黒部源流の秘境に一番近い道、幻の伊藤新道 [後編]再開通への第一歩、そしてこれから
もくじ
湯俣の二つの山小屋
左岸の小屋・晴嵐荘
今回お世話になった晴嵐荘は、湯俣ならではの天然温泉が堪能できるアットホームで居心地の良い山小屋。
時間を気にせず入れる男女別の内湯は、山の中にいることを思わず忘れてしまいそうなほどゆったりと過ごせます。
温泉を楽しんだ後は、名物の「噴湯丘カレー」が登場。あの独特な形が見事に再現されています!
見た目のインパクトはもちろんのこと、ご主人の森本さんが何種類ものスパイスを調合して作るスパイスカレーは、専門店にも負けない本格的な味わい。
小屋の隣はキャンプ地になっているので、テント泊での利用も可能です。
昼間は野天風呂、夜は内湯と、温泉三昧の休日を湯俣で過ごすのも良いですね。
湯俣温泉 晴嵐荘:公式ウェブサイト
右岸の小屋・湯俣山荘
晴嵐荘の対岸には、廃業中の湯俣山荘の建物があります。
こちらは伊藤新道の再開通に合わせてリノベーションを行い、2022年の秋ごろに再開業予定とのこと。
築65年の歴史を感じるレトロな雰囲気を残しつつ、オシャレなゲストハウス風の山小屋に生まれ変わるそうです。
客室となる2階の窓は、山・川・緑の自然の風景を映す額縁のような絶景。
ゲストが気持ち良く過ごせるよう、定員をあまり増やさずゆったりと滞在できる空間にし、個室も完備する予定とのこと。
ドリンクメニューを充実させ、カフェやバーとしての利用もできるという、ここでもお酒好きに嬉しい情報。
さらに敷地内にはハンモックなどくつろげる場所を設置するとのことで、ここをベースに伊藤新道や温泉滞在を楽しむさまざまな遊び方が生まれそうです。
伊藤新道の再開通が、ますます楽しみですね!
麓のコミュニティスペース、三俣山荘図書室
実は山だけでなく、麓にも新しい楽しみ方が増えています。
黒部源流をはじめ北アルプスへの登山の拠点となる信濃大町に、人が集まってゆっくりする場所、地域のコミュニティスペースが完成しました。
大町の商店街の中に建つ、1軒のレトロな建物。
昔は呉服屋だったここが今「三俣山荘図書室」として新しく生まれ変わりました。
中にはたくさんの本とカフェスペースを併設し、伊藤新道に関するギャラリーやアウトドアギアやウェアの展示販売も行っています。
また広々とした空間や屋上を利用して、上映会やワークショップ、展示会などのイベントも行うとのこと。
こちらの建物には ”山と人と町、オフグリッドな生活” をテーマに、電気を引かずオフグリッド(=電気の自給自足)のソーラーシステムが構築されています。
ここの電力を全て賄う発電機。地球環境に優しい、持続可能なシステムです。
三俣山荘図書室には関連書籍も豊富に揃っているので、オフグリッド生活を始めてみたい方は参考にされてみてはいかがでしょうか。
三俣山荘図書室 (近日オープン)
住所 : 〒398-0002 長野県大町市下仲町2557 金萬ビル 3F
TEL : 0263-83-5735 (三俣山荘事務所)
さいごに
伊藤新道の復活にあたって、圭さんは登山だけではない ”北アルプスでの新しい遊び方” を考えていきたい、と話します。
高瀬ダムにレンタルのE-bikeを設置するなど、湯俣までのアプローチの改善方法を考えているとのこと。
アクセスが簡単になれば、デイキャンプや日帰り温泉ハイクなんていう楽しみ方もできそうですね。
また専属ガイドの組合を作って、この土地の自然を思う存分に体験したり、歴史を伝えるネイチャーガイドのような新しいツアーを行うそう。
これから湯俣は登山者だけでなく、キャンパーや家族連れなど、たくさんの人がアウトドアを楽しめる場所になりそうです。
人を惹きつける魅力がたっぷりの湯俣、そして冒険を楽しむ伊藤新道。
来年再開通の際には、ぜひ思い思いの楽しみ方を見つけにここを訪れてみてくださいね!
アウトドアショップに勤めながら、1歳の息子を背負って山に登る人。カメラと山道具が大好物で、ギア選びは常に遭難中。夫婦揃ってアウトドア好きのため、週末のたびに家を開けがち。産後にアルパインクライミングと沢登りを始めました。