
ライカ、新モノクロフィルム「MONOPAN 50」を発表
Leicaが100周年を記念して送り出す「MONOPAN 50」は、35mm写真文化へのオマージュとして設計された高解像度モノクロフィルム。8月発売予定。

もくじ
ライカがついに、フィルムそのものをつくった
2025年6月、ライカが発表した新製品はカメラでもレンズでもない。モノクロームフィルムだ。「MONOPAN 50」と名づけられたこのフィルムは、1925年の「ライカI」登場からちょうど100年の節目に登場する、記念碑的な製品である。
かつて「ライカフィルム」と呼ばれていたのは、他社製のカートリッジだった。その背景を知ると、「ライカ自身が35mmフィルムを作る」という出来事の意味が変わってくる。今回は“本物の”ライカ製。36枚撮りのモノクローム、しかも感度ISO 50という攻めたスペックだ。

「撮る」を物理的に研ぎ澄ませる
MONOPAN 50は、極めて微細な粒子と最大280ラインペア/mmという高解像度を持つ。最大780nmの超パンクロマチック感度にも対応し、赤外線領域にまで踏み込んでいる。ここまで聞くと、まるで研究機関の話だが、要するに「シャープで、柔らかく、深みのある階調」が得られるということらしい。
歴史的なISO 50という設定もまた、低感度フィルムが主流だった時代へのオマージュ。光量のある場面では、ノクティルックスやズミルックスといった大口径レンズと組み合わせ、開放での撮影を楽しむことができる。絞らずに撮る。その贅沢さを、もう一度フィルムで味わえる。

素材としての“フィルム”を、再び語る
このフィルムの用途は限定的だ。風景、建築、都市の光と影。旅の記録。どれも“撮る行為”そのものを見つめなおすようなシーンばかりだ。そしてその一枚一枚が、モノクロであることの意味を改めて問いかけてくる。
パッケージはビンテージ風。現代的なスペックを包むデザインは、写真の原点と今とをそっとつなぐ意匠でもある。

これは“撮る道具”というより、“写す思想”だ
MONOPAN 50の登場は、Leicaが改めて“写真とは何か”を語ろうとしている表れだろう。
センサーやAIが進化するいま、あえて物理フィルムに回帰する姿勢は、単なるノスタルジーではない。むしろ、「光を記録する」という行為をいちから捉え直す姿勢の表明であり、100年という歴史に対する、ひとつの誠実な返答なのかもしれない。

製品詳細

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