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<徳島発>眠る人工林から生まれたカルチャーブランド「yusan」始動
11月29日にブランドオープン&マーケットイベント開催

人工林から新しい文化を生むカルチャーブランド「yusan」とは

徳島県牟岐町を拠点とする合同会社門口(代表:田中美有)は、使われなくなった人工林をフィールドに、人・文化・自然の関係性を再構築するカルチャーブランド**「yusan(ユサン)」**を、2025年11月29日に正式リリースすると発表したとのことだ。

「yusan」は、便利さに満ちた日常の裏側で眠ってしまった感覚を、山にふれる体験を通じて呼び覚ますことをテーマに掲げているという。日本各地で課題となっている山林の管理問題に対し、文化的なアプローチで価値変容を起こし、「負債となっている山を再び資産としてひらく」ことを目指す取り組みとされている。

ブランド名の由来となった「遊山」は、弁当箱代わりの「遊山箱」を持って節句に山に出かけるなど、かつて徳島に根付いていた風習に端を発しているとのことだ。


オープニングイベント「yusan open market 山と、遊ぶ?」概要

ブランド始動と同日の2025年11月29日には、「山と、遊ぶ?」をテーマにしたマーケットイベント**「yusan open market」**が開催される予定だという。

開催情報

  • 名称:yusan open market 山と、遊ぶ?
  • 日時:2025年11月29日(土) 11:00〜16:00
  • 場所:yusan shop(徳島県海部郡牟岐町内妻大畑31)
  • 参加方法:駐車場案内のため、参加フォームへの事前入力を推奨
  • 参加フォームhttps://forms.gle/wRFQ49JjMGPLvPkw7

当日は、徳島県内外から13の出店者が参加し、番茶の販売・飲み比べ、茶会、フードやクラフトの販売・体験などを予定しているとのことだ。イベントの詳細は、Instagramアカウント(@yusan_forest)にて随時案内されるとしている。


「遊山文化」というコンセプト:日常の行為を山にひらく

山と日常をつなぐ「遊山文化」

「yusan」が定義する**「遊山文化」**とは、山に足を運び、

  • 食べる
  • つくる
  • 読む

といった日常の行為を山の中で行いながら、感性や創造性をひらいていく生活文化のことだという。

かつて徳島には、節句ごとに「遊山箱」を持って野山に出かける風習があり、山は暮らしと文化の起点だったとされている。
「yusan」は、そうした時間の質や感覚のあり方を現代にひらき直し、**“山は文化の源である”**という視点から、山との関わりを再構築しようとしているとのことだ。

山林課題への文化的アプローチ

日本では、輸入木材の普及やエネルギー転換などを背景に、人工林が経済循環から外れ、管理されない土地として放置されるケースが増えていると指摘されている。

「yusan」は、

  • 山林保有者が抱える管理の課題に向き合うこと
  • 使われなくなった山林を文化と経済の両面から再生させること

を目的に、遊山文化を起点としたブランド活動を展開していくとしている。


事業内容:茶空間・プロダクト・出版と体験

1. 山の茶空間体験の提供

「yusan」では、月に一度、予約制で山の茶空間体験を実施しているとのことだ。

  • 山の中で茶を摘み、
  • その場で茶を煮出し、味わう

といったプロセスを通じて、香り・味・気配など、山の環境を全身で感じる場をつくることを目指すという。これを「現代の遊山文化」を体感できる具体的な実践のひとつに位置づけているとのことだ。

2. 山の素材を活かしたプロダクト開発・販売

ブランドの第二の軸として、山の素材を活用したプロダクト開発を進めているという。

  • 山の中や周辺に自生するチャノキ(在来茶)を使った番茶
  • 山の生活にまつわる椅子や照明などのプロダクト

などを展開していく予定とされる。

第一弾として、山のチャノキを手摘みし、地域に伝わる番茶の製法に、中国潮州の烏龍茶・鳳凰単叢の要素を組み合わせた**「yusan bancha 01」**を、11月29日より販売開始するとしている。

3. 出版活動と体験プログラム

「遊山文化」を広げるための出版・編集的な取り組みも進行中とのことだ。

  • 番茶を体系的にまとめた**「番茶本」**の刊行
  • 多様な人の「山の感覚」を一冊にまとめる編集プロジェクト(来春の茶販売に合わせ刊行予定)
  • 茶摘み・製茶・季節のクラフト体験
  • 小学校やイベントへの出張授業・出張体験

などを実施し、山での体験を日常に持ち帰るための「言葉」と「場」の両方を用意していくという。

これまでにも、牟岐小学校での番茶出張授業や、yellowpage主催イベントでの出張体験などを行い、地域と都市を横断した取り組みを重ねているとのことだ。


商品情報:山で生きるチャノキから生まれた「yusan bancha 01」

「yusan」が最初に送り出すプロダクトが、在来のチャノキを用いた番茶**「yusan bancha 01」**だという。

yusan bancha 01 概要

  • 名称:yusan bancha 01
  • 原料・特徴
    • 徳島県牟岐町の山の中や周辺に自生するチャノキを手摘み
    • 地域に伝わる釜炒り番茶の製法をベースに、
      • 萎凋
      • 炭火焙煎
        といった、中国・潮州の鳳凰単叢の製法要素を取り入れた独自のプロセスを採用
  • コンセプト
    • 一本一本の茶樹が持つ個性を生かし、
    • 山で生きるチャノキの気配や香りをそのまま抽出する番茶
    • 人と山との「応答」を通じてつくる、新しい番茶スタイルを目指しているとのことだ。
  • 価格:1セット 500円(税抜)
  • 販売開始日:2025年11月29日(土)
  • 販売場所
    • yusan open market
    • オンラインストア(数量限定)

イベント当日には、yusan bancha 01に加え、**3種の番茶と焼き菓子を組み合わせたアソートセット(1,500円/税抜)**も販売予定としている。


「yusan」3つの特徴

特徴1:山の価値を再定義する

かつて山は、

  • 薪や建材
  • 薬草
  • 水源
  • 信仰の対象

など、生活と文化のあらゆる起点であったとされている。

一方で戦後の高度経済成長期以降、効率性重視の社会構造のなかで山は分業的に「生産の場」として切り分けられ、輸入木材やエネルギー構造の変化に伴い、経済の回路から外れていったと指摘されている。

その結果、

  • 管理されない人工林
  • 人々の意識から遠のいた山

が各地で増えているという。

「yusan」は、こうした“社会の外側に押し出された山”を、文化や感性を生み出す源泉として捉え直し、山を再び暮らしの中に位置づける試みとされている。これは、単なる森林管理の問題を超え、「私たちの生活がどこに根ざしているのか」を問い直す営みでもあると位置づけているとのことだ。

特徴2:感覚を動かす素材としての山

牟岐町の人工林には、杉や檜だけでなく、在来のチャノキや多様な植物が入り混じって存在しているという。

「yusan」は、それらを**“感覚を動かす素材”**として扱う。

  • 山に入ると、木の香り、光のゆらぎ、足元の感触などが五感に働きかける
  • 山で摘んだ茶を煮出し、味わうことは、嗅覚・味覚・触覚を総動員する体験となる

こうした体験を通じて、都市生活や人工環境の中で鈍りがちな身体感覚を再起動することを重視しているとのことだ。

特徴3:“つくる”を通じた応答関係

かつて山との関係は、道具を編む、茶を淹れる、木を削るなど、「つくる行為」そのものの中にあったとされている。

現代では分業化が進み、日常の中で「自ら手を動かしてつくる機会」が減った一方で、手作業には本能的な充足感があり、自分と環境とのつながりを実感させる力があると指摘されている。

「yusan」は、

  • 茶会
  • 茶摘み・製茶体験
  • 季節のクラフト制作

などを通じて、山との関係を「つくる行為」から再構築し、人と山が応答し合う感覚を取り戻すことを目指しているとのことだ。


今後の展開:遊山文化を日常へひらく

「yusan」は、11月29日の正式リリースとオープンマーケットを起点に、以下の展開を予定しているという。

  • 番茶「yusan bancha」シリーズの展開
  • 出張企画やワークショップの開催
  • 山の素材を用いた椅子のプロトタイプ発表
  • 月1回の茶空間/shopのオープンデイ

次回のオープンデイは、**2026年1月10日(土)〜12日(月・祝)**の3日間を予定しているとのことだ。

これらの取り組みを通じて、「現代の遊山文化」を暮らしの中に浸透させ、人が再び山に足を運ぶ流れを育てることを目指している。最終的には、文化と経済の両輪で山が続いていく仕組みへとつなげていきたい考えだという。


代表コメント:次の世代のために、眠る山と向き合う

合同会社門口 代表の田中美有氏は、祖父が「次の世代のために」と植えた木々が、今も伐採されずに残り、経済的・環境的な負債となりつつある現状に向き合う必要性を語っているとのことだ。

幼少期の遊び場だった山に再び足を踏み入れたことで、

  • 感覚が冴えわたり、「満たされている」という感覚を得たこと
  • 「これを採って、こんなものを作ろう」といった創造的な気持ちが自然と湧き上がったこと

などの体験をきっかけに、「山にふれることで失われかけた感性・創造性を取り戻せるのではないか」という仮説を立てたという。

「yusan」は、その仮説を検証しながら、忘れられた山々に再び目を向け、人と自然の関係を編み直すプロジェクトとして進められているとのことだ。

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