできるとストレスが無いですよ。
アクタガワさんは普段何を使ってるんですか?
かなり色々買って試しているので、決まってコレ!っていうのはないんですけど(笑)。キャンプではユニフレームのツインバーナーを使うことが多いですね。風が気にならない日であれば、普段は蓋とサイドの風除けは外してます。こうすると、両サイドから調理できるから便利なんですよ。みんなで囲んで楽しむようなキャンプの時は重宝しますね。
キャンプといえば、スノーピークのギガパワーストーブ地。あのゴトクのアイディアはすごいなぁと思いましたね。大体ゴトクってサイドで束ねる形が多いと思うんですが、スノーピークは中央に収納する形で見た目以上にコンパクトにできる。火力を調整するツマミは長めのワイヤー式にすることで回しやすく、軽量化にも繋がっているんだろうなぁって思います。まさに機能美ですよね。
着火時も比較的音が静かな印象ですね。キャンプ系で言えば、キャプテンスタッグのオーリック小型ガスバーナーもありますね。
キャプテンスタッグは大元が金属加工の会社だから、値段以上にしっかりしてますよ。それとガスカートリッジのデザインが実はカッコよくて、自然の景色に馴染む色合いなので、キャンプ使いとしてはちょうどいいんじゃないですか。
——皆さんアウトドアのスタイルもあると思うので、バーナーひとつとってみても選ぶ基準が異なってそうですね。
私は登山が多くて、クッカーの中にうまく収まる方が嬉しいので、使用頻度が多いのは小型化されたやつになりますね。大きめのクッカーを置いた時の安定感は弱いけど、気を配りながら使えば問題ないですし。あ、それとガスカートリッジの底のくぼんだ部分に収納できるモデルが登場すると嬉しいなって思います。そうすれば無駄なくスマートに携行できますから。
アクタガワさんは軽さとか気にしないイメージがあるんですけど?
キャンプはそうだけど、山は軽くしますよ。山に行く時はちゃんと荷物の重さを量って行くようにしてますし。ただ、アメリカのULをそのまま日本に持ってくるのは無理があると思うんですよ。
例えば、アルコール。アメリカのトレイルでは街に出れば簡単に手に入るから良いけど、日本の山はそうはいかない。途中で補充できないから、それなりの容量を持って行こうとすると、結局ガスと重さは大差ないんですよね。アルコールの方が使いづらいから、数泊くらいの山行であれば断然ガスの方が良いですよ。
強いてアルコールを選ぶとすると、音が静か、とか、雰囲気が好きだから、とかそういう嗜好性の部分であって、軽さで選ぶべきではないと個人的には思いますね。
ガス器具を使う上で注意しておくべきこと
——皆さんの私物は年季が入っているように見えるんですけど、ここからはメンテナンスの話をしていきたいなと思います。Oリングの劣化などもあって、実は5年〜7年の周期でメーカーでの修理やガス器具自体の買い替えをしたほうが良いそうなんですが。
確かにOリングは使っていくと固くなってきますからね。ガス漏れを感じた時は、Oリングの仕業だったりすることも多いと思います。
Oリングの劣化によるガス漏れによる事故(火傷や火災、破裂など)が発生しています。Oリングは使用ごとに劣化もしますが、使用せずとも経年劣化するゴム製の消耗品。
ご自身のものでも譲り受けたものでも、使用前に必ずチェックし、切れ、ひび割れ、ささくれ、硬化縮みを発見したら販売店や各メーカーに問い合わせしましょう。また、ガスカートリッジを取り付けた状態で異音・異臭がしたときは、絶対に使用しないようにしましょう。
===link@詳しくはコチラ@http://api.triver.jp/adlogue/api/click2/?mid=tguef&cid=5swxq===
メンテナンスになるかわからないですけど、水以外をこぼした時はしっかり拭き取るようにはしてますね。この前は牛乳をこぼしちゃって。
それ大事ですよね、錆びの原因になるから。あと自分の場合は、山でもキャンプでも出発前に事前に動作チェックは必ずしますよ。ガス漏れは気にしますね。漏れの音を注意深く聞くようにはしています。
——なるほどなるほど。使用時に注意しているところとかは?
ガスが冷えないようにというのは山では鉄則です。
私も冷えない対策はしていますね。特に寒冷シーズンは必ず寝袋に入れます。
テントの中でも使わないですね。テントは燃えやすい素材でできてますし、テント内で使うのは本当に危ないでしょう。
テント内の使用は燃える危険性はもちろん、事故として多いのは一酸化炭素中毒。毎年のように命を落とす方がいます。テントは薄幕だし通気性も良いから大丈夫では?と思いがちですが、テント内での使用は絶対やめましょう。一酸化炭素は無色・無臭で空気との違いが判別つかず、事態の悪化にも気付きにくいのが特徴です。
===link@詳しくはコチラ@http://api.triver.jp/adlogue/api/click2/?mid=tguef&cid=66ujj===
インナーテントの中で使ってしまった友人がいたんですけど、火力が強く出たときに慌てちゃって。危うく着火したまま倒すところだったみたいです。とても危険ですよね。
テント内外問わず、シングルバーナーってけっこう倒しやすいので、注意が必要ですよね。あと、強弱を逆に回しちゃうことがあるんですよね、あれはいくらやっても間違えちゃう。
あるある(笑)。 あ、でも火力調整ツマミにどちらが強弱か書いてありますよ。でも、モデルによっては右利きの人には目に入りにくい書き方されているんで気づいていない人も多いかもしれませんね。
本当だ!書いてある。知らなかった。
あと、バーナー本体とガスカートリッジを取り付けるときに、やりやすいようにって傾けて付けちゃうことありますけどあれもNGですよね。しっかりガスカートリッジを水平にして、垂直にバーナーを取り付けないと。
気化せずに液体のままガスが漏れる心配がありますから。音でわかると言えばわかりますが、初心者の方は気をつけたほうが良いでしょうね。
そばで燃焼器具を使っている人がいると、その炎に露状に飛び出したガスが引火する危険があります!
日々使う人はそこまで心配ないんでしょうけど、たまにしか使わない人で物置にしまったまま、ベランダに置いたまま、みたいな人は錆にも気をつけた方がいいです。錆以外にもいろいろ問題があるかもしれないので、事前チェックは必須でしょうね。
砂浜やコンクリの上などでも使わないですよね。ガスカートリッジが熱くなって破裂の危険性がありますから。
車内放置も良くないですよ。それと、ガスカートリッジが熱くなる危険性で言えば、バーナーの輻射熱で破裂っていうのはたまに聞きますね。バーナー同士近い位置で火を起こすのもNG。
アウトドア以外でも、学校の文化祭とかで何度かあったみたいです。ガスコンロを二つ置いて上に鉄板置いて焼きそば焼いてたら、鉄板からの輻射熱でガスカートリッジが破裂した事故とか。
現場でそうなったらビックリするし怖いですね……輻射熱に気を付けようっていうのは耳にするけど、どの程度までいくと危ないかとかが分からないんですよね。危ないかもしれないけど、ちょっとだけだしって人も多いとは思います。
熱がこもってしまうような環境は絶対避けたほうが良いでしょうね。先ほどのガスコンロとかは典型例だとは思います。あとは高熱のものの近くに置くのアウトです。
===link@ガス器具使用上の注意点はこちらをチェック@http://api.triver.jp/adlogue/api/click2/?mid=tguef&cid=6ks6a===
ガス器具のトレンドと楽しむスタイル
——キャンプの場合は軽量化にこだわることも多くはないので、ギアを楽しむスタイルが幅広い印象ですが、山ではどうでしょう?
買い替えって話がありましたけど、ガス器具は時間の経過と共にどんどん洗練されていっていますよね。
前までは山道具はタフで壊れない、ってことに重きが置かれてましたけど、最近はウルトラライトのムーブメントがあるから軽さを追い求めるようになってきてますよね。それによって技術革新が起きている印象です。これがまた今度、小ささ、みたいなところを追い求め始めると、また新しい革新が起きるんじゃないですかね。
——小型軽量タイプにするか、カセットガス式にするか、ゴトクが大きなタイプにするか等々、用途やスタイルによって選ぶガス器具の幅が広がってきてますね。
昔からの山好きってすごく大きくて頑丈な道具をいまだに背負って登ってたりするじゃないですか。そうやって世代や嗜好でタイプが分かれるのも面白いですよね。
アウトドアでは欠かせないガス器具。なんとなく大丈夫だろうと思って、危険な使い方をされてはいませんでしょうか?お気に入りの道具はしっかりメンテナンスするのはもちろん、使い方にも注意して安心・安全にアウトドアを楽しみましょう!
LIFE WITH NATURE!
コースタイムの1.5倍はかかる写真大好きハイカー。登山はカメラ3台、キャンプはミニマルに、自分らしい自由なアウトドアを楽しんでいます。フィルム登山部メンバー。.HYAKKEIファウンダー&初代編集長。