カテゴリ: 体験レポート

四国まで来たのにタダで帰るわけにはいかない!

8月某日の木・金曜、高知県仁淀川町での取材が入り、出っ張ることになりました。金曜日で終わるということは、そのまま土日に突入。そう頻繁に四国に来られることもないですから、せっかくだから四国の山でも絡めたいところ。迷いなく「石鎚山」をチョイスしたのでした。

取材終了後、カメラマンさんと高知市内のレンタカー屋さんへ。登山口は決めていたものの、宿泊先を決めていなかったので車で向かいながら探すことにしました。もちろん見つけたいのはキャンプ場or野営場です。

アクセスは最寄りで前泊、翌朝、「国民宿舎石鎚」の駐車場へ

仁淀川沿いを流れとは逆走し、吉野川の源流、長沢ダム湖脇の県道40号をひた走ります。土砂降りのなか狭い山道を慎重に。この狭さ、地元でも“酷道”と称されているようです。探し当てたキャンプ地に着いてはみたものの“何か”を感じて怖くて変更したりして、ようやくたどり着いたのが「しらさ野営場」。雨は上がりましたが、すっかり夜になってしまいました。

すぐ隣にある「山荘しらさ」という、高級ペンションのようなおよそ山荘らしからぬ施設で受付をすませます。たったの500円で利用させてもらえるなんて、大変忍びない。しかも水不足だとかでカフェ営業も休止中で、お金も要らないとのこと。むしろ望んでお支払させていただきました。

アクセスは最寄りで前泊、翌朝、「国民宿舎石鎚」の駐車場へ|「西日本最高峰の霊山「石鎚山」で、修験道の行場「鎖場」にチャレンジ!」の2枚目の画像

翌朝、4時半起きで準備を済ませ、車で20分ほどの「国民宿舎石鎚」の駐車場に向かいます。天気も期待できそう。しらさ野営場のある伊吹山も、朝日を浴びて神々しい姿に。

四国独特の山容を満喫する


さて、目指すは石鎚山山頂です。日本三大霊山は、富士山、立山(富山県)、白山(石川県)ですが、これに石鎚山を加えるために、七霊山というくくりがあるのだとか。ちなみに他は大峰山、釈迦ヶ岳(ともに奈良県)、大山(鳥取県)だそうです。

四国独特の山容を満喫する|「西日本最高峰の霊山「石鎚山」で、修験道の行場「鎖場」にチャレンジ!」の2枚目の画像

霊山とは山岳信仰で親しまれた山のこと。この石鎚山は奈良時代685年に開山されたと伝えられているほど歴史のある山で、石鎚神社の主祭神である「石鎚毘古命(いしづちひこのみこと)」は古事記に記された六柱の神。また、修験道の開祖、役行者が開山したとか、弘法大使空海も山岳修行を行ったとか、霊験あらかた感が凄まじいですよね。心してお邪魔したいと思います。

四国独特の山容を満喫する|「西日本最高峰の霊山「石鎚山」で、修験道の行場「鎖場」にチャレンジ!」の4枚目の画像

ブナに代表される落葉広葉樹林やシコクシラベ(シラビソ)、イブキザサなど四国独特の樹林帯のなか、きれいで歩きやすく整備された登山道を進みます。急な勾配もなくハイキング気分。

四国独特の山容を満喫する|「西日本最高峰の霊山「石鎚山」で、修験道の行場「鎖場」にチャレンジ!」の6枚目の画像

運が良ければヤマネやクマタカなど、天然記念物や絶滅危惧種にも遭遇できるのだとか。それにしても歩きやすい。

四国独特の山容を満喫する|「西日本最高峰の霊山「石鎚山」で、修験道の行場「鎖場」にチャレンジ!」の8枚目の画像

先のほうに陽の光を浴びた石鎚山山頂が見えてきました。正確には、石鎚神社の頂上社や山荘のある弥山と、最高点(1,982m)がある天狗岳、南尖峰など一連の山の総称が石鎚山なのだそう。一般に山頂ととらえているのは、日本の“マッターホルン”と呼ばれる天狗岳のことになります。しかし、肩書きや呼び名が多い山ですね。

四国独特の山容を満喫する|「西日本最高峰の霊山「石鎚山」で、修験道の行場「鎖場」にチャレンジ!」の10枚目の画像

高知方面の山々。以前、香川から四万十川へ車移動していて感じていたことですが、四国の山というか地形は独特ですよね。とにかく山が多くて、高速道路を走っていても、トンネルに入っては出ての繰り返し。面積の割に山が多いこともあるのでしょうか。こうした山々の景色を見ていると、まるで神話やお伽話のなかに入り込んだような気にもなりますね。

四国独特の山容を満喫する|「西日本最高峰の霊山「石鎚山」で、修験道の行場「鎖場」にチャレンジ!」の12枚目の画像

歩きはじめて1時間半ほどで、公衆トイレのある休憩所に着きました。階段もしっかりとしており、トイレも実にキレイで新しい。霊山としての歴史を感じるというより、真新しさに驚きました。

いよいよ核心部。修行の場であった鎖場にチャレンジ

いよいよ核心部。修行の場であった鎖場にチャレンジ|「西日本最高峰の霊山「石鎚山」で、修験道の行場「鎖場」にチャレンジ!」の1枚目の画像

さて、ここからが石鎚山の核心部のようです。今までは猫をかぶっていたのでしょうか。急にエグイ鎖場が目の前に。とはいえ、これは“二ノ鎖”。表参道コースから登ると、まず“試し鎖”があり、夜明峠とニノ鎖の間に一ノ鎖があるらしい。ちなみに、石鎚山の事故のほとんどは二ノ鎖、三の鎖に集中しているのだとか。試し鎖やってないけど大丈夫か……。

18世紀に架け替えられた記録が残っているとのことで、かなり歴史ある鎖場のようです。もちろん難所だからという理由ではなく、修行のための鎖だったのでしょう。

いよいよ核心部。修行の場であった鎖場にチャレンジ|「西日本最高峰の霊山「石鎚山」で、修験道の行場「鎖場」にチャレンジ!」の3枚目の画像

電車のつり革みたいなサイズの鎖です。体力は十分に残っていましたので、いざチャレンジ開始。二ノ鎖は全長65m。最初は鎖に頼らず這って登れましたが、途中からほぼ垂直で、足場を探して鎖を掴み、腕の力で体を上げるの繰り返し。高度感も出てきてスリルも満点。アドレナリンが出ているのを感じます。

鎖には金属製の三角の足置きが何カ所かありますが、これもブラ下がっているので動くし、向きもまちまち。また、微妙に靴のサイズとピッタリすぎて、スムーズに置いたり抜いたりが難しい。岩場に足の置場を見つけて三点支持はするも、つま先では不安定なので踏ん張れず、結果腕力で登ります。

いよいよ核心部。修行の場であった鎖場にチャレンジ|「西日本最高峰の霊山「石鎚山」で、修験道の行場「鎖場」にチャレンジ!」の5枚目の画像

これが三ノ鎖。68mあるとか。これはほぼ垂直ですよね。これが百名山だなんて、少々お年を召した方には到底難しいのではないか、なのに引退後に百名山制覇している方は多くいらっしゃるし……と不思議に思います。

いよいよ核心部。修行の場であった鎖場にチャレンジ|「西日本最高峰の霊山「石鎚山」で、修験道の行場「鎖場」にチャレンジ!」の7枚目の画像

登り用と下り用と、左右にありますが、とてもじゃないけど交差に気を遣っている余裕はない気がします。普段から足腰は鍛えておかねばと、階段を利用したりスクワットをしたりはしていましたが、登山でこれほど腕の力が必要になるとは……。なるべく下を見ないようにして、なんとか登りきりました。

いよいよ核心部。修行の場であった鎖場にチャレンジ|「西日本最高峰の霊山「石鎚山」で、修験道の行場「鎖場」にチャレンジ!」の9枚目の画像

石鎚神社のある弥山に到着です。こちらもかなり新しい感じ。

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鎖場のあたりからうすうす感じてはいましたが、山頂に着いてすっかりガスに包まれてしまいました。西日本最高峰の眺望は楽しめず……残念。

毎年7月1〜10日の間に山開きの大祭が行われるそうで、日本中から多くの信者が訪れる石鎚神社。1日に白装束の信者に担がれた智・仁・勇の三体の御神像が山頂に着くと、それを奪い合うように信者達が体をこすりつけて無病息災を祈るのだとか。しかし、女人禁制の名残はまだあり、女性は1日だけは登れないのだそうです。

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絶賛ガスっておりますが、最高点のあるナイフリッジの天狗岳へ向かいます。弥山から稜線に下りて、右側を巻くように進むと、10分足らずで天狗岳へ。ガスが晴れる気配もなく、下山することにしました。さて、あの鎖場を今度は下りるのか……。

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弥山に戻り、神社横の頂上山頂へ。バッジやTシャツなど土産物が大変充実しております。眺望は楽しめないけど、缶ビール1本をご褒美としました。

ビールを飲んでいると、続々と登山者が山頂にやってきました。明らかに軽装な登山者やお年寄りまで……。本当に鎖場を登ってきたのか改めて疑問に思っていると、ようやく迂回路の存在に気づきました。

下山時はその迂回路で下ってみることに。階段がいくつも設けられていて、大変歩きやすいこと。我々は目の前に現れた鎖場に真っ先に取りつき、迂回路の存在を確認することなく登っていたようです。まぁ、仮に知っていたとしても鎖場を登りましたけどね!

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二ノ鎖の近くにあった天狗の像。神社はきれいになっていましたが、こうした端々に歴史ある修験の山であることを感じます。石鎚山を開山した修験道の始祖、役行者は大天狗の一狗としても数えられているとか。その名も「石鎚山法起坊」。絶大な霊力を持った天狗のなかでも別格の存在だったそうです。その名に石鎚山とあるのだから、この山の格の違いを感じますよね。

いよいよ核心部。修行の場であった鎖場にチャレンジ|「西日本最高峰の霊山「石鎚山」で、修験道の行場「鎖場」にチャレンジ!」の19枚目の画像

下山していくと、本当に多くの登山客とすれ違います。車でのアクセスもよく、ロープウェイなどもあり、しかも登山道も登りやすい(鎖場は迂回できるし)ですから、たくさんの人に親しまれる、その人気の高さがうかがい知れます。

国民宿舎近くになると日射しを浴びて気温も高くなってきました。登山道がくっきりと見渡せるこの景色。同じルートを下るピストン登山ではありましたが、帰り道もしっかりとその美しさを堪能させてもらいました。


撮影協力:後藤秀二

この記事を書いた人

渡辺 有祐

アウトドアをはじめ、さまざまなジャンルの生活実用書を手がける編集プロダクション「フィグインク」代表取締役。キャンプはもちろん、登山、川下りなどプライベートでも野外活動に勤しむ。

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山に登り、川を下り、そしてキャンプを楽しんでいます

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