カテゴリ: 体験レポート

わたしが上高地を初めて訪ねたのは1997年の夏。当時はまだ釜トンネルが一車線しかなく、往路と復路のシャトルバスが交互通行をしていた時代です。元々釜トンネルには傾斜がありましたが、当時は内壁から水が染み出していたため、冬は凍結して人の行く手を阻んでいました。それが上高地は厳冬の北アルプスに向かう屈強な男と、一部の写真愛好家たちの独壇場といわれてきた理由です。
しかし、2005年に釜トンネルが2車線化されると同時に水漏れは解消され、現在は比較的容易に真冬の上高地へ足を運べるようになりました。

ところで、上高地ってどんなところ?

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中部山岳国立公園内の標高約1500メートル地点にある上高地は、槍ヶ岳に源を発する梓(あずさ)川の河畔に広がる平坦地です。
北アルプスの登山基地であると同時に、日本を代表する山岳景勝地として、グリーンシーズンには国内外から約150万人もの観光客が訪れます。しかし11月15日の閉山祭が終わると、やがて雪に閉ざされ、本来の落ち着いた姿を取り戻します。

冬の上高地には、どうやって行くの?

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上高地は岐阜県と長野県の県境に近い場所にありますが、「中の湯」から始まる上高地公園線は通年のマイカー規制が行われており、開山期間中は岐阜県の「平湯温泉」と、長野県の「沢渡(さわんど)」から「上高地バスターミナル」行きのシャトルバスが運行されます。

しかし閉山とともにシャトルバスの運行は終了し、上高地公園線は翌年の開山日まで全線通行止めになります。そのため上高地に行くには、「中の湯」まで路線バスかタクシーを利用し、そこから先はひたすら歩くことになるわけです。

スノー・トレッキングのルートと所要時間は?

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「中の湯」から上高地の「河童橋」間を往復するのが、スノー・トレッキングの一般的なルートです。距離は往復で約15キロ。所要時間は現地での食事休憩を加味して、初心者なら6時間、山歩きに慣れた人なら5時間でも往復できると思います。

詳細コースガイド

※気象や積雪状況によって変わりますので、あくまでも「目安」と思ってください。

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1. 中の湯(釜トンネル中の湯口) ⇒ 釜トンネル(上高地口)


所用時間:約30分
出口までずっと緩やかな上り坂が続きますので、ゆっくりめにスタートして体を慣らしてやるのが秘訣です。路面は乾いているので普通に歩けますが、トンネル内は照明が消されているためライトが必要です。

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2. 釜トンネル(上高地口) ⇒ 大正池ホテル

所用時間:約60分
大正池が見えるまで緩やかな上り坂が続く舗装道路で、冬は工事車両用に除雪されており、アイスバーン化していることが多いようです。

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そのためトンネル出口で軽アイゼンか簡易滑り止めを装着します。状況にもよりますが、わたしがお勧めするのは軽アイゼンよりも写真のような簡易滑り止めです。これは降雪地域の日常生活に使われているものですが、この区間は1時間近く坂道を歩きますので、足への負担を軽減することも大切です。

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3. 大正池ホテル ⇒ 河童橋

所用時間:約90分

大正池からは自然探勝路に入り、いよいよスノー・トレッキングの始まりです。見どころは、大正池の立ち枯れ・田代池・梓川の河原・田代橋から見える穂高連峰などと多彩で、写真を撮りたい人は、折り返し地点になる河童橋への到着時間をあらかじめ決めておくことをお勧めします。

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なお、ここではスノーシューが役立ちます。スノーシューは新雪などで足が雪に埋もれる場合に有効ですが、足が疲れやすくなるデメリットもありますので、状況に応じて着脱してください。

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4. 河童橋周辺


食事休憩:30分

真正面に奥穂高岳が迫る上高地屈指のビュースポットが河童橋の周辺です。橋の傍には休憩用のテーブルが設置されているので、そこで食事休憩をとることができます。

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冬の上高地では全ての施設が冬季休業中ですので、飲食物は持参し、ゴミは持ち帰る必要があります。またここでは、100メートルほど離れた小梨平にあるきれいなトイレが利用できます。

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5. 河童橋 ⇒ 中の湯


所用時間:約150分

帰路は河童橋から大正池まで、自然探勝路ではなくバス通りを歩いて戻ると時間が短縮できます。面白いことに、この道のほうが人は通らないので、写真のようなアニマルトラッキングが楽しめます。これはたぶんウサギの痕跡でしょう。 
大正池からゴールの中の湯までは緩やかな下り坂が続くので、急げば2時間でも戻れますが、初心者は滑って怪我をする可能性がありますので、時間に余裕を持って行動しましょう。

上高地スノー・トレッキングの必需品は?

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写真のような晴れの日に当たれば、極端にいえば足元さえ固めておけば、ジーンズとダウンジャケットだけでも上高地は歩けるでしょう。しかし冬山で大事なことは、吹雪などの急激な天候の変化に対する備えです。その基本となるのは服装で、最初にお金をかけるべきはシューズを含めたウェア類だと思います。

足元

・トレッキングシューズ ・簡易滑り止め ・軽アイゼン ・スノーシュー 

服装

・スパッツ・発熱速乾アンダーウェア・フリースインナー・ダウンセーター・レインウェア・ネックウォーマー・キャップ・グローブ・サングラスまたはゴーグル

装備

・ストック・ヘッドライト・飲食物・カイロ・タオル・ポケットティッシュ・ゴミ袋
現地で暖かいものを食べたい人は、さらにコンパクトバーナー&コッヘルの持参がお勧めです。

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なお、上高地スノー・トレッキングで実際に役立ったグッズは、意外なことに本格的なキャンピングギアよりも、簡易滑り止めのように日常生活やちょっとした外出時に使うアイテムでした。写真は100円ショップでも手に入るウレタンの折り畳みシートですが、これがあるだけで雪の上や濡れた場所に座ったり、リュックを置くことができます。

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またこちらはヘッドライトではなく、首からぶら下げて歩くだけで足元が照らせるLEDのネックライトです。これなら普段でも夜に外出する際に使えそうですね。

スノーシューを持ってなくても行けますか?

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今は沢渡でも平湯温泉でも、民宿やペンションなどで上高地スノー・トレッキング、(あるいはスノー・ハイク)ツアーを行っています。それに参加すればスノーシューのレンタルと、中の湯までの送迎をしてもらえますので、初めての方にはお勧めです。わたしも最初は沢渡にあるペンションの宿泊ツアーに参加しました。

マイカーで行く時の、具体的なアクセス方法を教えてください。

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無料でクルマが停められる公認の駐車場は、平湯温泉の「平湯バスターミナル駐車場」か沢渡の松本市営沢渡第二駐車場で、そこから路線バスもしくはタクシーで「中の湯」を往復します。もちろんリーズナブルなのは路線バスの利用ですが、注意すべきはその「時刻表」です。

【平湯バスターミナルの「松本線」時刻表】 料金=片道560円
平湯バスターミナル ⇒ 中の湯
始発:8時45分 
中の湯 ⇒ 平湯バスターミナル
お勧めの便:15時20分もしくは14時20分



始発の8時45分に乗車すると、「中の湯」には9時頃に到着し、15時20分の便で帰る場合は現地滞在時間が6時間20分、ひとつ早い14時20分の便なら5時間20分になります。このパターンであれば、これまで説明してきた上高地スノー・トレッキングが可能です。

なお、「平湯バスターミナル」の次便は11時05分で、中の湯の最終便は18時20分です。数字の上では7時間20分ありますが、日没の早い1.2月は帰路で日が暮れると思いますので推奨しません。

※平湯温泉からのタクシーを利用について
現在は常駐するタクシーがいないため、1時間近く離れた神岡から配送する必要があり、かなりの費用がかかります。

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【沢渡の「松本線」時刻表】 料金=片道990円
沢渡 ⇒ 中の湯
始発:9時40分 ※次発は12時10分
中の湯 ⇒ 沢渡
お勧めの便:16時55分
現地滞在時間は6時間15分



※沢渡からのタクシーを利用について
平湯温泉と同じく冬季は常駐するタクシーがないようですが、こちらは近くの新島々駅から配送されますので、平湯温泉ほどの料金にはならないようです。
タクシーを利用する場合は、乗車時に帰りのピックアップの予約もしましょう。中の湯に戻る予定時刻を伝えておき、トレッキングの帰路で釜トンネルの上高地口に到着したら確認の電話を入れるのがセオリーです。


次回は「車中泊」による実践編のお話です。

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上高地レポート後編はこちら
この記事を書いた人

稲垣 朝則

既に日本列島を10往復以上、要した走行距離は40万キロを超える。現在はハイエースのキャンピングカーで年間100泊近い日々を過ごし、著書は既に10冊を超えている。HYAKKEIを通じて、自由奔放なキャンピングカーライフの楽しさをお届けします。

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車中泊&リアル・オートキャンプで日本を旅する”オートパッカー”

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