海のプラスチックごみからできたトレランシューズ adidas × PARLEY | ローインパクトなお買い物 #3
道具選びからサステナブルな外遊びの在り方を探る〈ローインパクトなお買い物〉。3回目は海に不当投棄された漁網や、私たちの生活から川を経て、海に漂うプラスチックごみから作られたトレイルランニングシューズをご紹介します。
走れば走るほど海をきれいにできるなんて、最高じゃない?
前回、海を汚すマイクロ・プラスチックの排出を抑えられる洗濯ネットを紹介しましたが、今回もその続きで海のお話です。
世界的に問題になっている海洋プラスチック汚染。最近の研究では東京湾の魚の体内からもマイクロ・プラスチックが検出され、もしかしたら私たちの食卓にもプラスチックを含んだ魚が上っているのではという懸念も出てきています(本当にもう人ごとじゃない!)
レジ袋やペットボトルなど、日々の暮らしの中で使う量を減らしている人も多いかもしれませんが、ほかにもっと何かできることはないかしら? そんな時に見つけたのが〈adidas〉のトレランシューズ。
じつはこれ、海洋破壊の防止に取り組む環境保護団体〈Parley for the Oceans〉と協力して作られたモデル。不法投棄された漁網や海に漂うプラスチックごみを回収し、そこから作った糸や繊維がアッパーなど一部の素材として使われているのだとか。なんというテクノロジー!
人間の活動によって海に蓄積しているプラスチックごみ。そのままにしておけば自然を破壊するものを、知恵と技術で「自然を楽しむもの」に生まれ変わらせる。自然とともにあるスポーツメーカーならではのアイデアだなあと思います。
消耗の激しいトレランシューズは買い換える頻度も高め。でも走れば走るほど、履きつぶすほどに海のごみが減らせると思えば、こんなに気持ちのいいことはありません。今回は実際にアイテムを試着しつつ、みんなで意見交換したいと思います!
山口岳
.HYAKKEI編集長。日本山岳ガイド協会登山ガイドステージⅡ。アルパイン、フリー、沢登りと元はドMな山屋。今はマイルドに人と自然を繋ぐのが生きがい。
小林百合子
フリー編集者。山岳専門雑誌や自然科学図書の編集を多く手がける。アラスカの大学に留学していたこともあり、アメリカのロングトレイルを歩くのが好き。
相馬ミナ
フリーカメラマン。旅関係の雑誌や書籍が主戦場。昨年、ネパールのエベレストトレイルを歩いてから山の虜に。これから日本の山にも登りたいと思っている。
まさか海洋プラスチックからトレランシューズができるとは……。
このParleyシリーズはトレランシューズ以外にもトレッキングシューズやタウンユースのスニーカー、ウェアなんかも作ってるよね。
海に捨てられたプラスチックでできたシューズで山を走るって、なんかいいね。でもどうやってアップサイクルしてるんだろう?
adidasさんによると、環境保護団体が回収した世界中のプラスチックごみを集めて、洗浄やラベル剥がしを行い、そこから人力で選別と異物の除去をしているそう。そこから加工工場でプラスチック片にして、樹脂ペレットに。さらにそれを溶かして高性能のポリエステル織糸にするんだって。
気の遠くなる作業や〜!(涙)
adidasはいち早く店舗でのプラスチックバッグの使用をやめたり、オフィスでもペットボトルとか、プラスチック製品の使用を禁止しているそうですよ。まずは自分たちから変革を起こすっていう姿勢が素晴らしいなあ。
しかもプラスチックごみを回収するところからだから、本当に大変だよね。石油由来の原料を使えばもっと安く、早く作れるだろうに……。私たちも「自然が好き、大事!」とか言ってるけど、そんなの口先ばっかりだなあって思っちゃうよ。
たしかにトレランシューズで2万円超って、まあまあお値段張るけど、その製造過程を知ったら全然高くない、むしろ安い!って思えるよね。
僕たちは直接海のごみを回収できる機会なんてそうそうないし、できることといったらこういう商品とか活動を支持して「選ぶ」ってことなんだよね。しかも自分が一番好きなアウトドアのジャンルでサポートできるなんて、願ったりかなったりじゃない。
トレランシューズって消耗が激しくて買い換える頻度も高いけど、これなら罪悪感なく買えそうでいいなあ。
買うほどに海のごみを減らせるなら、どんどん走りたくなるかも?(笑)
今回手元にあるのがメンズなので、山口さん試着してみてください。トレラン好きでしょう?
わわわ、ちょっとびっくりするくらい軽いね! 廃プラスチックからリサイクルした糸が使われているアッパー部分は生地が柔らかくて伸びもすごくいい。今使っているトレランシューズに比べて格段に履きごこちがいいです。
え、気になる〜。私、足のサイズでかいからちょっと履いてみるわ!
相馬さんもランニング趣味ですもんね。
ほんまや! 全体的に柔軟性があるというか、優しく包み込まれるような気持ち良さがあるね。私はトレランしたことないけど、あんなゴツゴツした山道走るのに、こんなマシュマロタッチなシューズで大丈夫!?って思うほど(笑)。
足の指が動くからガチッと固定されたシューズで走ってる人は最初はちょっと不安かもしれないけど、走っているうちに足の感覚が研ぎすまれてきそうだから慣れれば快適だと思うな。
私はトレランもジョギングもしないけど、タウンユースとしてもかっこいいデザインだなと思う。普通のスニーカーよりフィット感があるし、長い距離を歩いても疲れなさそう。
あと、アッパー部分がニットになってて、通気性がすごくいい! 私、汗っかきで走ってると足もベトベトになるから、これはいいわ〜。
このニット部分にランダムに白のドットみたいなのが入ってるけど、これもいいよね。
星屑みたいな感じでかわいい! トレランシューズって、蛍光色とかビビッドかつテクニカルな感じのデザインが多いじゃない? 女子的にはなかなか履きたいデザインのものがないのも悩みだから、これはほんとありがたい。
オールブラックっていうのが渋いよな。しかもレディスもシンプルなカラー展開で最高やん!
オールブラックのシューズの中で、ワンポイントになってるのがかかと部分にある「PARLEY」のロゴタグ。これさりげないけどかっこいいね!
すごく目立ってる。一緒に走ってる人から「あれ、これどこのシューズ?」って聞かれることもあるだろうから、そのときにこのシューズの持つストーリーを話すのが楽しみだなあ。
たしかに、みんなびっくりするんちゃう!?
そうやってブランドの取り組みを広めていく手助けができたら最高だよね。
adidas × Parley はウェアもあるから、どうせならトレラン用のアイテム一式揃えたくなっちゃうなあ。
どんだけ語りたいねん!(笑)
いやさ、アウトドアやってる人は少なからず環境問題には興味があると思うんだけど、みんながみんなこういう情報にアクセスできるとは限らないじゃない。だったら自分が履いたり着たりして発信していけたらいいなと。
たしかに、「ちょっとキミ、ペットボトルを使うのはよくないよ!」とか言われるとちょっとアレだけど、「じつはこれ、海のごみからできてるんだよ」って言われると「なになに!?」ってなるもんね。
アウトドアやってると、人が着てるものとか使ってるギアとはすごく気になるもんね。いいものをシェアしていけるカルチャーが根付いてるのはすごくいいことだし、どんどん広めていきたいと私も思う。
草の根運動的に、プロダクトを通して環境問題の解決に参加できる。ほんと理想的な仕組みだし、素敵なアイデア。こういう輪をどんどん広げていく一助になれたら最高だなあ。とりあえず、parleyモデルを履いて走りますか!
22,000円(税込)
問い合わせ先:アディダス https://faq.adidas-group.jp/
(写真:相馬ミナ)
編集者。登山出版ユニット「ホシガラス山岳会」主宰。
編集者。山岳専門出版社に勤務後、独立。登山や旅、野生動物にまつわる雑誌や書籍を多く手がける。女性クリエーター8人からなる登山出版ユニット「ホシガラス山岳会」主宰。著書に『山と山小屋』(平凡社)、『山小屋の灯』『いきもの動物相談室』(ともに山と溪谷社)など。