2014年(平成26年)9月27日に起きた御嶽山の噴火。2年が経った今年7月には慰霊登山が行われましたが、未だに当時の様子が強く印象に残っているという方も多いでしょう。

噴火の5日前に御嶽山に登っていた私にとっても、それはとてもショッキングな出来事でした。紅葉し始めた木々が稜線を彩る、美しく穏やかな山だったことをはっきりと覚えています。


自然を楽しむためにも、噴火を恐れるばかりではなく、改めてきちんと知っておきたいーー。


そこで今回は、「NPO法人 日本防災環境」の今野茂雄さんにお話を伺いました。


山によって状況が異なるからこそ、予見が難しい

ーー御嶽山の噴火に衝撃を受けた方は多いと思います。噴火の予兆というのはあまりないのでしょうか?


多くの場合は、地盤であるとか火口付近の隆起や火山性微動が起こりますが、御嶽山の時はほぼなかったようです。

現在日本には110の活火山があり、そのうち監視・観測体制の充実強化を図っているのが50火山です。火山とひと口に言っても、富士山のように大きな噴火が江戸時代に起きて以来発生していないものもあれば、日常的に噴火している桜島のようなものもあります。

山によって性質がまったく異なるため、事前に震動などがあったとしても、それが噴火に結びつくかどうかもまちまちです。すべての火山の状況を読み解くのは難しいという背景があるのです。


ーーなるほど。噴火にも種類があるのでしょうか?


大きく分けると、「マグマ噴火」「マグマ水蒸気爆発」「水蒸気爆発」の3種類があります。

「マグマ噴火」は映画などでよく見られる噴火のことで、マグマ自体が噴火し、場合によっては流れ出すこともあります。「マグマ水蒸気爆発」は、温められた地下水がマグマとともに火口から噴出するものです。

「水蒸気爆発」は、水蒸気となった地下水が、火山灰や土とともに火口から噴出するというもの。御嶽山も、このタイプの噴火でした。

また、御嶽山の噴火は比較的短時間で収まりましたが、数日続くこともあります。噴火の仕方も山によって異なると言えますね。

もしも登山中に噴火してしまったら……


ーー実際に、登っている最中に噴火を察知することは難しいのでしょうか?


噴火する直前に震動がありますが、それと同時に噴煙が起こり……といった具合なので、登りながら異変を感じた頃にはすでに噴火してしまっているでしょう。

御嶽山の時はカメラや携帯電話で写真を撮っている方が多かったようですが、こうした行為が命取りになりますから、決して甘く見てはいけません。

ーーもし登山中に噴火してしまったら、どう対応したら良いですか?


火口から吹き出す噴石には、キロ単位のものからトン単位のものまでありますから、まずはヘルメットなどで頭を隠してください。そして、山小屋があればすぐさま避難してください。

また、火砕流が起きた場合、流れる速さは時速100㎞とも言われており、人の足で逃げるのは難しいでしょう。高いところから低いところへと流れていきますから、沢があるような低いところへは行かないようにするという工夫も考えられますね。


ーー火山灰の影響もあるのでしょうか?


はい、火山灰は人体にも大きな影響を及ぼします。吸い込んでしまうと、息切れやせきなど呼吸器に疾患をもたらしたり、皮膚に痛みやかゆみが起こったりします。鋭利な角を持っていますから、目に入ると目を傷つけてしまうこともあるでしょう。肌や口を覆って、火山灰から身を守ることも大切です。


ーー持ち物としては、どんなものが考えられますか?


やはりヘルメットは必須。あとはできれば防塵タイプのマスク、ゴーグルもあると良いですね。ヘルメットに関しては、折りたたみのものを選べば、荷物にならずに持っていけますよ。

ただ、真上から大きな噴石が落ちてくる可能性などが十分にありますから、とにかく事前に山の状態をよくチェックしておき、噴火を避けることが第一です。

山を愛する人こそ、しっかり学び、対策することが大切


ーー事前チェックとは、どういったことができるでしょうか?


まずは気象庁のHPなどを見て、情報収集をすること。噴火の危険度を数値化した「噴火警戒レベル」はひとつの目安になりますし、災害による被害予測を地図化した「ハザードマップ」を見れば、噴火した場合、どんな風に被害が広がるかが一目瞭然です。

それから、事前に登山届を提出しておき、自分の所在をはっきりさせておくことや、登山マップ(火山防災マップ)で山小屋の位置を確認しておき、いざという時に焦らなくて済むようにしておくことも大切ですね。

山の状況は変わりやすいので、いずれも登山計画を立てる時にチェックし、直前にも改めて確認するようにしましょう。


ーー御嶽山の噴火後、国の対策などにも変化はあったのですか?


2015年(平成27年)5月に、「活動火山対策特別措置法」が一部改正されました。これによって、関係者は避難の指示ができるよう計画することが義務づけられたり、山小屋にヘルメットの配備が推進されたりと、対策は確実に強化されています。

もちろん噴火は恐ろしいことですし、今の科学技術では推し量れない部分もたくさんあります。山には基本的に遮るものがありませんから、実際に遭遇してしまったら逃れることは難しいでしょう。

しかし、事前の準備を十分にしておくことで、予防することが可能です。山を愛する人にこそ、そうした心構えを大切にしてほしいですね。

この記事を書いた人

竹川 春菜

広告制作会社にて旅行広告の編集・ライティングを担当した後、フリーライターに。日帰り登山を中心に自然を求めて活動中。チャレンジしてみたいことは縦走、雪山登山。

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竹川 春菜

運動オンチの登山好き。澄んだ山の空気が活力源です。

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