• 体験レポート
  • 登山好きが贈る、登山の体験レポートです。日本、そして世界の山々にはたくさんの魅力にあふれています。春夏秋冬、その時々で異なる顔を見せてくれる素敵な山がたくさんあります。まさに百景。.HYAKKEIでは、そんな山に実際に登り、五感で楽しんだ自然体験記をお届けします。きっと山に登りたくなりますよ!

【総延長1697.2km】東海自然歩道を踏破せよ!|#16 西里〜竜爪山〜牛妻編

.HYAKKEIをご覧のみなさま、こんにちは。ライターの田中嘉人です。

そして……

弟の彰人(あきと)です。

突然の乱入、失礼いたします。前回は山梨県の南部町から静岡県の西里までを母と共にクリアするコースでしたが、そのときの記事を読んだ弟が「ぜひ俺も歩きたい」と……。

そこで今回は、続編である西里から竜爪山(りゅうそうざん)を越え、安倍川の牛妻(うしづま)までのコースを弟と共に歩いてみたいと思います。

弟は僕と違って体もシャープですが実際に歩いてみたら「想像以上にしんどい」と思うかもしれません。そして、「こんなキツイコースを歩いている兄貴はすごい」という尊敬の気持ちも芽生えるかも……?そんな淡い期待を抱きながら、初の兄弟ハイクがスタートしました。

<今回のコース>
西里→穂積神社→薬師岳・文殊岳→牛妻

穂積神社を目指して

というわけで、前回の離脱地点でもある西里のやませみの湯に集合。幸いなことに天気はよさそうです。

川沿いの道をひたすらに山の方へ。春の日差しのなかをズンズンと進んでいきます。

さっそくおなじみの看板が見えました。4.3km先にあるという穂積神社(ほづみじんじゃ)を目指します。

川の向こうにはのどかな風景と山桜が。

道路沿いには小さな商店がありました。自販機もあるのでここで飲み物を購入することもできますね。

見上げれば五分咲きの桜が。この時期は暑くもなく寒くもなくで本当にありがたい。

あいにく営業時間前でしたが、森のジェラート屋さんが。なんか良さげ。

穂積神社までは約7.1kmで、所要時間は2時間30分。しかもよくよく見ると……

東海自然歩道通行止めの注意書きが。「やませみの湯まで」の区間ではないものの(やませみの湯は先ほど出発した地点)、この先にどうも迂回が発生する様子。「まじか……」と驚く弟に「まぁこんなもんですよ」と余裕を見せる兄。

さらに進むとそばなどがいただける食堂や、

キャンプ場などを通過。じつは僕はここの「黒川キャンプ場」のヘビーユーザー。事前に予約すれば無料で利用でき、かつ温泉(やませみの湯)も近いという知られざる優良キャンプ場です。

この日もたくさんの方が利用していました。キャンプしたいなぁ。

さようならキャンプ場。キャンプ場を超えると、一気に人の気配がなくなります。

足元にはツクシが。「山のなかのほうが四季の移ろいを感じやすいのかもなぁ」と弟。……兄が言いたかったセリフ!

ここからはひたすらにアスファルトの舗装路を進んでいきます。

途中で看板を発見。静岡県はこの案内看板が綺麗でみやすいのがありがたい。

途中厨二心をくすぐるような橋を越え……

ひたすらに舗装された林道を進んでいきます。

眼下には川(黒川)が流れていますが……

基本的にはどうってことのないコースが続いています。

カーブのところに看板があって、

まっすぐ進む。「東海自然歩道はこういう道が多いのよ」と先輩風(兄貴風)を吹かせながら。

ひたすらに続く舗装路に……

若干うんざりした様子を見せる弟。この程度でバテるなんてまだまだだな。

それでも容赦なくひたすらに続く舗装路。

僕も「さすがにちょっとおかしいぞ」と思い始めたそのときでした。

「あ!なんだあれ!」と弟。看板らしきものが見えてきました。

そこには今回のコースについてわかりやすくまとまった看板が。なんと先ほど通行止めという注意書きがあったコースですが、見てみるとすでに復旧している様子。これはいい!

当初の予定どおり、ここから山道に突入します!

「急に本格的な山道に入るんだね」と弟。「ったく、こっちの都合なんておかまいなしだからな」と兄。

橋を越え、

沢を越え進んでいきます。足場もふかふかで柔らかいし、山歩きのコースとしても歩きやすくて最高!

なんとここが清水東高校の学校林だそう。行きたかったけど行けなかった高校(偏差値)。

その後も山道を進んでいたのですが、

少し様子がおかしくなってきました。

弟のペースに、

全然追いつけない……!!

ちょ、ちょっと待って……!

「え?もうしんどいの?」と弟。「い、いや……この間まで風邪をひいていて病み上がりなので、もう少しローペースで……」と僕。息が切れてる。

少しペースを落としてもらって歩いていくと、眼下に崩落した歩道が。どうやらここが通行止めになっていたみたい。

今はすっかり綺麗な歩道ができています。

崩落した歩道の先には迫力のある滝がありました。

さらに進んで黒川の支流らしき沢を越えていきます。

再び滝らしきものを発見。なんとなく見とれていたら……

「あっ!!!」
兄などおかまいなしでどんどん先をいく弟。

さらには「穂積神社まで1kmだよ。ここで写真撮って」と言ってくる始末。どこで撮影するかは兄が決めるから!撮るけど!!

だんだんと道が尾根伝いになっていく。「落ちたら危ないね」と弟。「……た、丹沢のコースの方が危なかったけどな」と息ぎれしながら無駄に抵抗する兄。

それにしても、

弟にどんどん置いていかれる……!会社を辞めた兄がキリギリスで、会社でコツコツとがんばっている弟はアリなのかも……!

兄のあまりの遅さにしびれを切らした弟が看板のところで待っていました。「大丈夫?(笑)」と言われました。笑うな!

そうこうしていたらようやく舗装路に。舗装路を少しだけ下ったら、穂積神社までもうすぐです。

余裕の弟と、限界目前の兄。

「よっしゃ行くか!」と軽く階段を登っていく弟。だから、待ってくれよ……!

山側に目をやるとなにやら小屋が。あれが穂積神社では……?

そうこうしていたら弟はだいぶ先に。ま、まってくれ〜!

そして、息絶え絶えでようやく穂積神社に。どうやらここまで車でアクセスできるみたい。

思った以上に綺麗な神社でびっくり。

綺麗なトイレに自販機もあります。

飲み物の値段もそんなに高くない。

せっかくなので、こちらで旅の安全を祈願します。

プロ野球キャンプの必勝祈願かな?

そして、15分ほど休憩して、次のコースに備えます。

薬師岳・文殊岳を目指して

続いて目指すのは、竜爪山。薬師岳と文殊岳を総称してそう呼ぶそうです。地元なのであまり感じたことがなかったのですが、普通に聞いたらかっこいい山名ですね。薬師岳・文殊岳に向かうコースは、穂積神社本殿の右側から出ています。

樹齢500年の夫婦杉を越えると……

いきなり分岐点が。

薬師岳・文殊岳へは左側のルートが正解です。

竜爪山の由来が記された看板が。でもよくわからなかったな……。

休憩したことで復活した弟がズンズン進んでいきます。そんな僕らの前に現れたのが……

ゴールの見えない鉄製階段……!

コースは間違いないみたいだけど……

「行くしかないっしょ」と軽やかに登り出す弟。まじかよ。

「そ、そんな急ぐなよ」と必死に追いかける兄。助けて。

階段を乗り越えるために引き離される。

こんなところ登ってきたなんて信じられない。

すると右手に久々の富士山が。あの山の向こうにいたときもあったんだよなぁ。

しかし、現実はこれ。ほぼ壁でしょ。

「大丈夫〜??」と弟。全然大丈夫じゃない。

とはいえ、進むしかないので必死に登って(おいかけて)いきます。

すると、標高1000mの看板が。いや〜しんどいわけだ。

そうこうしていたら薬師岳北展望地に到着。ようやく過酷な上り坂は終わり……か……?

展望地と呼ばれるだけあって、富士山がよく見える!

薬師岳の山頂までは、0.1kmだそうです。

というわけで、あっという間に到着。ここは全然見晴らしも良くないので、ぜひ先ほどの展望地で景色を拝んでおいてくださいね。

念のための記念写真。ちょっと兄やせた?そして休憩ポイントの文殊岳ももうすぐ!!

尾根伝いの道を越え、

ちょっとした難所を乗り越えると……

目の前には絶景が!!

眼下に広がるはふるさと清水の街並み、三保半島、駿河湾、そして伊豆半島!こんな景色のいい場所があるなんて知らなかった!!

そして振り返ればもちろん富士山も!この度で富士山が見えるのも今回が最後かもなぁ

というわけで、兄弟でパシャリ。ここでお昼休憩です。

牛妻を目指して

お昼休憩を経てあとは今日の目的地である牛妻(うしづま)へ向かうだけ。牛妻は、安倍川もちでおなじみ安倍川の河沿いにある小さな町です。あとは下るだけ、なのですが……

お昼休憩したおかげで弟がめちゃ元気になってる……!!「早く行こうよ」とやる気十分。うじうじしていたらマジで置いていかれそうなので、向かうことにします。

ここからは基本的に下りが続きます。

足腰が丈夫なのか、軽快に下っていく弟。一方兄はトレッキングポールに頼りながらフラフラと下っていきます。

「看板あったよ。写真撮るでしょ」と弟。撮るけど!撮るけどさぁ!!

杉林を越えたら今度は笹の道。僕はロープを使いながら下りましたが、弟は「大丈夫」とロープに触れることなく下っていきました。

牛妻までは約5km、所要時間は130分。

ススキの向こうに安倍川が見えます。

「お、見えてるってことはすぐじゃない?」と再びスピードアップする弟。どこにそんな元気が……!

牛妻までは4.8km。所要時間は125分。

そしてさらに下って……

牛妻まで約4.5km。所要時間は130分。あれ?さっき125分だったのに……!距離は減っているのに所要時間は伸びるという不思議な現象。

看板の文句を言っていたら、なんと上り坂に。下り坂だけではなかった〜!!

そう、牛妻へ抜けるには若山という小さな山を越えなければならなかったのです。

しばらくしたら若山に到着。いきなり上り坂が現れてびっくりしたけど、まぁなんとかなった。

あとは、本当に下るだけ。

川面も近づいてきた、ような気がする。

気がつけば、牛妻までは約3.7km。70分。

見晴らしのいい道をどんどん進みます。

さらに下ると、少しだけ開けました。このあたりは木材の伐採地かな?

木が倒れまくっていてコースがわかりにくいけど、矢印に沿って歩いていきます。

結構倒れている。

かる〜く乗り越えていく弟。

傾斜が急な箇所にはロープが用意されていますが、ゆるゆるになっていてあんまり頼りにならないです……。

そんなこんないくつかの難所をくぐり抜け……

ようやく伐採地エリアを突破しました。

牛妻へは「車道を渡る」と書いてありますね。

車道を渡った先に、またしても看板が。ここを下るということですね。

そしてまたしても杉林のなかに。花粉症上等だ!

降り続けていると、道路脇に生える植物の種類も変わってきたような。

いつのまにかシダ植物がびっしり。

わらびみたいな草も生えていました。

シダエリアを越えて、うっそうとした茂みを歩くと……?

あ!!!

ここで山道コースは終了。ここからは舗装路を通って、牛妻まで向かいます。

それにしてもなんて「THE静岡」な風景なんだ……!!

「のんびりしてやがるぜ」と悪態をつく弟。

茶畑のなかをひたすらに下っていきます。

茶畑のなかにも看板が設置。看板設置のレベルだけはめちゃめちゃ高い静岡。

茶畑コーナーを抜けてさらに下ると……

さらに看板が。

安倍川はもうすぐだ!!

最後のコーナーを曲がったら……

今日の目的地・牛妻にある静岡市賎機(しずはた)都市山村交流センター「安部ごころ」に到着〜!!やった〜!!!

というわけで好天にも恵まれ、無事到着することができました。運動不足で足の遅い兄をリードしてくれた弟には感謝しかありません。

弟は「軽い気持ちで『俺も登りたい』と言ったけど、正直想像以上に大変だった。地元・静岡の山だから余裕だと思ってたけど、険しい箇所がいくつもあって……でも、無事に目的地に到達したときは大きな達成感があったので、またやってみてもいいかなぁ。いずれにしても兄ちゃんは運動をして、体を絞ったほうがいいね(笑)」とのこと……余計なお世話……!まぁ、話し相手がいると兄ちゃんも楽しいので、またいつか登場してもらおうと思います。ありがとうな!!

今回も最後まで読んでくださりありがとうございました!次回はまだまだ静岡市です。それにしても静岡県は横に長いな〜!!

<今回のコース>

関連記事一覧