街を元気にしたい。韮崎にアウトドアベースのゲストハウスがうまれた背景

韮崎駅前にある、韮崎中央商店街の一角。ここに、昨冬新たにスタートを切ったゲストハウスがあります。その名は『chAho(チャホ)』。

じつはこの場所、もとは築50年の老舗のお茶屋さん。4~5年ほど空き家だったそうですが、リノベーションによって新たな命が吹き込まれ、ゲストハウスへと生まれ変わりました。

でもなぜ、商店街の一角にゲストハウスが誕生したのでしょうか? そのバックボーンには、“街をよくしたい”という地元企業の想いと願いがありました。

「chAhoがある韮崎中央商店街には、『IROHA CRAFT』さんという一級建築事務所があるんですが、韮崎の街をよくしたいという想いで、『アメリカヤ』という複合施設や、呑み屋が立ち並ぶ『アメリカヤ横丁』を手掛けています。そうするなかで、“泊まれる場所をつくりたい”との相談を受け、それがきっかけでchAhoをオープンすることにしたんです」

そう話すのは、chAhoのオーナーである野田寛さん。すでに甲府市で『バッカス甲府』というゲストハウスを運営している野田さんは、この縁をきっかけに韮崎市でのゲストハウスづくりに動き出します。

「chAhoを立ち上げるにあたり、“アウトドアベース”をコンセプトにしようと思いました。僕が最初に手掛けたゲストハウスが甲府にあるんですが、甲府は北岳、甲斐駒ケ岳といった山の玄関口になっていて、とくに夏は登山のお客さまがたくさんお越しになります。韮崎周辺にも名だたる山があるので、アウトドアを楽しむ人たちのベースになるような場所にできたら、と思ったんです」

“韮崎”と聞いて、きっと山好きの人なら鳳凰三山や瑞牆山を思い浮かべるのではないでしょうか? 山梨県北部に位置する韮崎市は、周囲に南アルプスや奥秩父山域があり、ハイカーと山を繋ぐ“玄関口“でもあるのです。

しかし、「アウトドアベースにしたい」というコンセプトを掲げたものの、登山経験のない野田さん。そこで、韮崎市出身の世界的トレイルランナー、山本健一さん(通称ヤマケンさん)に協力を求め、“山ヤ目線”のアドバイスをもらいながらchAhoを完成させていったそう。

街を元気にしたい。韮崎にアウトドアベースのゲストハウスがうまれた背景|「老舗茶屋から“アウトドアベース”に。生まれ変わったゲストハウス『chAho』/山梨・韮崎市」の8枚目の画像

相部屋には、ベッド下に大型のバックパックを収納できるスペースを設け、さらにロッカー兼テーブルとしても使える深型の収納ボックスを設置。こちらは鍵がかけられるので、セキュリティー面も問題なし。荷物の多いハイカーやバックパッカーに考慮したつくりになっています。もちろんスーツケースも余裕で寝かせられるので、ビジネス利用としても◎。

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また、コンセントまわりにも野田さんのこだわりが。
「甲府のゲストハウスには海外からのお客さまも多く来てくださっていますが、変圧器がなくてスマホを充電できず困っているケースによく出くわしていたので、USBケーブルだけでも充電できるようにしました」

これは余計な荷物を減らしたいハイカーにとっても、嬉しい配慮ですよね。さらに、大判タオルも1枚無料で用意されているため、シャワーを浴びる際もノーストレス!

山へ行くときって、せいぜい手ぬぐいなどの薄いタオルしか持って行かないという方が多いと思うので(かくいう筆者もそのひとり)、これらの気遣いは高ポイント。些細なところにも「快適に過ごしてほしい」という想いを感じます。

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chAhoのプロデュースにヤマケンさんが携わっていることもあり、各部屋の名前は周囲の山々から拝借したそう。こういった側面からも、韮崎周辺の山を知るいい機会に。

この場所でchAhoをオープンするにあたって野田さんがこだわったのは、“アウトドアベース”という側面だけではありません。繰り返しになりますが、ここはもともと老舗のお茶屋さんが長い間商いをしてきた、築50年以上の歴史をもつ建物。すべてを一新するのではなく、古き良き面影を残しつつ、手を加えることにしたのだそう。こういったこだわりも、居心地がいい理由のひとつかもしれません。

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とくに、旅慣れしていない人にとっての“ゲストハウス”のイメージは安かろう悪かろうという印象や、衛生面やセキュリティーの面が心配……と感じることもあると思います。ですが、そこはご安心を。野田さんがこれまで培ってきたゲストハウスのノウハウをたんと詰め込み、限られたスペースのなかで利用者がストレスなく滞在できる空間になっていますよ!

山もあるし、観光地へのアクセスも◎。韮崎の楽しみかた

韮崎市からほど近い甲府市出身の野田さんは、「韮崎は登山や観光に適した場所」だといいます。

「隣接する北杜市には清里や小淵沢といった人気の観光地がありますし、周囲には鳳凰三山や茅ヶ岳への登山口もあります。これまで韮崎には宿がなかったので、観光や登山される方にとっては韮崎で宿泊するイメージはなかったと思いますが、今後はchAhoを拠点にしてもらえたら嬉しいです」

もちろん、清里や小淵沢にはたくさんの宿がありますが、価格高めのホテルや閑静なペンションが多く、ゲストハウスのようにリーズナブルでラフに泊まれる宿はあまりないのだそう。

「僕がおすすめする過ごし方は、たとえばchAhoのチェックインに合わせて16時くらいに韮崎へ来て、荷物を下ろしてから『アメリカヤ』を覗いたり、駅のまわりを散歩したり。その後は『アメリカヤ横丁』で食べて吞んで、chAhoに戻ってきてもう一杯吞んだり、泊まっている人たちと交流したりして寝る。宿泊施設って、チェックインしてからやれることが限られているじゃないですか。だから、周辺の環境を楽しんでもらいたいんです」

山もあるし、観光地へのアクセスも◎。韮崎の楽しみかた|「老舗茶屋から“アウトドアベース”に。生まれ変わったゲストハウス『chAho』/山梨・韮崎市」の4枚目の画像

さらに、「車があれば旭温泉でのんびりするのもいいし、30分ほどでサントリーの白州蒸留所やシャトレーゼの工場へも行けますよ」と野田さん。

もちろんアウトドアベースとして、登山一点集中でchAhoを利用するのもいいけれど、せっかく来たのなら、登山の前泊や後泊で周辺を楽しまないともったいないな、ここへ来てそんな気がしました。だって、楽しめる場所があるんですから。

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「僕が韮崎でもゲストハウスをやろうと決心したのは、目の前に横丁があって、そこで人との出会いが生まれるからです。たとえば、ひとりでここへ来て、コンビニ弁当で済ませてしまうのって楽しくないじゃないですか。でも横丁に行ってカウンターにいれば、お客さん同士で会話が生まれるだろうし、店員とも話が盛り上がって、それがいい思い出になるかもしれません」

chAhoで完結するのではなく、chAhoをベースに、周りの山や観光地、そして食事や人とのふれあいを楽しむ。それがいちゲストハウスオーナーとしての野田さんの願いなのです。

「知らない街で、知らない人と話して食事をして、あぁこういう街だったんだって知って帰ってもらうことが、旅の醍醐味でもあると思うんです。だから、chAhoでは食事提供をしていません。韮崎の街や商店街を楽しんで、思い出を作ってほしい。ここは食事のあとにくつろいでもらえれば、それでいい。そういう立ち位置の宿を今後も提供し続けていきたいと思っています」

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ちなみに、chAhoやアメリカヤ横丁がある韮崎中央商店街には、この春アウトドアウェアを扱う古着屋『バンブーコア』が新たにオープン。空き家を有効活用し、徐々にではありますが、アウトドア愛好家や若い世代の人たちが集う街へと発展を遂げているそうです。

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南アルプス、八ヶ岳、奥秩父山脈へもアクセスしやすい立地の韮崎は、山好き、アウトドア好きにとってのホットスポット。山の入り口として、新しい文化発信の地として、今後ますます盛り上がっていく予感……!

老舗茶屋から、アウトドアベースの宿に生まれ変わったchAho。登山の拠点に、旅の途中の休息の場に、ぜひ足を運んでほしい場所です。

山もあるし、観光地へのアクセスも◎。韮崎の楽しみかた|「老舗茶屋から“アウトドアベース”に。生まれ変わったゲストハウス『chAho』/山梨・韮崎市」の14枚目の画像
chAho Hostel Nirasaki / Outdoor Base
<Address> 〒407-0023 山梨県韮崎市中央町10-22
<Access>【電車】韮崎駅から徒歩約2分、【車】中央道韮崎ICから約5分
<Website> https://chaho.jp/
<Instagram> @chaho_nirasaki



(写真・Hao Moda

山畑 理絵

春夏秋冬、日本の美しい山を求めて歩きまわっています。

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この記事を書いた人

山畑 理絵

音楽プロダクションの制作、アウトドアショップの販売員を経てライターになる。のんびり日帰りハイクからガッツリテント泊縦走、トレイルランニング、ボルダリング、スキーと四季を通してフィールド三昧。アウトドア媒体をメインにライター活動をする傍ら、アロマテラピーインストラクターとして「山とアロマ」をテーマに、神出鬼没なワークショップを展開中。

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