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改めて考える、コールマンのガソリンランタンを所持する魅力|コールマンランタンの歴史は、今「あなた」が創っている(前編)

「オールドコールマンランタン」

キャンパーにとって憧れの一品です。時を経てオールドとなり、今なお使えるその半永久的な商品力が、オールドとしてその誉を高めてきました。

しかし、過去への賛美ばかりでは歴史は動きません。当然ですが最初からオールドなど存在しません。最初はみな「新品」なのです。

つまり、もしあなたが今新しいコールマンのガソリンランタンを手にしたとしても、そこから歴史は動いていき、新しい歴史を作ることができます。

一方、時代とともに生まれたLP(ガス)ランタンやLEDランタンは、実用性からみればガソリンランタン以上のものもあります。それを使うことは少しも悪くはありません。しかし、それでもなおかつ一台は手にしたいと思わせてくれるガソリンランタンの魅力は、一体どこにあるのでしょうか。

今を生きる3つのランタン

現行で私たちが手にすることができるコールマンのガソリンランタンは3種類。
ワンマントルランタン286A、パワーハウスツーマントルランタン290A、ノーススターチューブマントルランタン。

中でも286Aはコールマンという枠をも超えて、キャンプアイテム全体でも定番品中の定番として多くのキャンパーに愛用されています。

「この作りこまれた完成度。まるで、履きつぶれたジーンズや履き慣れた靴のような魅力でしょうか」

と表現しくれたのは、コールマン ジャパン・マーケティング本部の竹島さん。

「洗練された強さと美しさをを兼ね備えているのでまず飽きが来ない。この良さはアメリカの代表的な伝統製品に共通していることですよね」

一般的に言われるアメリカントラディショナルの魅力は、欧州で完成された様式美に、フロンティアとしての開拓精神と実用性が加わったことによるまさに「質実剛健」を備えているからではないかと思います。

コールマン製品のどれもがその質実剛健さを備え、そのど真ん中にいるのが常に286Aランタンといえるでしょう。コールマンのカタログはいつもこの286Aがトップバッターの役目もこなしているのもそれを表しています。

筆者自身、オールドを含めてコールマンガソリンランタンを10台以上所持していますが、常にトランクに車載させているのは286A。いろいろなものを使えば使うほどやはり戻ってきてしまう286A。華美でもなければ素朴なわけでもない。

何とも言えないあの鉄の塊に触れる喜び。「ちょっと付き合ってくれればいい仕事をするよ」といわんばかりのポンピング。点き始めから終わりまで暗い夜の演出ではないかと思える「シューッ」というシングルマントルのBGM。

286Aがキャンプサイトにあるという安心感と安定感。

伝統的なスタイルをモダンに受け継ぎながら、過去のナレッジが合理的に集約され尽くされた「今を生きるランタン」です。

一方、ツーマントルの290A、チューブマントルのノーススターのポジションも同様にアメリカンなプロダクトと言えます。

「ランタンの合理性を求めたら、より明るいことになります。それに応えたのが290Aであり、さらに操作性も含めて追及した結果がノーススターということになります。」

創業者でもあるウィリアム・コフィン・コールマンが求めたものも“明るさ”。

明るくて、なおかつ使いあぐねるようなことがない実用性を兼ね備えていなければ、それはコールマンのランタンとは言えないでしょう。

ノーススターは286Aの200キャンドルパワーを大幅に上回る360キャンドルパワーという極限ともいえる明るさだけではなく、ワイヤークリップのマントル取り付けであったり、手間のかからないワンプッシュ点火を備え、今の時代だからこその実用性が高められています。

またプロダクトデザインが秀逸で、過去のどのコールマンランタンにも似ることがなく、それでいてラインアップに馴染まないかといえば全くそんなことはなく、どことなくクラシカルなスタイルとともに使い込んでみたくなる魅力に溢れています。

現在のコールマンランタン最大公約数、それが286A、290A、ノーススター、この3つのモデルであるわけです。

17年ぶりにメンテナンスガイドブックを刷新

2016年、コールマン ジャパンは17年ぶりとなるガソリン器具製品のメンテナンスガイドブックのリニューアルを行いました。

それまでのハンドブックと大きく異なるのは、単なるメンテナンスの方法を記したものではなく、詳細なビジュアルや情報を盛り込みつつ、主眼を積極的に「ガソリン器具の良さに触れてもらう」に置いたことです。

ユーザーはどうしても「修理」と「メンテナンス」をごちゃ混ぜにしてしまうことがあります。例えて言えば、自動車の「修理」と「車検や点検」。壊れてから直すではなく、壊れないように行うのがそもそもメンテナンス。

長く、そして安全に、さらに言えば、美しく使い続けることに必要な積極的なユーザーのアクションであり、もっと言ってしまえばユーザーが自ら「道具いじり」の楽しみを増やすために行うアクションが、メンテナンスなのです。

愛着のある道具を作っていくために重ねていくユーザー自身の「磨きこみ」。

これが今回のメンテナンスガイドブックに大きく反映されました。

製作にかかわったのが4部門。マーケティング、修理センター、商品開発、カスタマーセンター。ダイレクトコミュニケーションで培った知見、実際の製品の知見、製品へフィードバックした知見、カスタマーを傾聴し続けた知見、その17年分が集約されてこの1冊にアウトプットされています。

受け身のハンドブックから、積極的にガソリンランタンを使い込むためのハンドブックへ進化しました。

日本でも「歴史」が形成されている

竹島さんに今回の刷新に当たる背景を聴いてみました。

「17年前といえばちょうどオートキャンプブームの真っ最中でした。その時に購入されたランタンが今ちょうど親から子へ、また会社の先輩から後輩へなどさまざまな伝承がされていることを、ここ数年各所で強く実感する機会があったのです。ならば、この伝承を助けるためにも今こそハンドブックを改める必要があると考えました。

この時代が求めるものに。あの時はわからなかった20年後のマーケットが、今見えた感じです。コールマンのランタンはやはり使われ続けているのだと。引き継がれたものも、これから世に送り出すランタンも同様。さらに50年後も見えてきたような気がします。」

日本のオートキャンプの歴史はまだ浅い。その歴史は今、私たちユーザー、いやメーカーであれメディアであれ、みんなで作っている最中です。

コールマン ジャパンが設立され40年。90年代のオートキャンプブームから20年。今またキャンプ、アウトドアは再燃しています。

あなたのお父さん、会社の先輩はコールマンランタンを持っていませんか?それを引き継いでみませんか?

そうでなければ、今新しいコールマンランタンを手にして、20年、40年後に誰かにそれを引き渡してみませんか?

コールマンのガソリンランタンを手にする、それは歴史と伝承を手にした瞬間です。

文:SAM / 写真:橘毅写真事務所

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