これまでアウトドア好きの〝プライベートルーム〟を取材してきた当企画。6回目の今回は少し趣向を変えて、アウトドア好きの〝会社〟を訪問。

お邪魔したのは、島根県益田市に本社を置き、東京都渋谷区に東京オフィスを構えるデザイン会社「株式会社 益田工房」。代表の大石淳司さんをはじめ、社員もアウトドア好きという益田工房は、社内に「アウトドア部」を発足し、福利厚生として登山アイテムが支給されるというユニークな企業スタイル。

今回は、そんなネオな働き方を実践している会社形態とともに、アウトドアギア満載のオフィスを覗かせてもらいました。

<オフィスデータ>
【場所】東京都渋谷区  
【築年数】30年  
【居住歴】4か月  
【土地の広さ】22.5坪


登山アイテムは会社から支給! 福利厚生に「アウトドア」を加えた理由

ーー それにしても、ギアの数がすごいですね。デザイン会社としては、(イイ意味で)ちょっと異様な光景ですね。

「outdoor gearzine(アウトドアギアジン)」という、アウトドアギアの最新ニュースや詳細レビューを中心に役立つ情報を提供しているウェブマガジンがあるんですが、そのウェブサイトのデザイン業務や撮影をうちでやっていて。ここには撮影用の商品と、僕たち社員の私物を置いています。

ーー 私物ということは、みなさんアウトドア好きとか?

僕は10年くらい前から野外フェスでキャンプを楽しんでいましたが、本格的なアウトドア歴でいうとまだ半年くらいなんです。もともとアウトドア好きなメンバーもいますが、会社として登山を始めたのはoutdoor gearzineの仕事がきっかけでした。

最初にoutdoor gearzineの編集長と一緒に、山梨にある瑞牆山に登ることになったんです。で、仕事で登山をするなら、必要な道具を福利厚生として会社で支給しようと思い、登山靴やバックパック、トレッキングポールをみんなで買いました。月ごとに予算を決めているので、そのなかで毎月アウトドア道具を支給しています。

ーー どうして、福利厚生の一環にアウトドア道具の支給を?

もともと会社の帳簿を真面目につけていなくて、行き当たりばったりで「あ、これ買おう」とか、社員への給料以外の還元の形で「こういうの買ってみない?」みたいな話をしていたんですけど、振り返ってみると余計な出費が多かったり、逆に使うべきところで使っていなかったりしたことに気が付いて。

じゃあこれからは計画的にモノを買っていこうって話の中で、ちょうどoutdoor gearzineの仕事を通して山を始めようという話になっているし、まだみんなギアが揃っていないしってことで、月々の予算を決めて買っていこうか、ということになったんです。

ーー なんて夢のような会社……! アウトドア好きとしては思わず前のめりになる話です。

登山をするきっかけは仕事からでしたが、ビジネスライクな付き合いではなく、もう一歩踏み込んで自分たちもじっくりアウトドアを楽しみながら仕事をしていきたいという想いもあり、社内に「アウトドア部」を立ち上げました。

個人としてプライベートでアウトドアを楽しんでいてとてもいい気分転換になったし、クリエイティブな仕事においても、アウトドアアクティビティに興じることでいいフィードバックが得られるように感じるんです。一緒に山に行って、苦楽・感動を共有することがチームワークに活きたり、多種多様なギアのスペックや特性など細部の違いを知ること、自分にフィットするか、個性にマッチするかを考えたりすることがクライアントワークでの提案や、自分たちの作るモノの細部へのこだわりに活きたりするなって。

僕自身が外でいろんな感動をし、自然の中にいることが好きなので、とかく室内にこもりがちなウェブ制作者を、会社の取り組みとして外に連れて行ってあげたかったっていうのも、「アウトドア部」を発足した経緯としてありますね。

「フレキシブルさ」と「しまいこまない」ギア収納術

ーー ウェアの掛け方や可動式の棚など、空間をうまく活用した収納システムですね。

これらはすべてDIYです。自分たちでもやれるんじゃないか、と思って。と言いつつ、ぶっちゃけ節約第一というのがホンネですが(笑)。僕ら知識がゼロの状態から軽い気持ちでDIYをはじめましたが、やってみて本当に後悔しました。ものすごく大変だったんですよ。

「フレキシブルさ」と「しまいこまない」ギア収納術|「アウトドア好きのお部屋を拝見!暮らしとアウトドア道具|#06 益田工房 大石淳司さん	」の2枚目の画像

ーー 一番気に入っているところはどこですか?

壁ですね。有効ボードをはめて黒塗りにしました。塗った後に気が付いたんですが、じつは最初から黒いヤツが売ってたんですよ!(笑)。これチョークボードペイントっていう、チョークで書ける塗料を使っているんですが、塗るのめちゃくちゃ大変で。

ーー 黒で統一しているのには何か意図が?

最初は、チョークで壁になにかおしゃれに書きたいなって思っていたんですけど、これも後で気が付いたんですが、穴がこんなに空いていたら文字が書けないっていう!!結局チョークすら買ってないです(笑)。色々が行き当たりばったりなので、予想外の展開ですね(笑)。

「フレキシブルさ」と「しまいこまない」ギア収納術|「アウトドア好きのお部屋を拝見!暮らしとアウトドア道具|#06 益田工房 大石淳司さん	」の5枚目の画像
「フレキシブルさ」と「しまいこまない」ギア収納術|「アウトドア好きのお部屋を拝見!暮らしとアウトドア道具|#06 益田工房 大石淳司さん	」の6枚目の画像

ーー ギアを収納するうえでこだわっている点はありますか?

収納としての「自由度の高さ」を生み出すことと、道具を「しまいこまない」ことです。
大型の収納ボックスや引き出しにしまってしまうと、見つけにくくなったり、探すのが面倒になったりしますよね。でも、見えるところにあればそうはならない。出番の少ないものは上部に、使用頻度の高いものは下に置いて、すぐに持ち出せるようにしています。棚はすべて可動式にしました。置きたいものによって高さを変えることができます。

ーー お気に入りのアウトドア道具をひとつ挙げるとしたら?

これです、アークテリクスのトレッキングブーツ!履き心地のよさはもちろんなんですけど、カッコイイんですよね。僕個人としては、固定概念を覆すような挑戦的なプロダクトを選ぶ傾向があって、それはやっぱり、僕ら自身も固定概念を覆す何かを作って社会に提案したいという思いがあるからだと思います。

このブーツは、ライナーを取り外せる設計ってところがまさに僕の固定概念を覆していて、プラス高機能で快適性が担保されているうえ、見た目もめちゃくちゃカッコイイ。もう、布団の中で抱きかかえて寝たいくらいです(笑)。

ーー 棚にはブッシュクラフトの本がありますね。

じつは今、ブッシュクラフトにハマっていて。ブッシュクラフトの基本中の基本である、枝を毛羽立てて火をつけやすくする「フェザースティック」っていう技法があるんですが、この練習をよくしています。この前自宅のベランダでやっていたら、向かいのマンションの人と目が合っちゃって。変な人を見るような目で僕のことを見ていたので、ちょっと気まずかったです(笑)。

「フレキシブルさ」と「しまいこまない」ギア収納術|「アウトドア好きのお部屋を拝見!暮らしとアウトドア道具|#06 益田工房 大石淳司さん	」の13枚目の画像

次のテコ入れは、社内にギャラリースペースを設けること

ーー 今後手を加えていきたい部分はありますか?

最初はそんな狙ってなかったんですけど、良くも悪くもインダストリアルな雰囲気になってきた気がして、どうせなら突き詰めていきたいなと。モノを生み出す現場として、工場っぽい雰囲気も悪くないなと。
あとはギャラリースペースを設けて、雑誌やフォトグラファーとコラボレーションしたりして、展示空間としても使えるようにしたいと思っています。それに、緑(植物)も増やしていきたいです。

ーー 今後やりたいアウトドアアクティビティはありますか?

山だけじゃなく、海遊びもやりたいですね。去年からサーフィンをはじめてはいるんですが、今年の夏はSUPにも挑戦してみたいです!

次のテコ入れは、社内にギャラリースペースを設けること|「アウトドア好きのお部屋を拝見!暮らしとアウトドア道具|#06 益田工房 大石淳司さん	」の6枚目の画像

「仕事や会社の経営スタイルは色々やり方があっていいと思うんです」と話す大石さん。会社としての業務と、企業としての社員のケア、そして大石さんら社員の趣味がうまく融合している点がとても印象的でした。

会社としてはまだ類を見ないケースかもしれませんが、福利厚生の一環として積極的にアウトドアを加えるなど、今後ユニークな姿勢の企業が増えるといいなと感じました。この度はご協力ありがとうございました!

*益田工房http://masudakohboh.com

次のテコ入れは、社内にギャラリースペースを設けること|「アウトドア好きのお部屋を拝見!暮らしとアウトドア道具|#06 益田工房 大石淳司さん	」の8枚目の画像



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この記事を書いた人

山畑 理絵

音楽プロダクションの制作、アウトドアショップの販売員を経てライターになる。のんびり日帰りハイクからガッツリテント泊縦走、トレイルランニング、ボルダリング、スキーと四季を通してフィールド三昧。アウトドア媒体をメインにライター活動をする傍ら、アロマテラピーインストラクターとして「山とアロマ」をテーマに、神出鬼没なワークショップを展開中。

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山畑 理絵

春夏秋冬、日本の美しい山を求めて歩きまわっています。

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