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山帰りに、おいしいマフィンとコーヒーはいかが? 山好きオーナーのいるカフェ「amijok」/長野県松本市

せっかく山に行くなら、食事やコーヒーブレイクも山を感じられるところに行きたい。そう思っているのは、きっとわたしだけではないでしょう。

今回訪れた先は、長野県松本市。松本と言えば、北アルプスの玄関口。山好きなら誰もが一度は歩いてみたいと思う山脈の入り口となる街です。

松本は<街>と<山>を感じられる場所

松本駅からのんびりと歩くこと13分。白と水色を基調とした建て物が見えてきました。今回の目的地、山好きオーナーのいるカフェ、「amijok(アミジョク)」です。

オープンしたのは2011年5月、この春で7年目を迎えるamijok。アミジョクってちょっと不思議な単語だな、どんな意味があるんだろう? そう思って訪ねてみると、オーナーである小島さんの苗字を逆から読んで、kojima→amijokという屋号にしたんだそう。

オーナーの小島剛さん(40歳)。銀行員、出版社、アパレル会社勤務を経て、amijokを起業するという、異色の経歴の持ち主
オーナーの小島剛さん(40歳)。銀行員、出版社、アパレル会社勤務を経て、amijokを起業するという、異色の経歴の持ち主

看板メニューは、毎朝焼き上げているマフィン。玄米粉を使い、しっとりした食感が特長です
看板メニューは、毎朝焼き上げているマフィン。玄米粉を使い、しっとりした食感が特長です

小島剛さんと圭さんご夫妻は、大の山好き。フリーランスの友人らと屋号のamijjokにちなんで“yamajok”という名前の山歩きチームを組み、毎年山に出かけているそうです。

yamajokのメンバーと燕岳に登ったときの1枚(写真提供/平林岳志さん(grasshopper))
yamajokのメンバーと燕岳に登ったときの1枚(写真提供/平林岳志さん(grasshopper))

ウッドファニチャーを基調に、清潔で居心地のいい店内
ウッドファニチャーを基調に、清潔で居心地のいい店内

黒板にその日のメニューが書かれています
黒板にその日のメニューが書かれています

松本を選んだ理由について、「松本市街地から安曇野方面を望むと、高い空に北アルプスの稜線がくっきり見られて、その雄々しい姿に感動したから」と剛さん。毎日同じではない山の表情を楽しみに眺めているそう。

またオープン当時は、まだ松本にカフェが多くなかったといい、「松本にお店を構えることで、ここに足を運んでくださる方々、そして自分達にとって何かの起点、交差点になればいいなと思いました」。

カップや器は、近くの雑貨屋さんで購入したというイギリスのビンテージもの
カップや器は、近くの雑貨屋さんで購入したというイギリスのビンテージもの

マフィンと器の相性もぴったり。左・宇治抹茶とホワイトチョコレートのマフィン(450円)、右・フレッシュいちごチョコレートとクリームチーズのマフィン(480円)
マフィンと器の相性もぴったり。左・宇治抹茶とホワイトチョコレートのマフィン(450円)、右・フレッシュいちごチョコレートとクリームチーズのマフィン(480円)

<野宿旅>と<山>が好き。好きが高じて、コーヒーもオリジナル開発

「大学生の頃、野宿の旅にハマったんです。お金もないので、シュラフだけ持ってヒッチハイクをして、公園で寝たり。周囲の流れに乗って就職活動をしつつも、「本当に就職していいのかな」という葛藤があって、そんなジレンマを抱きながら旅に出ていました」

意外や意外、剛さんのアウトドアのきっかけは“野宿”だったそう。

「大学生時代に先輩たちと登山はしていたんですけど、仕事が忙しくてしばらく山から離れていたんです。再び山に行き始めたのは、amijokをはじめてから。鈴木ともこさんとの出会いがきっかけでした」。

『山登りはじめました』の著者である松本市在住のエッセイスト、鈴木ともこさん。なんでも、鈴木ともこさんや、アウトドアクリーターの四角友里さんとの出会いが、剛さんを再び山に向かわせたんだとか。

「ふたりがアウトドアメーカーさんとの打ち合わせ場所としてamijokを選んでくださったり、山帰りに休んでいってくださったときに、色々と山の情報を教えてくださったり。そうするなかで、「剛君また山に行った方がいいよ」って背中を押されて、山に行こうと思ったんです。それで、改めて山っていいなぁって思いました」

登山は定休日のたびに。好きな山は「燕岳」
登山は定休日のたびに。好きな山は「燕岳」

松本という場所は、コンパクトに街のなかに楽しいことがたくさんあるんです。それでいて、周りは有名な山に囲まれていて、朝思い立って山に行けちゃう距離感。水がきれいで、空が高くて、空気もおいしい。山に登った時、改めて松本のよさ、山の魅力を感じましたね

剛さんが大学時代に影響を受けたという、『Spectator』のバックナンバーもたくさんあります
剛さんが大学時代に影響を受けたという、『Spectator』のバックナンバーもたくさんあります

山好きが高じて、なんとドリップパックタイプのオリジナルコーヒーも作ってしまったという剛さん。その名も「アルプスシティ・コーヒー」。松本の<街>と<山>をイメージした2種類をオリジナルでブレンドしたそう。パッケージも可愛くて、つい手土産にしたくなります。

味のテイスティングを繰り返しながら、1年弱かけて形にしたといいます
味のテイスティングを繰り返しながら、1年弱かけて形にしたといいます

「これをリリースできたときあまりにも嬉しくて、また旅に出ようと思いました。それで、amijokからパタゴニア白馬店までの70km弱の道のりを、リアカーをひいて4泊5日かけてゆっくり歩きました。キャンプや野宿をしながら、道中このコーヒーを飲んだりして。今年は九州を2週間くらいかけてリアカーで北上したいな、と計画しています」

リアカー旅をしたときのようす(写真提供/小島さん)
リアカー旅をしたときのようす(写真提供/小島さん)

山を感じるアイテムに囲まれて

店内は、山を感じるアイテムが随所にちりばめられています。山男、山の絵、雷鳥、雄鹿の角。どれも存在感があるのですが、amijokの心地いい空間にうまく溶け込んでいます。

白樺から削って作られたという手彫りの山男は、鈴木ともこさんからの贈り物とのこと
白樺から削って作られたという手彫りの山男は、鈴木ともこさんからの贈り物とのこと

布に描かれているのは、常念岳から見た槍・穂高連峰。添えられている雷鳥もキュート
布に描かれているのは、常念岳から見た槍・穂高連峰。添えられている雷鳥もキュート

「お店にはシンプルにワクワクするアイテムを中心に置いています。そうしたら、山のアイテムが多くなっていました(笑)」

日常の中で“モノ”を選ぶとき、20代の頃と大きく変わったのが「使っていて心地よいか、長く使えるか、経年変化を楽しめるか、作り手の心意気を感じるか、そしてカッコイイか」という視点だったとのこと。

「山が近いのに、お店のなかにいると山や空が見られない。無意識に山のアイテムを選んでいるのは、その不満を少しでも満たそうとするうさ晴らしのようなものかもしれません(笑)」

剛さんが「稜線がとても好み」というスイスの山々の原画。『Drawing Artwork Studio』主宰の伊藤佳美さんがスイスでハイキングガイドをしたとき描いたものだそう
剛さんが「稜線がとても好み」というスイスの山々の原画。『Drawing Artwork Studio』主宰の伊藤佳美さんがスイスでハイキングガイドをしたとき描いたものだそう

松本市にある『古道具 燕』さんから譲ってもらった山男の掛け飾りは、とても存在感があります
松本市にある『古道具 燕』さんから譲ってもらった山男の掛け飾りは、とても存在感があります

コーヒーを飲みながら、本を読みながら、のんびりしながら“山”を眺める時間。これもまたいいんですよねぇ。

「山帰りにでもフラッと立ち寄って」

「ひと言ふた言でも、人と話せる空間にしたかった」という剛さん。お客さんと店主、お客さんとお客さんがフランクに話せるよう、カウンター席を作るのはマストだったと言います。
ときには、悩み多き大学生の相談を受けることもあるんだとか。近くに悩み事を相談できる心のよりどころがあるって、なんだか羨ましいです。

「散歩やランニングがてら、登山の帰りにも立ち寄ってもらえたらすごく嬉しいです。リュックを背負っていると、どこ旅するのかな、どこ行ってきたのかなって、すごく話しかけたくなっちゃうんです。気を付けてはいるんですけどね(笑)。肩肘張らずに、ふらっと立ち寄ってほしいです」

山や旅のお供にもぴったりの場所、amijok。また通いたい場所がひとつできたのでした。

Café&select 『amijok(アミジョク)』

<住所>
〒390-0811長野県松本市中央3丁目4-14

<アクセス>
松本駅から松本周遊バス(タウンスニーカー)東コース龍興寺バス停そば
松本駅から898m

<営業時間>
10:00~18:00(ラストオーダー17:30)

<定休日>
木曜日・第2水曜日

※ 営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。

<ウェブサイト>
https://amijoktk.exblog.jp/

<Facebook>
https://www.facebook.com/amijok.cafe/

<アルプスシティ・コーヒー>
http://www.alpscitycoffee.com

(写真:茂田 羽生)

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