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【コラム】生活と山を近づける

突然ですが、コラムをはじめます。

こうして日々足で取材しアウトドアメディアを運営していると、編集部としてもいろいろと思うことがあります。

アウトドアのこと、ライフスタイルのこと、日本のこと。

そうして湧いた感情や思考が、運営に反映されていたり記事の方向性が決まることもあります。けれども、そのプロセス自体はオープンにすることはなく、メディアの世界観として、ひとつひとつの記事として、「結果」をお届けしてきたのがこれまででした。

そこで、ふと思ったんです。

「結果」も大事だけれど、そこに至った「プロセス」もお届けすることで、何かヒントや気づきを得ることだってできるのではないか。

そんな思いから、.HYAKKEIを運営していて考えていること、日々のこと、山やアウトドアに対する考えなどを今後は発信していきたいと思います。

今回はその1本目。

最近考える、「山にいく」ということについて。

よし、山にいこう。の「よし」

山って、遠いようで近い存在。

そんな気がしています。

住んでいる場所は人それぞれですが、日本はなんと言っても国土の70%は山なわけなので、
誰にとっても実は山はそれなりに近しい存在のはずです。物理的、には。

けれども、いつからか山は「構えて向かう場所」になり、
一種の「冒険」にでも出るかのような腹づもりに。

確かに、北アルプスにでも登ろうものなら日帰りは厳しいですし、しっかりとした装備や計画立ても必要になります。誰でも気軽に「いこう」とはなりづらい。それはそれで良くて、その「特別感」「非日常感」が今の混沌とした日本においてはフィットしているのかもしれません。

そういう考えもある一方で、最近わたし自身の山行でとても「心地いい」経験が続きました。

直前まで山にいく計画もなかったのに、「よし、山にいこう。」と思い立つ。そんな経験。

それは、翌日特別な予定もなく、天気も良さそうだ、とわかったとき自然に生まれてきます。誰といくとか、どうやっていく、とかもまだ何も決まっていない。ある意味、未成熟な思いつき。

ちょっと話は脱線しますが、山へいく時の天気のチェックは必須ですよね。あなたはどんなチェックの方法をとりますか?

簡単にわたしのチェック方法をお話すると、まず全国の天気予報でどのエリアの天気が良いかを把握します。そこからそのエリアで登りたい山をフワッと考え、その山の天気を「てんきとくらす」でチェック。その予報の確からしさを確認するために、「GPV」で雨雲の動きを見ます。それで大枠天気がどんなものになるかを把握し、翌日にのぞむ。そんなイメージです。

もちろん、山の天気は変わりやすいので実際は行ってみたいなとわかりませんが、なんとなくの天候予測を立てておくと変に期待はずれになることは減ります。

話を戻します。

これまではかなり前から「この山に登りたい!」という想いを持ち、緻密な計画と準備を行い、当日の山行に挑んでいました。

けれども最近は「よし、山にいこう」という抽象的でカジュアルな気持ちでスタートします。その「よし」は、「あ!」という思いつきと、天気などが良さそうという条件のみで発生する「よし」なのです。言葉から感じられる意気込みとは裏腹に、まだ何も決まっていないやつですね(笑)。

でも、そんな決め方で山にいくって、なんだか心地いい気がしませんか?
山と自分がすごく近い距離にいるというか、気負わず自然体で向き合えているというか。

もちろん、そうして決めたあとは、コースや装備をきっちりと確認するのは当たり前。
そこまでのプロセスが違うだけで日々の延長線に山を感じられて、すごく気持ちが穏やかだったんです。

生活と山を近づける

前日晩に思い立って登れる山といえば、大抵が日帰りできる山になります。そうした山は、山脈の奥深くあるわけではなく、登山口は街の外れだったり、ちょっと山を車やバスで上がったところだったりします。

そういった山の山頂から見えるのは、麓にひろがる人々の暮らし。つい数時間前まで確かに自分が歩いた街。そんな景色を見ていると、山と自分たちを隔てているのは、物理的なものではなく、私たち人の心理的なものでしかない、ということに気付かされます。

生活と山を近づける。

それができると、湧いた感情がそのまま山につながり、心地がいい。山は昔も今も動かずずっとその場にいるわけなので、自分から歩み寄ればいい。そのために勝手に作っている障壁をひとつひとつ丁寧に取り除く。

そんな脳内の作業を、最近は日々おこなっています。

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