カテゴリ: 体験レポート

アウトドアが好きな人は、山派と海派に分かれがちですよね。私はもちろん山派なのですが、ある夏の暮れにとある山を縦走していたとき、どこまでも続く山肌と森を見てふとこう思ったのです…


「海が見たい!!」


そう、山を登りながら、海も見たい。(そして海鮮も…じゅる)。そんな欲望を叶えるため、日本最北の百名山でもある「利尻山(りしりさん)」へ。北海道を北へ北へと車を飛ばし、稚内からフェリーに乗り、利尻島へ向かいました。

「利尻(りしり)」の語源は?

北海道の地名の多くは、いにしえのアイヌ語を語源とするものが今も数多く残っています。例えば「旭川」はアイヌ語で「チュウプッツ」と言い、意味は「朝日の出る東の川」。なるほど、アイヌの人々の暮らしが川や海などの水辺とともにあった様子が伺えますね。

「利尻(りしり)」の語源は?|「海を見ながら、アイランド・トレッキング!ウニがおいしい利尻島へ」の2枚目の画像

さて、今回訪れる利尻はアイヌ語で「リイ・シリ」、意味は「高い山」。「日本百名山」著者・深田久弥が「利尻島は利尻山だった」と表した通り、島が山そのもの。海に“浮かぶ”というよりは、海面から勢いよく突き出した山、と言ったほうがしっくりきそうですね。ちなみに利尻山は「白い恋人」のパッケージにもなっています。

「利尻(りしり)」の語源は?|「海を見ながら、アイランド・トレッキング!ウニがおいしい利尻島へ」の4枚目の画像

利尻で有名なグルメと言えば、夏はエゾバフンウニ、秋口はキタムラサキウニ♪
良質な利尻昆布をたっぷり食べて育ったウニの、ふっくらした肉厚がたまりません。

鷲泊コースから出発!

島の民宿に泊まり、翌朝4時半。民宿のご主人が登山口まで送迎してくれる車に乗ると、私以外に3~40代の女性が計3人。なんと、それぞれ単独行の女性ばかり!
ご主人のお話では、「ここ2年くらいかねえ。30~40代のベテラン風の女の人が、一人でくるようになったねえ」とのこと。

一般客が最も多いとされる、鴛泊(わしどまり)コースへ。利尻北麓野営場(3合目)にて登山届けを提出し、朝霧が今にも雨をつれてきそうな薄暗い森のなかを進みます。

鷲泊コースから出発!|「海を見ながら、アイランド・トレッキング!ウニがおいしい利尻島へ」の2枚目の画像

利尻山の標高は1,721mですが、緯度が高いため、本州の3,000m級の山々(北アルプスの槍ヶ岳=3,180 m)と同程度の植生で、約650種が生息しています。利尻島にのみ自生している花々もあり、いずれも7~8月が見頃。

日本最北にある“名水百選”

日本最北にある“名水百選”|「海を見ながら、アイランド・トレッキング!ウニがおいしい利尻島へ」の1枚目の画像

10分も歩くと、名水百選にも選ばれた「甘露泉水(かんろせんすい)」の湧き水スポットへ到着。登山客の列に並び、水を確保します。文字通り口当たりまろやかで、「あま~い!」と口にした人たちから次々に感嘆の声が。ちなみに、これから先は水場がないので要注意です。

雲の切れ間からのぞく海

森を抜けるまでの間、木々の切れ間から時折海が見えます。はじめは青が空の色に見えたり、雲で隠れたり…じれったい。
第1見晴らし台まで着くと…。

雲の切れ間からのぞく海|「海を見ながら、アイランド・トレッキング!ウニがおいしい利尻島へ」の2枚目の画像

海と雲の間から、礼文島が顔をのぞかせています。視界を覆っていた緑が抜け、眼下に広がる森と海。北の海はなんとなく黒いイメージがあったけれど、なんともおだやか。朝の透明な空と、浮かぶ雲がそのまま写った色ですね。

海を背に歩き出します。でも、ついつい晴れ間が気になって振り返ってしまう。第2見晴らし台までさしかかり、ふと振り返ったその瞬間…

雲の切れ間からのぞく海|「海を見ながら、アイランド・トレッキング!ウニがおいしい利尻島へ」の4枚目の画像

「に、虹が生えてる!」

雲間から海面を射すように光が注ぎ、色濃い虹が空へ向かって伸びていました。登山中に虹を見ると、なんだか祝福されているような気になりますよね。うれしいなあ。

むき出しの赤土を踏んで

むき出しの赤土を踏んで|「海を見ながら、アイランド・トレッキング!ウニがおいしい利尻島へ」の1枚目の画像

ハイマツ帯に入ったとたん、ガサガサっと音が。地面の間をチクタク這うように、コマドリが歩いていきます。ぷっくりお腹を抱えてどこにいくの?

むき出しの赤土を踏んで|「海を見ながら、アイランド・トレッキング!ウニがおいしい利尻島へ」の3枚目の画像

9号目から先は火山性の赤土がむき出しに。触れたら火傷しそうな色ですね。石ころが多く、ここにきて足を滑らせる登山客が続出。登山道の一部は、かつての崩落を経て整備されていました。ここは慎重に行きましょう。

むき出しの赤土を踏んで|「海を見ながら、アイランド・トレッキング!ウニがおいしい利尻島へ」の5枚目の画像

森から上がってくるガスに追いつかれ、追い抜かれ…。標高が上がるほど雲に天を覆われつつも、太陽が顔を出します。「来い」、と言わんばかりに。なんで登山のときに見る太陽って、ドラマチックなのでしょうか。

濃厚なガスが巻く山頂

濃厚なガスが巻く山頂|「海を見ながら、アイランド・トレッキング!ウニがおいしい利尻島へ」の1枚目の画像

晴れていたら、パノラマ絶景でサハリンまで見えたはずなのに…! 山頂は生憎のガス。とにかく到着のご挨拶をと、頂上に鎮座する「利尻富士山奥宮」にて柏手を打ちます。

濃厚なガスが巻く山頂|「海を見ながら、アイランド・トレッキング!ウニがおいしい利尻島へ」の3枚目の画像

島の神様だけあって、船体の部品も一緒に祀られていますね。

濃厚なガスが巻く山頂|「海を見ながら、アイランド・トレッキング!ウニがおいしい利尻島へ」の5枚目の画像

ガスの向こうにかすむ、ローソク岩。

「ここまできたのだから、海を見ないわけにはいかない…!」と、多くの登山客が晴れ間を狙い、なかなか下山しようとしません。雲間から太陽が顔をのぞかせるたび、「おおっ」とどよめきます。神の啓示を待つ太古の人々ってこんな感じだったのでしょうか。彼らを尻目に、サクサク下山開始。

海を正面に見下ろしながら下山♪

海を正面に見下ろしながら下山♪|「海を見ながら、アイランド・トレッキング!ウニがおいしい利尻島へ」の1枚目の画像

標高が下がるにつれて、朝方は雲の多かった海も、すっかりこの通り晴れ渡っています。下山は海を正面に見ながら降りてこられるなんて贅沢!このまま飛んでいけそうだなあ…なんて。

海を正面に見下ろしながら下山♪|「海を見ながら、アイランド・トレッキング!ウニがおいしい利尻島へ」の3枚目の画像

早朝とはうってかわり、午後の森。奥深くまで木漏れ日に照らされ、まだ葉に残るしずくをキラキラ輝かせていました。足取りが軽くなりますね。頭のなかは、もう下山後の温泉のことでいっぱいです…!

利尻山登山ポイント

利尻山には3大登山ルールがあります。厳守ですよ!

・ トレッキングポールはキャップを付けて使用する
・ 携帯トイレを使用する(ブース有)。
・ 植物の上に座らない、踏み込まない。

島登山の多くは、前泊が基本。島内の民宿や、登山口にあるキャンプ場などで一夜を明かすのがほとんどです。登山客を登山口まで送迎してくれる宿も多いので、事前に確認しておきましょう。

島へのアクセス情報

船=稚内港から鷲泊港までハートランドフェリーで1時間50分
飛行機=札幌丘珠空港から利尻空港までHAC(北海道エアシステム)で50分

この記事を書いた人

弥山 ひかり

ライター。アウトドア誌、評論誌等で執筆。北アルプスの山小屋に勤務、のち3ヶ月かけて屋久島中のトレイルを練り歩く。最近は島登山にハマっています。

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弥山 ひかり

麓の神社で参拝してから、山頂を目指すのが好きです☆

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