ゆたかな暮らしを求め南ヤツに行き着いた。/自然体験仕掛け人 林誠二さん
あなたにとって「ゆたかさ」とは何ですか?
誰もがあこがれるゆたかな生活。
東京で20数年、猛烈に働いていた林さん。
日々の暮らしが「ゆたか」であることを求めて、南ヤツに移住しました。
林さんは「ゆたかさ」をどう捉え、どんなプロセスで「ゆたかな暮らし」にたどりついたのか。読者のみなさんと自分なりの「ゆたかさ」を考えるヒントを探りたいと思います。
胃腸薬と頭痛薬常備のサラリーマン生活
東京でエンターテイメント系企業の版権ビジネスプロデューサーとして20年あまり活躍していた林さん。キャラクターグッズを作ったり、キャラクターを冠したマウンテンバイクの女子ダウンヒルチームを作ったり、長年培ったマーケティングとプロデューススキルを活かし、自らビジネスを生み出していました。そんな林さんは、東京でどんな暮らしをしていたのでしょうか。
林さんの東京時代の持ち物①アタッシュケース②長財布③胃痛薬・頭痛薬④スタバとおしゃれスーパーのポイントカード⑤現実逃避用南国本⑥ペンライト⑦裸足で履いて南仏気分の出る靴
「東京では相当忙しかったです。仕事はストレス溜めてでもきっちりやって、オフの時に発散する生活を20数年やっていました。頭痛薬と胃腸薬は常に鞄の中。でもふとある時、それがおかしいと、オフだけじゃなくオンの生活も楽しまないと良くないじゃないかと、子どもが生まれたことも重なって、日々の暮らしを変えたいと思ったんです。そして、自分の会社を始めました。会社のスローガンも『日々のくらしをゆたかに』にしました。」
――独立されたのはおいくつの時?
「45才。ただ自分の会社を始めたら、稼がないといけない。毎日余裕のある時間の使い方ができるかと考えたのですが、やはり犠牲にするものがたくさんありました。でも、ゆたかな暮らしを求める思いは変わりませんでした。」
ゆたかさを求めていたら南ヤツに行き着いた
八ヶ岳にある叔父さんの別荘にことあるごとに通っていた林さん。南ヤツ(長野県富士見町・原村/山梨県北杜市)にはもともと土地勘がありました。
富士見町にある富士見パノラマスキー場は、マウンテンバイクのダウンヒルの聖地。林さんも仕事の関係で始めたところ、いつの間にか趣味になり、ますます南ヤツに通うようになります。
「いろいろ模索している時に北杜市の地域おこし協力隊を見つけました。妻に相談し、52才で北杜市の地域おこし協力隊に入りました。まわりは若者ばかり、僕は最年長でしたね。今は、妻に会社を経営してもらって、僕は単身赴任しています。」
――地域おこし協力隊では何を?
「観光振興をやっていました。マーケティングのスキルを活かすには良かったですね。観光課の窓口をやることで、八ヶ岳自然文化園とのつながりもできましたし。東京にいる時よりも自分の経験が社会のためになっている実感がもてました。これも僕の思うゆたかさのひとつです。」
地域おこし協力隊の時のご縁と実績で、長野県原村の八ヶ岳自然文化園の園長となった林さん。すでに「クラフト市」や「星空の映画祭」は名物イベントとして駐車場が満杯になるほど有名でした。林さんはさらに植物観察の体験イベントや、八ヶ岳周辺のハイキング体験なども開催します。
「八ヶ岳自然文化園のメインのお客さんは地元の家族連れです。リピーターがほとんどで、初めて来る人は1割ほど。もっと八ヶ岳の素晴らしい自然の入り口になることがやりたいと思っています。」
インターネット接続サービスSo-net(ソネット)が提供する自然体験サービス「いきつけの田舎touch」に体験を提供し始めたのもその思いが強かったとのこと。
「僕が『いきつけの田舎touch』の体験を企画した時もみんなすぐにサポートしてくれました。これもひとつのゆたかさだと思うのですが、地元のみんながすぐにつながってサポートしてくれる、本当に心強いです。」
林さんの人脈と思いから生まれた体験が、次々に「いきつけの田舎touch」で実現していきます。
登山ガイドさんと作った、八ヶ岳の七不思議「縞枯れ現象」を親子で観に行くハイキング体験。
有機農家さんと料理人の方と作った、高原野菜の収穫と採れたて野菜のランチを楽しめる体験。
植物学者さんと作った、八ヶ岳の樹木の葉っぱを集めてオリジナル図鑑を作る体験。
――「いきつけの田舎touch」を始めたことで地元の方におきた変化ってありましたか?
「まだ自然体験をしたことがない人達が、どうやったら自然体験をしたくなるかを考えるようになったこと、かもしれません。これまでは既存のお客さんが相手なので、今までと変わらないやり方で良かったのですが、『いきつけの田舎touch』では、新しいお客さんを連れてくるにはどんな体験の内容が良いのか、体験のタイトルをどうすれば引きが強いのか等、始めから考える必要がありますからね。」
――「いきつけの田舎touch」で今後やってみたいことはありますか?
「まずは既に自然の中で、自然と共に生活を送る人達にたくさん会ってもらいたいです。それから、今の小さな子どもたちが、都会の生活だけじゃなくて、あ、自然の中の暮らしもいいなって、選択肢のひとつにしてくれるといいですね。それがただ憧れで終わるのではなく、その具体的な道筋も用意できていれば最高ですね。」
――就職活動の時って、自分のライフスタイルを考えてから、会社を選ぶ視点はなかったですね。
「これからは、ライフスタイル重視で仕事を選ぶ。そういう時代になっていくと思います。いつまでも東京一極集中は無理がありますしね。インターネットがありますから、地方でもなんでも買えます。便利な時代だからこそ、地方でももっとゆたかな暮らしができるんじゃないでしょうか。」
――最後に、数十年日々の暮らしのゆたかさを求めてきた林さんにとって「ゆたかさ」とは何でしょうか?
「細かいことの集合体ですね。先に言った、仕事が社会のためになっている実感があるとか、人とつながるのが早いとかもありますし、こういう自然のゆたかな場所に身をおいて生活できることもそう。朝の通勤路の景色が美しいとか。自分が自然に生かされているのを感じるのは都心では無理ですけど、こういう緑がゆたかなところに来れば自然と感じられます。人が多すぎることで生まれるストレスがないですよね。渋滞がないとか。信号が少ないとか。それもゆたかさですね。」
林さんが原村に住むようになって最初にやったことは湧き水で珈琲を入れることでした。その後も自作のソーラー発電に挑戦してみたり、編みものに挑戦してみたり、何か自分から生み出すことに時間を使うのも、林さんのゆたかさのひとつなのかもしれません。
「天気がいい日に急に思い立ってすぐに八ヶ岳という素晴らしい山に登れるのもゆたかさの象徴ですね。僕が好きなのは鞍部に登る山登り。鞍部だと2つの山頂の素晴らしい景色が同時に楽しめるんです。体力的にも山頂に行くよりきつくないですからね。特に、天狗岳と硫黄岳の間の鞍部の根石岳が僕のお気に入りです。」
――林さんのゆたかさって全部、お金じゃ買えないですね。自分の時間を何に使うか自ら選ばないと得られない。
「そうですね。だから、『いきつけの田舎touch』で自然の中でゆたかに暮らす知り合いをたくさん作ってほしいです。ものすごい勇気をもって新しい生活に飛び込むよりは、もともと友だちがいるからちょっと行ってみようか、と気軽に自分のライフスタイルを選べるといいですよね。」
ゆたかな生活を自分で選ぼう
このインタビューを行ったのは地元の方だけが知る小さな池。ここから見える天狗岳も林さんの「ゆたかさ」のひとつ。
お話をうかがっていると、林さんの「ゆたかさ」に一貫する大切な要素は3つ。素晴らしい景色と自然に包まれていること。何かを作り出すための余裕のある時間を持てること。そして、あたたかい人間関係の中にいること。
自分にとっての「ゆたかさ」には、どんな要素が必要なのか。まずはそれをしっかりと考えてみること。それから、ライフスタイルを頭に思い描くこと。最後にそのライフスタイルにあった仕事を選ぶことが、自分にとってゆたかな生活を選び、決断するための秘訣なのではないか、そう思いました。
もし、あなたにとってのゆたかさに「自然の中で暮らすこと」が含まれているのであれば、「いきつけの田舎touch」の体験に参加してみてくださいね。
いきつけの田舎にお友達がたくさんできて、あなたなりのゆたかな生活を実現するための第一歩が踏み出せるかもしれません。
(写真:藤原慶)
■「さわる ふれあう 感動する」 いきつけの田舎 touch
https://www.so-net.ne.jp/touch/
■「ネットにつながる、世界が広がる」ソニーのネット ソネット
https://www.so-net.ne.jp/access/special/sony_so-net/
■「“つながる”から未来を創る」 ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社
https://www.sonynetwork.co.jp/
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